2020.04.17
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第4話
筋トレをしたい気持ちがふつふつと湧いてくるブラームス
クラシック音楽界の体育会系ライター
クラシック音楽界の体育会系ライター
高坂はる香 音楽ライター
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
メイン写真:ボリス・ベレゾフスキー©Yuri Bogomaz
外に出られず運動不足になりがちな昨今、自宅で少しでも体を動かせると良いですね。それにはまず、やる気を出すきっかけが必要。そんなとき、音楽はけっこう役に立つ。
私にとって、筋トレをしたい気持ちがふつふつと湧いてくる音源ナンバーワンは、モスクワ生まれのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキーの弾き振り、ロシア国立交響楽団による、ブラームスのピアノ協奏曲第1番の第3楽章であります。
単に筋トレするときに合う、というのではありません。聴いていると、なぜだか筋肉を鍛えたくなる、というのがポイントです。
同じ作品の他の音源も試してみましたが、テンポ感といい、パワーや勢いといい、ベレゾフスキーがベスト。リズミカルなパートでガンガンに腕立て・腹筋・スクワット、おだやかなパートでストレッチと次の筋トレの準備をするのがおすすめ。
ちなみにこれ、ライブ録音で最後に拍手が入っているので、きついメニューにするほど、最後の拍手が嬉しくなるオプションつき。
ベレゾフスキーさんといえば、体幹強そうな、どっしりとした弾き姿はまるで壁のよう。そこから重く密度の濃い音が、機敏に、華麗に、力強く放たれます。
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
モスクワ生まれ。モスクワ音楽院にてエリソ・ヴィルサラーゼに師事。1988年にウィグモア・ホールでロンドン・デビュー、1990年チャイコフスキー国際コンクールで優勝。©Yuri Bogomaz
モスクワ生まれ。モスクワ音楽院にてエリソ・ヴィルサラーゼに師事。1988年にウィグモア・ホールでロンドン・デビュー、1990年チャイコフスキー国際コンクールで優勝。©Yuri Bogomaz
もしかすると、その音にアスリート的身体能力の片鱗を感じることで、筋トレ気分が高まるのかもしれません……「この方は元プロレスラーです」と紹介されたら、そうなのかもと思えなくもない容貌も手伝って。
みなさんも筋トレ・クラシックの開拓、してみませんか。
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」
2023.02.23
本を読みたい気分が蘇った映画『ドライブ・マイ・カー』と『ワーニャ伯父さん』
2023.01.31
ブレハッチゆかりのビドゴシチで、ショパン・コンクールから17年の歳月を振り返る
2023.01.17
マルモッタン・モネ美術館で見た《印象、日の出》とタイトルを巡って起きた一論争
2022.12.28
戸室玄さん出演のウクライナ医療支援コンサート~持続可能な活動を支える一つの形
2022.11.23
【公演情報】ロン=ティボー・コンクールを沸かせたピアニストの演奏が日本で聴ける!
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2024.07.26
動画で学ぼう!日本の歌のうたいかた#4 小3で習う《ふじ山》《茶つみ》《春の小川...
2024.07.26
ブラームスを知るための25のキーワード〜その14:ピアノの腕前
2024.07.24
現代音楽界のレジェンド、I.アルディッティにきく 作曲家との50年を振り返るプロ...
2024.07.24
田中彩子~デビューから「台風の目の中」で進んできた10年、さらなる挑戦へ
2024.07.24
芸術家が愛したパリのカフェ〜ドビュッシーとプルーストが出会ったヴェベールなど5選
2024.07.22
橋本阿友子さん×町田樹さん特別対談 #3 フィギュアスケートの音楽編曲と著作権
2024.07.20
福間洸太朗を変えた 現代音楽との出会い「音楽世界の水先案内人でありたい」
2024.07.18
【Q&A】次世代カウンターテナー・上村誠一さん~合唱が原点。自分らしさを大切に