読みもの
2021.01.19
「音大ガイド」7.変わる音大

(4)音大のミュージカル専攻で何を学ぶ?——俳優やスタッフを目指すために

歌やダンス、そして美しい舞台セット……あらゆる“美”が詰まった舞台を提供してくれるミュージカル。皆さんもきっと憧れたことがあるでしょう。そんなミュージカルの舞台に上がるためにはどんな勉強が必要なのか、悩んだことはありませんか? 演技に歌、そしてダンスなど、さまざまなことができなくてはなりませんが、最近の音楽大学にはそれらを総合的に学べる授業が揃っているのです!

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『音楽大学・学校案内』編集グループ
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『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・夢川愛唯奈(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊...

文:長井進之介

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音大でミュージカルを学ぶ!?

音大で学べるのはクラシック音楽が中心……というイメージの方も多いと思いますが、そんなことはないのです。多くの大学がさまざまなジャンルを勉強できるような環境を整えていますし、演奏だけではなくダンスを学べる大学もあります。音大での学びも多様化しているなか、ミュージカルを多角的に学ぶことができる音大も増えてきています。

もちろん、ミュージカルスターになる道はさまざまですが、音大での学びは近道の一つといえるでしょう。実際に、現在活躍されているミュージカル俳優には音大の声楽科、そしてミュージカル専攻出身者はかなり多いのです。主役級はもちろん、脇を固めるアンサンブルキャストの演者さんにも多くの音大出身者のお名前が並んでいます。

なぜ音大で学ぶことがミュージカルへの近道なのか

ミュージカルは、そもそも、歌(と音楽)にセリフ、そしてダンスが融合した“演劇”です。どれか一つだけが優れていても、ミュージカル俳優として活躍することは不可能です。その点、音大のミュージカル専攻では、必要なことをバランスよく学ぶことができる環境が揃っています。

ミュージカルで活躍されていた俳優さん(もちろん現役の方も!)が講師となり、発声や演技指導をしていただけますし、ダンスの授業も開講されていますので、実践的な経験を積むことが可能です。しかも、ミュージカル専攻であれば、同じ夢を目指す仲間たちと一緒に学べるので、さまざまなアンサンブル曲に挑戦することができますし、目標に向かって仲間と一緒にがんばることができます。

音楽の基礎をしっかりと学べることも近道へのカギです。ミュージカルで歌われるナンバーの多くは、完全に“楽譜通り”に歌われているわけではありません。俳優さんの独自の表現も盛り込まれています。しかし、自分なりの演奏をするためには、きちんとその曲がどのように書かれているかを理解しなくてはなりません。正しい音程やリズム、そしてメロディにはどんなハーモニー(伴奏)がついているのか。それを理解していなければ、本当に作品を理解して歌うことはできないのです。そのためには楽譜を読むための基礎訓練である「ソルフェージュ」や“音楽の文法”である「楽典」を学ぶことが必要になりますが、これについても音大は基礎から丁寧に(大学によっては事前にクラス分けが行われ、自分のレベルにあったクラスで安心して学ぶことができます。努力次第では上のクラスに上がることも可能ですよ!)指導してくれるのです。

さまざまな芸術を知ることが演技に“深み”を作る

音大にはさまざまなジャンルの音楽を学ぶ学生が通っています。クラシックやジャズ、ブラスバンド、そして最近ではアニメソング専攻のある音大も。たくさんの授業を受講し、あらゆるジャンルの学生との関わりの機会を持つことで、新しい自分の可能性に目覚めることもあります。

また、音大によっては、ミュージカル“専攻”ではなく“コース”制をとっているところもあります。他の専攻(オペラなどを学ぶ声楽科やピアノ科など)で入学してから、ミュージカルを勉強することも可能なのです。音楽の基礎がしっかりしていれば、ダンスの面では時間がかかるかもしれませんが、歌や音楽にのって演技をする、という点で追いつくことはそう難しくないでしょう。

ミュージカル俳優になるために

ミュージカル俳優になるためには、基本的には事務所に所属したり、劇団に所属していくことになります。そのためにはオーディションを受けなくてはなりません。さまざまなオーディションについての情報は大学内に掲示されますし、就職を相談できる課もあるので、幅広いサポート体制が整っています。音大によっては特別講師としてミュージカル俳優を招いてマスタークラスや講演会も開催されます。しかし何よりも音大の先生は学生にとって最も身近な“業界の先輩”。いろいろと親身にお話を聞いてくれるはずです。

卒業後の進路は……?

卒業後の進路は皆さんが一番心配されるところだと思います。卒業後、オーディションを受けて劇団四季や東宝などの劇団、もしくは芸能事務所に所属してミュージカル俳優の夢をかなえる方もいらっしゃいますが、全員がそうなれるわけではない、厳しい世界です。しかし音大でさまざまな経験をし、いろいろな人とのつながりを作ることが、卒業後の進路に必ず役立ちます。

実際、音大のミュージカル専攻を卒業された方は、さまざまな分野で仕事をしていらっしゃいます。例えば舞台の制作(演出や舞台セットの製作など)、劇場の運営(演目を決めたり、チケット販売のための広報活動など)、舞台にお客様をお迎えするレセプショニストなど、素晴らしい舞台をお客様に楽しんでいただくお仕事はたくさんあります。

もちろん一般企業に就職する方もいらっしゃいます。音大と一般企業とはあまり関係がないように見えるかもしれません。しかし、一つの目標に向かって努力する姿勢、一つの舞台を作り上げるチームワークなどの経験が、違った分野でも大活躍するためのスキルを育ててくれるのです。音大は就職の相談にも親身に乗ってくれますし、ミュージカルスターの夢を目指しながら就職の可能性も模索できる環境が揃っています。

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執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、青野泰史・夢川愛唯奈(編集グループ)。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊...

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