読みもの
2020.12.21
「音大ガイド」7.変わる音大

(2)変わる音大生の姿 ~ゲーム、アニメ、映画などのための新しい作曲専攻の場合

刻々と変化する世の中や音楽関連業界に対応すべく、音大も変化しています。ここでは筆者である井口淳子さんが教員をされている大阪音楽大学における、ゲーム、アニメ、映画といった商業音楽のための職業作曲家を養成する「ミュージッククリエーション専攻」および「作曲デザイン専攻」(短大)を例に学びの特徴をご紹介しつつ、そこでの学生のあり方はどのようなものかをご説明します。

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『音楽大学・学校案内』編集グループ
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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・夢川愛唯奈(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊...

文:井口淳子  大阪音楽大学教授(音楽学) 

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作曲ツールはDTM、DAWも

まず、ゲーム、アニメ、映画といった商業音楽のための作曲専攻と従来のクラシック音楽の作曲専攻との大きな違いは、DTM(デスクトップミュージックを作曲ツールとして選択できる点です。ピアノに代わってパソコンを用いて作曲する、そのためにはDAW(デスクトップ・オーディオ・ワークステーション)と呼ばれる音楽制作ソフトを装備したパソコンが必須アイテムになります。

入学以前にこういった制作ソフトに習熟していなくとも問題はありません。一般大学からの編入や社会人も受け入れているため、入学後に上級生や助手がテクニカルサポートを行います。受験者層は、もともと作曲専攻を志望していたというタイプ、楽器を続けてきたがゲーム音楽など商業音楽に興味があり進路を変更したタイプなど、やはり一定の音楽学習経験を持つ受験生が多く見受けられます。

幅広く自作のディレクションを学ぶ

入学後は特定の音楽ジャンルに偏らず、多種多様な音楽ジャンルの作曲が課せられます。基本であるオーソドックスな作曲技法を身につけた上で、クラシックからJポップまで幅広く課題が出され、それをこなしていきます。また録音実習ではバンドや室内楽、邦楽にいたるまで演奏者への指示(場合によっては指揮)、編集など録音のプロセスを実地経験し、作品を商品として仕上げる自作のディレクションの経験を積んでいきます。

コンペへの応募はもとより、優秀作品は教員の推薦や学内プロダクション(学生の作品を売り込んだり、著作権管理なども行う)がある場合はプロダクションを通じて商品化されるケースもあります。また、業界で活躍するクリエイターやプロデューサーらをゲスト講師として招くレクチャーも頻繁に開催されています。

さらに、全学に開講されている科目、すなわち西洋楽器、声楽、邦楽、古楽・民族楽器の演奏が学べる演習をはじめ、合唱、音楽学系科目(音楽史、民族音楽学、楽器学)など、自らの創作に役立つ授業を積極的に受講することが奨励されます。

自然と多様な興味関心に繋がる

実際、こういった新しい専攻ができてから、古楽、民族音楽、邦楽関連の科目の受講生が増える現象が起きています。伝統的なクラシック音楽の専攻生は専門技術を高めることに時間をとられ、自由選択の科目を受講しにくいというケースもあるのに対して、新しい専攻の学生は幅広い音楽に好奇心をもち、貪欲に自作のためのヒントを得ようとすることを自然と求められるからでしょう。

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執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・夢川愛唯奈(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊...

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