読みもの
2022.10.07
8.音大入試の「楽典」解き方のコツ

(4)音大入試の楽典、「移調」問題の解き方のコツは?――臨時記号の「楽譜上の意味」

音大(音高)入試の楽典に悩む人は多いと思います。テキストを読んだけれど問題は解けない。解くスピードが遅い。どうすれば良いかわからない。そこで今回、2022年7月27日刊行の『音大入試の「楽典」 解き方のコツ&過去問トレーニング』から、論点別に解き方のコツをお伝えします。第4回は「移調」。出題パターンに仕掛けられた罠をスマートにスピーディーに攻略しましょう!

菅原真理子
菅原真理子

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修士課程作曲専攻修了。昭和音楽大学附属音楽教室講師。元昭和音楽大学および同短期大学部非常勤講師。音楽之友社刊『音楽大学・高校 ...

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問題
次の楽譜を短2度低く、調号を用いて高音部譜表上に移調しなさい。音符以外の記号もすべて書き移すこと。

今回は移調の問題です。フラット1個の調号が付いていますね。そして、問題文には「調号を用いて」とあります。移調の問題には大きく分けて2つのパターンがありますが、この問題はそのうちの1つの、「調号が付いている楽譜を、調号を用いて移調しなさい」というケースに当てはまります。

楽譜を書く前にまず準備

いきなり楽譜を書かず、先に準備しましょう。もとになる楽譜の「臨時記号が付いている音」を見て、その臨時記号の「楽譜上での意味」を調べます。図のように、「↑(半音上がっている)」「N(もとの音のまま)」など、楽譜上の意味を示すための記号を使ってメモすると便利です。「↑」「N」というのは一例ですので、自分がわかりやすい記号ならばどんなものでもOKです。

「もとの音」とは、長音階または自然短音階の音階のなかの音です。この問題の移調前の楽譜は調号フラット1個ですから、ヘ長調の音階またはニ短調の自然短音階の音を「もとの音」として考えます。長調か短調か調判定をする必要はありません。

さあ、書こう!
音部記号・拍子・音符に休符

準備ができたら、ここからは解答用の五線に書き込んでいきます。まず音部記号を書いたら、続いて移調後の調号を書きます。フラット1個の調号を持つ調から「短2度低く」移すと、長調と短調どちらの場合でも、調号はシャープ4個になりますね。うっかり「短2度高く」「長2度低く」などと間違えて移さないよう、書き始める前の確認はくれぐれも慎重に。楽譜にある拍子記号も、忘れずに書き移しましょう。

次に、音(休)符を書き移します。この段階では臨時記号を無視し、「短2度」の「短」も無視し、ひたすら「2度低く」だけを念頭に置いて書き移すのがコツ。すると、下の図のようになります。

さあ、臨時記号を付けよう!

いよいよ臨時記号の出番です。移した音符のうち、「もとの楽譜で臨時記号が付いていた音」のみに臨時記号を付けます。移調する前のもとの楽譜で臨時記号が付いていた音は、全部で4個でしたね? 移調後の楽譜でも、この4個だけに臨時記号を付ければいいのです。準備のときに「↑」を付けた音に対応する音は半音上がるように、「N」が付いていた音に対応する音はもとのままになるように……という具合です。ただし、移調後の楽譜は調号がシャープ4個ですから、ホ長調の音階または嬰ハ短調の自然短音階の音を「もとの音」として考えることになります。

では、ここで質問です。下の楽譜には、4個のうち3個まですでに臨時記号を付けましたが、まだ付けていない「?」にあたる音には、どんな臨時記号を付ければよいでしょうか?

この音は、移調後に「もとの音(嬰ヘ音)」のままになるはずですよね。でも、小節のはじめの音に付いているダブルシャープがこの音にも有効になっているので、今のままだと「重嬰ヘ音」です。これを嬰ヘ音にするためには……
そうです、シャープを付けるのです。このように、前方の臨時記号が後の音に影響することがあるので、油断できません。

仕上げのひと手間を忘れずに

臨時記号を付けたら、もとになる楽譜のスラーなどの記号を、対応する正しい位置に書き移します。「↑」「N」などのメモは、見直しが済んでからすべて消しましょう。

正解は

移調の問題は時間と手間がかかりそうに見えますが、きちんと手順さえ踏めばサラサラと正しく解答できます。『音大入試の「楽典」 解き方のコツ&過去問トレーニング』の第7章「移調」で、すべてのパターンをじっくり眺め、練習を重ねて解き慣れてください。

受験生待望の新刊!

『音大入試の「楽典」解き方のコツ&過去問トレーニング』

 

本書は、楽典の基本知識をインプットした人が入試問題を効率的に解けるようになるために、出題パターン別に解き方のトレーニングを行う、これまでになかった画期的な一冊です。

 

 

菅原真理子(監修・著)、井上ゆり子、堀優香、辻田絢菜(著)

2022年7月27日発売、B5判、176ページ、税込1870円



本書は、25年にわたり『音楽大学・高校 入試問題集』楽典問題の解答・解説執筆の中心人物であり、音大附属音楽教室で多くの受験生の指導も長年行うことで、音大の入試問題に精通している「受験生の味方」菅原真理子氏監修によるものです。

 

これまで楽典の入試対策書籍は、基礎知識の本と問題集は刊行されていたものの、これを繋ぐ入試対策のための「アウトプット・トレーニング」が効率的にできる書籍が見当たりませんでした。

 

本書はそこを解消すべく、菅原氏はじめ執筆陣の総力による知識体系と指導経験をベースにして、解き方や間違えやすいポイントを「まるで隣りで教えているように」わかりやすく解説しています。

 

特長は、近年の出題傾向に対応・実際に出題された近年の問題を使用、難問・奇問・レア問を排しオーソドックスな出題のすべてに対応、スムーズに学習が進む出題パターン別のアウトプット練習、「あるあるミス」「解き方のポイント」など工夫を凝らしたレイアウトなどです。

 

『音大入試の「楽典」解き方のコツ&過去問トレーニング』

菅原真理子
菅原真理子

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修士課程作曲専攻修了。昭和音楽大学附属音楽教室講師。元昭和音楽大学および同短期大学部非常勤講師。音楽之友社刊『音楽大学・高校 ...

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