動画で学ぼう!日本の歌のうたいかた#9 高校で習う《ちいさい秋みつけた》《叱られて》他
小、中、高校の音楽の授業で習う日本の歌を、児童生徒が動画で学習できるようにしたWeb教材の連載。日本語の美しい発声と発音を身につけましょう。音楽の先生はもちろん、大人の趣味やデイケアなどでも広くご活用ください。第9回は《ちいさい秋みつけた》《母》《叱られて》《初恋》《小さな空》の学びかたと教えかたです。
《ちいさい秋みつけた》サトウハチロー作詞/中田喜直作曲
♪聞こえる鬼ごっこやモズの鳴き声、すきまから感じられる風、思い出の風見鶏から、「秋をみつけた話者」の視点に立って、詩の内容を想像しながら歌いましょう。
♪「誰かさんが」は3回繰り返します。繰り返しにどのような変化を表現するか、工夫して歌いましょう。最後の嬰への音は、1オクターヴ下げて歌ってもよいです。
♪NHK「みんなのうた」でも放送され、みんなから愛されるようになった曲です。それ以前のNHK「ラジオ歌謡」では《夏の思い出》(江間章子作詞/中田喜直作曲)が生まれました。
【先生方へ】
作詞者サトウハチローは幼少期に床に伏せった生活を送っており、その心境が投影された詩です。「誰かさんが」の繰り返しが3回ある特徴を持っています。この特徴を生かした表現を創意工夫する授業が展開できます。
戦後、ラジオ、テレビ放送により、新しい日本の歌が人々に広まった歴史的な側面を理解し、自分たちにとって日本の歌は、どのような意味や価値があるのか考える学習ができます。
《母》竹久夢二作詞/小松耕輔作曲
♪1番「母は哀しも」(母とは哀しいものかな)、2番「母は遠しも」(母は何と遠いことか)。この詩にはどのような心情が表現されていますか。
♪ゆったりとした8分の6拍子に乗って、詩を語るように歌いましょう。
♪竹久夢二は明治末期から昭和初期に活躍した画家・詩人です。他の詩や絵画を鑑賞してみましょう。
【先生方へ】
テンポはゆっくりですが、8分の6拍子の特徴を生かして、歌詞を語る表現を創意工夫する授業が展開できます。また詩の表す心情について理解すると味わいが深くなります。
国語科や美術科と関連させ、竹久夢二の詩や絵画の鑑賞につなげることができます。
《叱られて》清水かつら作詞/弘田龍太郎作曲
♪奉公に出された幼い子どもの姿が描かれています。この詩はどのような心情を表していますか?
♪歌詞の表す情景を思い浮かべて歌いましょう。曲想の変化と歌詞の内容や音楽の構造を関わらせて発音や発声を工夫しましょう。
♪「叱られて」は、大正期盛んになった童謡の一つで、雑誌『少女号』に掲載された歌詞を基に作曲されました。
【先生方へ】
詩の表す心情が把握しやすく、歌詞の内容と音楽の構造の関わりから、曲想の変化が豊かな歌です。曲の特徴を生かして、主体的に表現の創意工夫に取り組む授業が展開できます。
大正期の童謡運動の歴史的な側面と関わらせて、なぜ童謡が生まれたのかについて、他の童謡を鑑賞しながら歴史的・文化的側面を考えることができます。
《初恋》石川啄木作詞/越谷達之助作曲
♪もとになった詩は、短歌です。詩を旋律にのせて語るように歌いましょう。
♪感嘆詞「ああ」の母音で歌う部分は、どのような効果を生んでいますか?
♪《初恋》の異なる歌手による演奏を聴いて、批評をしてみましょう。
【先生方へ】
短歌をもとに作曲された歌曲であり、感嘆詞「ああ」の母音による歌唱の部分が、感情を豊かに表して楽曲に変化をつけています。その効果に着目させ、曲全体を創意工夫する授業が展開できます。
《初恋》のさまざまな歌手の演奏を比較し、歌詞の発音や発声、表現の視点から批評をすることで、日本語の自然な発音、発声における価値観を身につけることができます。
《小さな空》武満 徹作詞・作曲
♪昼、夕方、夜と変わりゆく情景を想像しながら歌いましょう。
♪この歌はどのような心情を表現していますか?
♪この曲は、昭和37年に連続ラジオドラマ『ガン・キング』の主題歌として作曲されました。他の武満 徹の歌曲を聴いてみましょう。
【先生方へ】
この曲は、生徒たちにとても人気のある歌だと思います。合唱による演奏や、異なる歌手の比較鑑賞により、日本語の発音、発声に関する価値観を育てる授業を展開できます。
また、武満 徹の《うたⅠ》、《うたⅡ》にある楽曲を生徒たちが選び、探究的に鑑賞する授業も展開できます。
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