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2025.06.09
名曲解説100

30秒でわかるシベリウス:交響詩《フィンランディア》

シベリウス:交響詩《フィンランディア》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865~1957)は、初期にはロマン的な書法のうちに民族色を打ち出すという国民楽派風の作風を特徴としていました。《フィンランディア》はそうした初期の彼の様式を端的に示す名作です。

この曲が書かれた当時、フィンランドはロシアの圧政下にあり、民族独立運動がさまざまな形で起こっていました。1899年秋には新聞関係者によって民族的な歴史劇の上演が企画され、シベリウスはその劇音楽を担当することになります。交響詩《フィンランディア》はその際に書いた劇音楽の最終場の曲を独立させ改訂したもので、ヘルシンキの楽団がパリ万博に派遣されることになったことが改訂のきっかけでした。ただ《フィンランディア》という愛国的な題をロシアは許さず、パリ万博では《祖国》の題で演奏されています。

曲は民族の苦難を示す重々しい序奏に始まり、金管と打楽器によって闘争を表すリズム動機が示された後、戦闘的な主部が発展、やがて平和を希求する賛歌の旋律を木管が呈示して弦に広がります。その後再び闘争が繰り広げられますが、最後は先の賛歌が強奏され、勝利を高らかに謳い上げて締め括られます。

シベリウス:交響詩《フィンランディア》

作曲年: 1889年、改訂1890年

演奏時間: 約8分

編成: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ1、ティンパニ、大太鼓、トライアングル、シンバル、弦5部

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