2018.04.14
絵描きの音楽ノート no.01〈4月〉
生活と締め切りに追われて、あたふたしている絵描きが、それでも行ったコンサートのこと
音楽からイメージして楽譜の表紙絵を描くという、本間ちひろさんによる詩とエッセイ。アーティスティックな世界に往ったり、超現実の生活に戻って来たり……揺れ動く日常を綴ります。
絵と詩とエッセイ
絵と詩とエッセイ
本間ちひろ 絵本作家・イラストレーター
1978年、神奈川に生まれる。東京学芸大学大学院修了。2004年、『詩画集いいねこだった』(書肆楽々)で第37回日本児童文学者協会新人賞。作品には絵本『ねこくん こん...
描きたての画用紙
ふうっと吹いて かわかしてくれた
春風さんに
今日はこの曲をかけましょう
今、ファ―ブルの伝記絵本の絵を描いている。彼は作詞作曲で蝉やコオロギの歌も作っていたが、『ファ―ブル昆虫記』を読むと、あぁこれはなんと音楽だろう! と思う。
壮大な自然の中、小さな虫たちの営みを観察したファ―ブル。交響曲の五線譜に小さな太鼓の音を書く、作曲家のペンに通じるかもしれない。
蜂の羽音、蟻の足音。それらがあって、世界はめぐる。
だからだろうか、絵を描いていたらどうにも音楽が聴きたくなって、武蔵小金井の宮地楽器へ。「春を感じるコンサート~べヒシュタイン編~」午前11時からのさわやかな時間。ピアノを購入する方々のおかげで、2千円で極上のピアノが聴ける。なんと素敵な富の再分配!
ピアニスト内藤晃さんの奏でる《4月にパリで》(C.トレネ作曲/A.ワイセンベルク編曲)に、頭と肩と心が解けて、ファ―ブルの気持ちが、すうっと私に入ったような気がした。考えてもたどり着けないところへ、音楽はやさしく連れて行ってくれる。
さあ、メゾピアノのラインで。家に帰って、画用紙に向かうとしよう。
関連する記事
-
【牛田智大 音の記憶を訪う】「自然なピアノ」を実現するための技術~基本に戻った2...
-
ピアノデュオ・坂本彩、リサの25の扉<前編>性格は姉妹で正反対?デュオを組むきっ...
-
小原孝×ハラミちゃん特別対談〜ピアノ界のトップランナー2人の活動の原点
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2025.05.24
服部百音に50の質問!〈後編〉家族との関係は? 恋愛は演奏に影響する? これから...
2025.05.23
今週の音楽家の名言【作・編曲家、指揮者 天野正道】
2025.05.23
おやすみ前のリラックスタイムをクラシックがサポート! やさしさや静けさを感じる楽...
2025.05.23
マンガでたどるラフマニノフの生涯#12(最終回) ラフマニノフ、故郷ロシアへの感...
2025.05.23
服部百音に50の質問!〈前編〉音楽家になると決めた瞬間は? 思い出の曲は? 最大...
2025.05.22
【2025年】第17回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール【出場者・演奏曲・...
2025.05.21
【牛田智大 音の記憶を訪う】自分の音楽に還る ワルシャワでの日々
2025.05.20
毛利文香が奏でる感謝と挑戦のヴァイオリン〜出会いの10年、そして未来へ