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2025.06.05
名曲解説100

30秒でわかるチャイコフスキー:バレエ組曲《くるみ割り人形》

チャイコフスキー:バレエ組曲《くるみ割り人形》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜93)は3つのバレエ音楽の大作を残しましたが、それらの最後の作である《くるみ割り人形》は晩年の所産で、円熟した書法が童話の世界(原作E.T.A.ホフマン、台本プティパ)と見事に結び付いた傑作です。物語はクリスマスイブに少女クララがくるみ割り人形を贈られたことに始まり、彼女の夢の中で人形は鼠の大軍と戦って王子に変身、クララを菓子の国の城へ誘う、というもの。演奏会などでは作曲者自身が抜粋して編んだ組曲版がよく取り上げられます。

組曲は全8曲からなっており、軽やかな動きの「小序曲」、第1幕で子どもたちによって踊られる「行進曲」の後、第2幕の菓子の国の場面でクララを歓迎して踊られるさまざまな舞曲-チェレスタの鈴のような音が効果的な「こんぺい糖の踊り」、力強い躍動感に満ちたロシアの農民舞曲「トレパーク」、コーヒーが踊るエキゾチックな「アラビアの踊り」、お茶が踊る「中国の踊り」(フルートの舞い上がるような旋律が印象的)、アーモンド菓子の女羊飼が踊る「葦笛の踊り」(軽快なフルートの重奏)、こんぺい糖の精の侍女達が踊る華麗で優美な「花のワルツ」-が続きます。

チャイコフスキー:バレエ組曲《くるみ割り人形》op.71a

作曲年:1891〜92年

演奏時間:約22分

編成:フルート3(第3はピッコロ持替)、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン1、クラリネット2、バスクラリネット1、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、テューバ1、ティンパニ、トライアングル、シンバル、タンブリン、グロッケンシュピール、チェレスタ、ハープ1、弦5部

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