読みもの
2020.11.13
生誕地でまだまだ続くベートーヴェン・イヤー

ドイツのベートーヴェンゆかりの地をポッドキャストで巡って“胸熱”ポイントを探せ!

ベートーヴェンの生誕250周年は2021年もまだまだ続く! ドイツ観光局によるポッドキャストでは、ドイツの各地を訪れ、ベートーヴェンとのつながりをじっくり学ぶことができます。
旅は、生誕地ボンからスタート! かつてボンを何度も訪れ、ベートーヴェンに思いを馳せてきた大井駿さんが熱くナビゲートします。

ベートーヴェンにもボンにも熱い人
大井駿
ベートーヴェンにもボンにも熱い人
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...

ボンにそびえ立つベートーヴェン像。1845年8月12日に、生誕75周年を記念して建立された。
©ドイツ観光局

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ベートーヴェン・イヤーは2020年では終わらない!

2020年も、ラストスパートの時期です。そんな今年は、なんと言ってもドイツの誇る作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが生まれてちょうど250年の年です。

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ベートーヴェンの記念年をお祝いする多くのイベントが予定されていましたが、ほとんどが中止となってしまいました。でも、これで終わりですって……? まさか! ベートーヴェンのお祝いは来年も続きます!

ドイツでは2021年に向けて、今年に負けないほどのベートーヴェンのイベントを各地で予定しています。

特にドイツ観光局は、ドイツで行なわれるベートーヴェン関連のイベント情報を発信しており、特設サイト「#DiscoverBeethoven」では、その詳細を紹介しているほか、250年経っても色あせないベートーヴェンの人気っぷりを音声のポッドキャストやビデオクリップでうかがい知ることができます。かなりイケてます!

ここでは、ポッドキャスト第1話を中心に、筆者が思うベートーヴェン生誕の地ボンの“胸熱”ポイントを3つご紹介します。

その1 今も当時の姿を残すベートーヴェンの生家

ボンはこぢんまりとした小都市で、多くの建物がベートーヴェンが住んでいた当時の形を残しています。ドイツが東西で分かれていた時代には、西ドイツの首都でしたが、まさか大きな国の首都だったとは思えないほどの規模です。

ドイツ観光局のポッドキャスト第1話「ボンと言えば、ベートーヴェン」でも紹介されている通り、若い頃のベートーヴェンは、友人たちと会って他愛もないことで笑うのが好きでした。ボンの街中を歩いていると、そんな愉快なベートーヴェンの姿がどこかにあるのではないか、と思ってしまうほど古い景観が残されています。

ベートーヴェンの生まれた家も例外ではありません。ボンの中心に位置するボン通りを歩くと見えてくる、ピンク色の可愛らしい家——この生家は、ベートーヴェンが生まれた当時の外観を残したまま、現在は博物館としてベートーヴェンにまつわるものが数多く展示されています。

ベートーヴェンハウスの入口。
© Nieuwenkampr

この生家で圧巻なのが、なんと言ってもベートーヴェンが生まれた部屋です。階段を上がった一番上の屋根裏部屋……薄暗く、天井も低いこの部屋でベートーヴェンが誕生したことを思うと、胸にこみ上げてくるものがあります。

ベートーヴェン好きにはたまらないだけではなく、ベートーヴェンのことを知らない方でも彼の人柄に触れることができる、本当に素敵な場所です。

ベートーヴェンが生まれた部屋。
©︎Hans Weingartz

その2 ボンのベートーヴェン記念碑

筆者が初めてボンに行ったときに驚いたのが、広告やお店のマスコットなどにたくさんのベートーヴェンの姿があったことです。きっとこの街の人たちは、ベートーヴェンがボンで生まれ育った作曲家だということに、とても誇りを持っているんだろうなとしみじみ感じました。

ボン市庁舎広場のカフェにもいたベートーヴェン。
(編集部撮影)

さらに、ボン市庁舎の前に広がる大広場には、大きなベートーヴェンの記念碑があります。その眼差しは、まるで未来を見ているかのように鋭いです。

ボン市庁舎広場のベートーヴェンの記念碑。
©Stanislava

この記念碑は、ベートーヴェンの孫弟子だったリストが、「ベートーヴェンの生まれ故郷であるボンに、なんとしてでもベートーヴェンの記念碑を建てたい」との想いで建てられたものです。しかし、建立までにはリストだけではなく、さまざまな音楽家のベートーヴェンへの想いと尽力がありました。

建立には莫大な費用がかかるため、リストはそのお金をなんとか工面しようと、多くの作曲家に作品を書いてもらい、それを売ることでお金を集めました。そのなかにはメンデルスゾーン、ショパンやシューマンの作品もあります。

ボンのベートーヴェンの記念碑建立募金のために書かれた主な作品

1. メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 作品54

2. ショパン:前奏曲 作品45

3~5.  シューマン:幻想曲 作品17

6. リスト:ベートーヴェン記念像除幕式のための祝典カンタータ

その3 ボンではこんな限定品も!

甘党の筆者としては、ボンというと、もう一つ外せないものがあります。世界で初めてグミを開発した会社、HARIBOです!

最近ではコンビニでも頻繁に目にするHARIBOは、実はボンの会社なのです。HARIBOの本社に行くと、多くのグッズやグミがそろっているのですが、そのなかでもボンの本社でしか手に入らないのが、ベートーヴェンの形をしたグミです!

気難しそうなベートーヴェンの顔がそのままグミになっていて、とても食べづらいです。

これほどまでにベートーヴェンが愛されている町はあるでしょうか……。

ベートーヴェンの顔をかたどったHARIBO。
©︎Pawel Dillinger

ボンでベートーヴェンをお祝いできる日がくるまでの楽しみ方

ドイツ観光局のサイトで紹介されているポッドキャスト第2話「ベートーヴェンが訪れた風景」では、ベートーヴェンがボン時代に関心を持った事柄や、ベートーヴェンが旅をしたボン周辺の大自然の魅力について、ベートーヴェンのエキスパートの方々やボンの市長自らが存分に伝えています。

特に、ベートーヴェンが家の屋根裏部屋から望遠鏡で天体観測をしていたというお話は、天体観測が大好きな私にとって、非常に胸が熱くなります。

美しい自然に囲まれたボンの街を一望。
©ドイツ観光局
楽聖の足跡をポッドキャストで旅しよう!

 

第1話:ボンと言えば、ベートーヴェン
ベートーヴェンはボンで生まれ、22歳までこの街で過ごしました。初回は、ベートーヴェンの生家と行きつけの居酒屋、お気に入りの場所を紹介。ボンと周辺のゆかりの地22ヶ所を巡ってみましょう!

 

第2話:ベートーヴェンが訪れた風景
若かりし頃のベートーヴェンは、望遠鏡で風景を眺めるのが好きでした。バート・ゴーデスベルクから、ケニヒスヴィンター、ジークブルクを巡り、ベートーヴェンが見ていた風景を紹介。さらに、新設されたベートーヴェン・ハイキングコースに沿ってジーベンゲビルゲの山々を歩いてみましょう。

 

第3話:ベートーヴェンの大きな旅

船と郵便馬車に乗ってドイツ全国のベートーヴェンの軌跡をたどる旅に出ましょう。ベートーヴェンがこの世を去る日に飲みたいと言ったワインの地や、そしてベルリンやライプツィヒやドレスデンでの演奏会の様子も紹介していきます。

 

第4話: 今も生き続けるベートーヴェンとの出会い

フランクフルトからロストックとライプツィッヒを通ってベルリンまで続くツアーで、有名なベートーヴェン記念碑やベートーヴェンゆかりの通りや場所を探索し、今もドイツの町で生き続けるベートーヴェンの記憶に触れていきます。

 

第5話:音楽でベートーヴェンを実感

ボンのベートーヴェン交響楽団やライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団をはじめ、ベートーヴェンの音楽が当時の楽器でどのような音色を響かせていたのか、耳をすませてじっくりと聴いてみましょう。

 

第6話:ベートーヴェン記念年

2021年9月まで延期されたベートーヴェン記念年では、コンサートやイベントが目白押し! そのうちの一部はオンラインでも楽しむことができます。ヘッドフォンを耳に当てて「交響曲第9番」や《田園》を聴きながら、ベートーヴェン自身が気候変動にどのように貢献していたのかについて思いを馳せてみましょう。ベートーヴェン記念年を祝う特別なプロジェクトをお楽しみに。

2021年もベートーヴェンのお祝いが続くドイツ。現地でベートーヴェンをお祝いできる日がくるまで、ぜひドイツ観光局のサイトとポッドキャストで予習して、ボンでの若きベートーヴェンの姿に思いを馳せてみましょう!

ベートーヴェンにもボンにも熱い人
大井駿
ベートーヴェンにもボンにも熱い人
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...

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