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2025.03.10
名曲解説100

30秒でわかるベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)の残した5曲のピアノ協奏曲のなかでももっとも規模の大きいこの作品は、それまでの古典的な協奏曲の様式を超えるようなダイナミックなスケールの大きさを誇る傑作で、華麗なピアノ独奏と力強いオーケストラの組み合わせから生れる豊麗な響きと、ヒロイックともいえる雄渾な楽想を特徴とすることから、《皇帝(エンペラー)》という通称(ベートーヴェン自身による題ではありません)で親しまれてきました。

従来の協奏曲の慣習であった演奏家による任意のカデンツァ(註:協奏曲やアリアなどに挿入され、独奏者や独唱者の華やかな技巧を披露する部分。無伴奏で即興的に演奏されることが多い)を廃止して、カデンツァを楽譜に記した形で組み込むなど、新しい試みを行なっている点も革新家ベートーヴェンらしいといえるでしょう。

第1楽章は、冒頭に華やかな独奏カデンツァを置いているのが当時としては斬新で、ピアノとオーケストラが互いに拮抗し、また協調しながら壮麗な展開を繰り広げていきます。一転、第2楽章は瞑想的な主題を持った静かな緩徐楽章で、穏やかなひと時を作り出しますが、そのまま休みなしに続くロンドの第3楽章では再び華やかに力強い発展が織りなされます。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》変ホ長調 作品73

作曲年:1809年

演奏時間:約40分

編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部、独奏ピアノ

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1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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