読みもの
2020.11.19
LS50コレクション試聴記

デザインも音もこだわるチェリスト溝口肇が、英国KEFのワイヤレススピーカーを評価

自分の部屋に置くものはインテリアに合うものを選びたいし、スピーカーであれば、もちろん音のクオリティは大事、という感度の高い音楽ファンに朗報!
イギリスのスピーカーメーカーKEF社から、おしゃれで接続が簡単なアンプ内蔵のワイヤレスモデル「LS50 Wireless II」が登場。
音質については、ご自身の耳で確かめるのが一番!……というものの、ここではオーディオに並々ならぬこだわりをもつお二人——スタジオと自宅で異なるタイプのオーディオを揃えるチェロ奏者の溝口肇さんと、オーディオ評論家の土方久明さんの試聴対談の模様をお届けします。ぜひ参考にしながら、東京・有楽町にあるKEFミュージックギャラリーで最新のスピーカーを見て聴いて確認してみましょう。

聞き手・文
土方久明
聞き手・文
土方久明 オーディオ評論家

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのエンジニアを経て、ハイエンドオーディオからポータブルオーディオ、カーAV...

メイン写真:KEFミュージックギャラリーにて
取材写真:松永 睦

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チェロ奏者・溝口肇さんを有楽町のKEFにお招きして

音楽は、ライフスタイルに彩りを与えてくれる。お洒落なカフェで流れるBGMをイメージして部屋に音楽を流したり、好きなアーティストの楽曲を聴く時間は格別だ。

今の時代はスマホを利用できる音楽聴き放題のサービスがたくさんあるから、無限大とも言える楽曲をシーン別に聴いたり、ハイレゾと言われる解像度が高い音源もある。つまり、音楽をいい音で楽に聴ける時代になった。

そんなときにお勧めしたいオーディオ製品が、イギリスの名門スピーカーメーカーKEF社から登場した、アンプ内蔵のワイヤレススピーカー「LS50 Wireless II」だ。

そこで今回は、「世界の車窓から」のテーマ曲を始め、TVなどさまざまなシーンでご活躍のチェリスト、溝口肇(みぞぐち・はじめ)さんを、東京・有楽町にあるショールーム、KEF ミュージックギャラリーにお招きして、LS50 Wireless IIの音質と使い勝手を語ってもらおう。

360度、デザインに隙がない!

土方 本日はよろしくお願いします。溝口さんは、オーディオやカメラ、車などにもこだわりを持つ趣味人ですが、オーディオもたいへんお好きでいらっしゃる。どのようなオーディオ製品を使われているのですか? また、オーディオの選定基準は?

溝口 オーディオの選定基準は、第一にデザインです。最初は見栄えで選んじゃう。そして、僕が生まれた年代、つまり1960年代のオーディオ機器を中心に使っています。

最初に買ったのはLS50 Wireless IIと一緒のイギリス製のスピーカー、ロジャースの「Studio3」。今は、アンプはマッキントッシュ、スピーカーはJBLやロジャースを使って、トーレンス社の「TD124」というレコードプレーヤーと組み合わせていますね。

溝口肇(みぞぐち・はじめ)
チェリスト・作曲家・プロデューサー。3歳からピアノ、11歳からチェロを始め、1986年『Halfinch Dessert』でCBS SONYよりデビュー。以後、クラシック、ポップス、ロックなど幅広いジャンルで演奏・作曲活動を展開している。自身が作曲した「世界の車窓から」のテーマ曲はあまりにも有名。

土方 いいですね。デザインのいいオーディオ機器の多くは、音質も素晴らしいです。

溝口 それにしても、このスピーカーはデザインがとても美しいな。キャビネットの質感もいいし、コンパクトで360度どの角度から見ても、デザインに隙がない。

土方 LS50 Wireless IIの美しいデザインは大きな魅力ですね。背面にあるヒートシンクやバスレフポートさえ、彩りがコーディネートされています。カラーは4色揃っていてブラック系から赤色まで、リビングでも映えるバリエーションが嬉しいですね。さらにデザインを揃えた専用スタンドも用意されています。

溝口 デザインがいいと部屋に入れやすいし。秀逸なデザインは今の時代のオーディオ機器に必要です。目の前にあるブラックのモデルも美しいけど、僕はミッドセンチュリーの家具が好きだから、木目の美しいモデルも用意してくれたら嬉しいな。

KEFのLS50 Wireless II。音の広がりにいい影響をもたらす、フロント面の丸み。放熱のためのヒートシンクや、低音増幅のためのバスレフポートを備えた背面にも手を抜かないデザイン。有線にも幅広く対応。
色は、カーボン・ブラック、チタニウム・グレイ、ミネラル・ホワイトの3種類のマット仕上げと、スペシャル・エディションカラーのクリムゾン・レッドが用意されている。

多くのストリーミング音源をワイヤレスで操作

土方 LS50 Wireless IIはアンプを内蔵しているので、接続がシンプルなこともアドバンテージです。左右のスピーカーそれぞれに電源ケーブルを挿すだけでよく、WiFi(無線LAN)経由でスマートフォンなどからの操作や音源を再生することができます。

溝口 それはいいですね。オーディオ用のケーブルを引き回すこともなく、インテリアの雰囲気を壊すこともないですよね。

土方 はい、それとさまざまな音源に対応していることも特徴です。

溝口 カタログを見ると、聴き放題のストリーミングサービスのSpotifyに対応していますね。スマートフォンをリモコンがわりにして、数千万曲がアルバム、楽曲単位で聴けるし、僕の音源も聴ける。それと、ハイレゾ音源の再生にも対応しているのですね。

土方 そうなんです。Spotifyのほかにも、Amazon MusicDeezerなど数多くのストリーミングサービスやインターネット・ラジオにも対応しています。LS50 Wireless IIは、スマートフォンとも相性がいいですね。さらにアナログ入力や光デジタル入力も装備していますので、TVやレコードプレーヤー、CDプレーヤー、さらにゲーム機器とケーブルで接続することもできます。

溝口 肝心な音質はどうかな? 1曲聴いてみましょう。

——Spotifyから溝口肇のアルバム『WORDLESS』より「悲しみの向こう」を試聴。

部屋の隅々まできれいに音が届く

土方 かなり良質な音ですね。メロディアスで溝口さんの魅力満載ですが、チェロとピアノのハーモニーが美しいし、何よりも音に色艶があります。

溝口 ありがとうございます。オーディオ用語でいうなら、位相特性がいいスピーカーですね。視聴場所から離れた位置で聴いても、音が飛んできます。しかも、音のサービスエリアが広いから、部屋の隅々まで音が気持ちよく届いてる

土方 これはKEF社の御家芸でもある同軸Uni-Qドライバーの最新世代と、画期的な新技術「MAT」によるものだと思います。スピーカーの真正面からじっくりと音楽を聴いても、ソファなどに座りながらBGM的に聴いても、いい音で聴けるのは嬉しいところですね。

離れた位置まで、音が広がって届くことを確認する二人。
12世代Uni-Qドライバーの背面に搭載された吸音システム「MAT(Metamaterial Absorption Technology)」。
MATは、ノイズ99%吸収という飛躍的な効果をもたらす、KEFの歴史においても極めて革新的な新技術だ。

土方 溝口さんはどのような音が好きですか?

溝口 僕は音の心地よさを求めています。仕事だと、近い距離でダイレクトに聴くこともあって、その反動もあり、プライベートでは緩めな音が好きなのですよ。また、部屋の隅々まできれいに音が届いてほしいと思っているんです。

土方 『WORDLESS』からもう1曲聴いてみましょう。スマホを操作してトラック3の「And You…」を聴いてみましょう。

溝口肇のアルバム『WORDLESS』より「And You…」

溝口 操作アプリ「KEF Connect」の使い勝手も良さそうですね。

土方 はい。このアプリを利用すると、LS50 Wireless IIの基本設定やボリューム調整などが操作できます。つまりスマホと本スピーカーだけで音楽が楽しめてしまうんですよ。もちろんボリューム調整などの基本機能は、スピーカー上部のタッチボタンからも可能です。

それにしても音がいいですね。琴線を揺さぶるメロディアスな楽曲のよさが、本当によく聴こえてきます。

溝口 ありがとうございます。

スピーカー上部には、電源や音量調整、接続などのボタンを備えている。

便利でありながらハイレゾ再生も楽しめる

土方 このスピーカーはワイヤレスで利便性に優れていますが、オーディオ的な再生スペックも高いんですよ。24bit/384kHzまでのハイレゾ音源に対応しており、ケーブルモードで24bit/192kHz、ワイヤスモードで24bit/96kHzもの伝送が可能です。

溝口 それはすごいね。

土方 溝口さんは、CDの規格より音質が高いハイレゾ音源もリリースされていますよね。

溝口 はい、Webのダウンロードサイトで購入できます。

土方 本日はLS50 Wireless IIを試していただきましたが、いかがでしたか?

溝口 大満足です。デザインは素晴らしいし、設置もシンプルに行なえる。そして何よりも音質が上品で、部屋の隅々までいい音を届けてくれるのが嬉しいです。

接続は電源ケーブルのみ。アンプ内蔵ということを考えればコストパフォーマンスはすこぶる高いし、スマートフォンを操作して、生活空間にいい音を充満させることができるから、普段はあまり音楽を聴かない方にも使ってもらいたいですね。

土方  LS50 Wireless IIは、全部入りの素晴らしい完成度をもつスピーカーですが、同時に発売された「LS50 meta」というモデルはアンプを内蔵しないシンプルなスピーカーです。

このモデルにも注目してくださいね。

LS50コレクションは、ここで紹介したアクティブのLS50 WirelessⅡ(価格:270,000円+税/写真左)とパッシブのLS50 Meta(価格:145,000円+税/写真右)の2モデルがある。ワイアードのMetaについては、「Stereo」2020年12月号(11月19日発売)に詳細をレポート。
KEF LS50 WirelessⅡ(アクティブモデル)

使用ユニット: Uni-Q ドライバーアレイ(HF:25㎜MAT搭載ベンテッ

ド アルミニウムドーム、MF/LF:130㎜アルミニウムコーン)

最大出力(SPL)1M: 108dB

ワイヤレス・ストリーミング: AirPlay 2/Google Chromecast/ROON Ready(まもなくサポート開始)/UPnP/Bluetooth 4.2

アンプ出力(1本): LF(Class D):280W/HF(Class AB):100W

ストリーミング サービス: Spotify/Ti dal /Amazon Musi c/Qobuz/Deezer/QQ Music(まもなくサポート開始)/Internet Radio/Podcast

音源解像度: ネットワーク:最大384kHz/24bit、光入力:最大96kHz/24bit、同軸ケーブル:最大192kHz/24bit、HDM:最大192kHz/24bit

プライマリー・スピーカー入力: HDMI eARC、TOSLINK 光入力、同軸デジタル、アナログ 3.5mm、アナログケーブル、USB Type A(サービス診断用)、RJ45 イーサネット(ネットワーク/左右スピーカー間)

プライマリー・スピーカー出力: RCA サブウーファー 出力

入力: 100-240VAC 50/60㎐

消費電力: 200W(作動時電力)、<2.0W(待機自電力)

重量: 20.1kg /1本

外形寸法: 200W×305H×311D㎜(ターミナル部分含む)

価格:  270,000円+税

聞き手・文
土方久明
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土方久明 オーディオ評論家

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのエンジニアを経て、ハイエンドオーディオからポータブルオーディオ、カーAV...

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