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2025.03.28
名曲解説100

30秒でわかるショパン:舟歌

ショパン:舟歌について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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フレデリック・フランソワ・ショパン(1810~49)は、生涯にわたってさまざまな曲種のピアノ作品を手掛けましたが、《舟歌》と題された作品は晩年に書かれたこの曲だけしかありません。舟歌はもともとヴェネチアのゴンドラの船頭の歌でしたが、ショパンはその特徴を応用して、自身の心のうちをこの曲で歌い上げました。

これを書いた時期のショパンは、恋人だった女性作家ジョルジュ・サンドとの関係も冷え込み、持病の結核も悪化の一途をたどるなど、寂しい日々を送っていました。

この作品は諦観したような明澄さのうちにそうした当時の孤独な心情を映し出した傑作で、傷つきやすいまでのデリケートな美しさを持っています。舟歌風のたゆたうような伴奏に乗って、微妙な表情の移ろいが紡ぎ出されていく曲で、精妙な旋律や和声表現が生み出すニュアンスの豊かさをはじめ、その書法はまさに円熟の極みというべきものがあり、後期のショパンが到達した高みがそこに示されています。

ショパン:舟歌 嬰へ長調 作品60

作曲年: 1845~46年

演奏時間:約8分

編成: ピアノ

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