読みもの
2025.05.15

今週の音楽家の名言【ピアニスト・舘野泉】

Webマガジン「ONTOMO」でインタビューをした音楽家の記事から、心に響く名言をお届けします。今週はピアニスト・舘野泉さんの名言をどうぞ。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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音楽とは生きているということ。命の軸です。

――「ONTOMO」2023.05.21 インタビューより
舘野泉&畠中秀幸 特別対談「左手になって、自分たちの音楽は変わったのか」

左手のピアニストとして、世界中の人々に深い感動を届け続ける舘野泉さん。65歳で脳出血に倒れ右半身が不自由になった後も、左手の演奏によって新たな音楽の道を切り拓きました。

「音楽とは生きているということ。命の軸です。」というこの言葉には、音楽を“表現”や“技術”以上のものと捉える、舘野さんの音楽家としての揺るぎない姿勢が表れています。

演奏家にとって音楽は仕事であり、日々の営みの一部でもあります。しかし舘野さんにとって、それはもっと根源的な存在です。

音楽は、いつのときも「生きていること」の証であり、日々を支える“命の軸”として自身の中にあり続けてきました。この言葉からは、そんな静かで揺るぎない確信が伝わってきます。

音楽とは、生きることそのもの。だからこそ、誰かの心に深く届き、多くの人の人生に寄り添う力を持つのかもしれません。

舘野泉さんの音楽には、そんな“命の音”が宿っているように感じられます。

 

舘野 泉(たての・いずみ)

クラシック界のレジェンド、88歳ピアニスト。東京生まれ。1960年東京藝術大学を首席卒業。1964年よりヘルシンキ在住。1981年以降、フィンランド政府の終身芸術家給与を受けて演奏生活に専念する。領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。これまで北米、南米、オーストラリア、ロシア、ドイツ、フランス、北欧諸国を含むヨーロッパ全域、中国、韓国、フィリピン、インドネシア、インド、ブータン、ネパールなどアジア全域、中東でも演奏会を行う。これまでにリリースされたLP/CDは130枚におよぶ。 ピュアで透明な旋律を紡ぎだす、この孤高の鍵盤詩人は、2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。尽きることのない情熱を、一層音楽の探求に傾け、独自のジャンルを切り開いた。2006年に「舘野泉左手の文庫」を設立。“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により、130曲をこえる。2012年以降は海外公演も再開し、パリやウィーン、ベルリンにおいても委嘱作品を含むプログラムでリサイタルを行い、満場の喝采で讃えられた。2024年9月インド、ブータン、ネパールで演奏。現在、卒寿記念演奏会の全国公演を展開中。2025年は演奏生活65周年を迎える。
もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。新刊「奇跡のピアニスト 舘野泉」(みずいろブックス刊)。
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