横浜みなとみらいホールの初代プロデューサーに藤木大地、ホールオルガニストに近藤岳が就任!
来年11月のリニューアルオープンに向け準備を進めている横浜みなとみらいホール。2020年4月1日からクラシックコンサート構成作家の新井鴎子さんを館長に迎え、コロナ禍で立ち上げたバーチャル芸術フェスティバル「横浜WEBステージ」など休館中の事業も活発に行なっている同ホールに、2人の新しい「顔」が加わることが発表されました。
国内外で活躍する音楽家をプロデューサーに迎える新企画「プロデューサー in レジデンス」の初代プロデューサーに、カウンターテナーの藤木大地さん。ホールのシンボルであり“ルーシー”の愛称で親しまれるパイプオルガンの責任者、ホールオルガニストに近藤岳さん。ONTOMOでもお馴染みの2人が、横浜みなとみらいホールのポストに就任されました。
藤木さんは、2021年9月より2年間、ホールのプロデューサーとして企画制作を担当します。現在予定されているものでは、 横浜みなとみらいホールのリニューアルオープン記念事業、オーケストラ公演や室内楽公演の企画、事業計画の策定や広報への取り組みなどに関わるとのこと。
「演奏家が企画制作からホールと連携することで、音楽ファンの心に残る企画性の高い演奏会の実現、さらには様々なスタイルで音楽を楽しむ ことができるようになった社会で、演奏家自身のプロデュース力の向上を目指す」というコンセプトのもと始まった新企画「プロデューサー in レジデンス」からは、どんな舞台が生まれるのでしょうか。
©hiromasa
僕が声楽の勉強のために上京した年にオープンした横浜みなとみらいホールと、こんなに素敵なご縁で結ばれる こととなり、本当に光栄です。
歌手としての国際的な経験、そして歌を諦めようとしていた頃には音楽祭の制作スタッフとしても働き、実際そ れを生業にしようとウィーンの大学院で経営学を修めた 20代後半から 30代半ばの頃の経験、40歳を過ぎて、 それらの点がだんだん線につながってきたなと感じていた時期にいただいた大役を、新時代を迎えたばかりの横 浜市から、全国の皆さんに音楽を楽しんでいただくことで果たしたいと思っています。
プロデューサーとは、オーディエンスのための企画を作る人のことだと思っていました。もちろんそれは正しい のですが、舞台芸術を職業とし生活する音楽家、スタッフ、そして家計を同じくするその家族の、音楽や芸術を 愛し全うしてきた人生をこれからもあたたかく維持するために、人と人とをつなぎ、そういった人たちの仕事、 雇用を新たに、そして継続的に生み出すこともまた、プロデューサーのつとめであると考え始めています。
そのようなコンセプトから、僕の任期中には、全国各地の劇場やご主催者との共同(協働)制作、また教育機関 との強いタイアップによる職業人の育成を二本柱として、横浜にも、ご一緒いただく各地の皆さんにも、将来へ のよいブランディングの機会となるような、最高品質の事業ラインアップを構想しています。本物に触れてこそ、 未来の聴衆も育つと信じているからです。
すでにプロジェクトは動き始めていますが、一緒に船に乗ってもいいよ、と申し出てくださる皆さんがいらっ しゃいましたら、大歓迎です。ホールまでお問い合わせいただけたら嬉しいです。
こんにち、これまでライバルだと位置付けられていた人たちも、目先の利益にとらわれず、みんなで手を取り 合って文化芸術の維持、発展に協力し、すなわち社会に寄与する時代だと思います。
文化が人の心を豊かにするという有名な言葉が本当だったことを、そして確かに優しい世の中を作ることを、こ の仕事に没頭することで実感するのだろうし、その実感をかたちにしてお伝えしていくつもりです。
それでは、劇場でお会いしましょう!
近藤さんは、ホール開館以来ホールオルガニストを務めた三浦はつみさんの後任として、2022年4月から就任。ホールオルガン事業の企画・出演・広報、オルガニスト・インターンシップ・プログラムをはじめとする後進の育成、ホールオルガンのメンテナンス及びオルガン利用に関する管理業務などを担当されるそうです。
Photo:青柳 聡
この度、2022年にリニューアルオープンする横浜みなとみらいホールのオルガニストに就任いたします、 近藤岳です。
前任の三浦はつみさんを通じて、ご自身の退任後に、次期オルガニストをぜひ務めてもらえないだろうかと、身に余るお話をいただきました。
開館当初から、常にホールのオルガン事業を素晴らしく導いてこられた三浦さんのご功績は、誰にも真似できるものではありません。オルガン“ルーシー”と共に、いつも明るい光を指し示してくださりました。僕も様々な 局面で、暖かなお心遣いやたくさんのご配慮をいただき、オルガニストとして得難い経験をこれまでに数多くさ せていただきました。
お返事に際しては、ずいぶん迷いましたし、果たして本当にお役に立てるだろうか……という思いやプレッシャーが大きかったのですが、こんな光栄なお声がけを頂いたのであれば、それにお応えし、これまでの恩返しをしたい! と思い至り、正式にお話をお引き受けいたしました。
ホールのオルガニストに従事するのは、今回が初めてではありません。2004年7月から 2018年3月末まで(途中留学期間がありましたが)、ミューザ川崎シンフォニーホールのオルガニストを11年ほど務めました。ミューザでは本当にたくさんの経験や学びを得て、いろいろなご縁に恵まれました。それらは僕にとってかけがえ のない財産になっています。
思い返しますと、横浜みなとみらいホールのルーシーに初めて触れたのは、ミューザ時代からさらに遡り、僕がまだ大学院に在籍していた頃だったと記憶しています。おののくほどの存在感に圧倒され、自分がまだまだ未熟すぎて、正直「敵わない」と感じたのを今でも鮮明に覚えています。あれからだいぶ時間は経ちましたが、40代後半を迎えた今、やっとルーシーと真正面から向き合えるようになってきたと感じています。
来年 2022年のリニューアルオープンを経て、2023年にホールは開館 25 周年、‟ルーシー“も25歳、そして僕は50歳となります。「人生の後半戦は、横浜で。」……きっと僕にとって最後のホールオルガニスト職になるだろう、そんな思いでおります。ですので、これまでの音楽経験を存分に活かし、三浦さんから受け継いだバトン をしっかりと手にし、「人」と「オルガン」と「音楽」をつなぐたくさんの素敵なことを、ホールから、横浜から、 発信して参りたいと思います。どうぞご期待ください!
横浜みなとみらいホールでの2人の活躍と、リニューアル後の2022年からの新しい展開に注目です!
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