読みもの
2025.05.09

今週の音楽家の名言【指揮者・小林研一郎】

Webマガジン「ONTOMO」でインタビューをした音楽家の記事から、心に響く名言をお届けします。今週は指揮者・小林研一郎さんの名言をどうぞ。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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光を支える影こそが音楽の本質なのではないでしょうか。

――「ONTOMO」2024.12.05 インタビューより
指揮者・小林研一郎が追いかけ続ける、ベートーヴェン第九に秘められた光と影

“炎のコバケン”の愛称で知られる指揮者、小林研一郎さん。その指揮からあふれる情熱、そして語られる言葉のひとつひとつには、音楽と人間に対する深い洞察がにじんでいます。

「音楽の本質である影を見つけることが僕の仕事だと思っています」と語る小林研一郎さん。オーケストラの中で前に出る音が“光”だとすれば、それをそっと支える他の音たちは“影”。そしてその“影”にこそ、音楽の深みが潜んでいる。そんな思いが、この言葉にも込められています。

音楽には、明るく華やかな部分だけでなく、沈黙、間、柔らかさといった“目立たない”要素が欠かせません。際立つメロディが光を放つには、その背後にある“支える音”が不可欠なのです。

人生もまた、同じかもしれません。喜びや成功の裏には、見えない努力や葛藤がある。目立たないからこそ大切な“影”の存在に気づくこと。それが小林研一郎さんの音楽づくりの根底にある姿勢なのではないでしょうか。

 

小林研一郎(こばやし・けんいちろう)

“炎のコバケン”の愛称で親しまれる日本を代表する指揮者。東京藝術大学作曲科、及び指揮科の両科を卒業。1974年 第1回ブタペスト国際指揮者コンクール第一位、及び特別賞を受賞。2002年プラハの春音楽祭では東洋人初のオープニング「わが祖国」を指揮して万雷の拍手を浴びた。
これまでにハンガリー国立フィル、チェコ・フィル、アーネム・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、フランス国立放送フィル、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管、ロンドン・フィル、ハンガリー放送響、N響、読響、日本フィル、都響等の名立たるオーケストラと共演を重ね、数多くのポジションを歴任。
ハンガリー政府よりハンガリー国大十字功労勲章(同国で最高位)等、国内では旭日中綬章、文化庁長官表彰、恩賜賞・日本芸術院賞等を受賞。
作曲家としても数多くの作品を書き、1999 年に日本・オランダ交流 400 年記念の委嘱作品、管弦楽曲『パッサカリア』を作曲、ネーデルランド・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されると、聴衆から熱狂的な喝采を以て迎えられた。同作品はそれ以降も様々な機会に、アシュケナージ指揮N響、小林研一郎指揮日本フィル等で再演されている。
2005年、社会貢献を目的としたオーケストラ「コバケンとその仲間たちオーケストラ」を設立、以来全国にて活動を続けている。
CD、DVDはオクタヴィア・レコードより多数リリース。著書に『指揮者のひとりごと』(日本図書協会選定図書)等がある。
現在、日本フィル桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィル・名古屋フィル・群響桂冠指揮者、読売日響特別客演指揮者、九響名誉客演指揮者、東京藝術大学・東京音楽大学・リスト音楽院名誉教授、ローム ミュージック ファンデーション評議員等を務める。
https://maestro-kobaken.com/

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