読みもの
2020.03.19
「音大ガイド」音大の受験対策

音大受験に必要な専攻実技の練習時間は?~練習「時間」よりも大切なこと

音大の合格者は、1日に何時間練習したのだろうか、気になると思います。もちろん人や楽器や志望校によってさまざまで一概には言えない話ですので事例を示すとともに、時間よりも大切なポイントをおさえておきましょう。

*記事は内容の更新を行っている場合もありますが、基本的には上記日付時点での情報となりますのでご注意ください。

ナビゲーター
『音楽大学・学校案内』編集グループ
ナビゲーター
『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

音大受験には、専攻実技の練習はどのくらい必要?

学生や保護者の方からもっともよく聞かれる質問の一つです。

音大のピアノ専攻生に、自身の受験3ヶ月前の練習時間を聞いたところ、ある学生は「平日:4時間、休日:朝・昼・晩にわけて合計9時間。入試直前は、もっと長時間練習した」と答えています。ほかにも、1日に「約10時間」「8時間」「6時間」「最低でも3〜4時間」など、いろいろな答えが返ってきました。

逆に、声楽や管楽器などでは長時間練習すると声帯を痛めたりアンブシュア(口の形、機能)が崩れたりするので、ほかの人の演奏を聴いて目標を明確にするイメージトレーニングを大切にする、という方もいます。

しかし、これらの答えは、「合格した人がどのくらい練習していたか」という質問の回答に過ぎません。したがって音大受験に必要な練習時間は?という質問には、一概に答えられないというのが正直なところです。

休憩を必ずとり、練習の成果を何度もチェックしてみること

そこで考えていただきたいのは、どのような観点で練習に取り組むか?ということです。例えば目標を5時間なら5時間として、それを達成したらある種の達成感や安心感はあるかもしれません。しかし、結果としてその日始めた時の演奏よりもミスが増え、演奏内容が悪くなってしまっているのでは意味がありません。

もちろん個人差はありますが、人間の集中力の限界は大体90分だと言われています。もし休憩もなく5時間弾き通していたとしたら、おそらく自分の音がどうなっているかは理解できなくなっているでしょう。

大事なことは、先生から指摘された技術的、音楽的課題を解決することであって、それが間違いなくできるのであればそれ以上練習する必要がありませんし、できないのであれば何時間でも練習しないといけません。また、それが時間をおいても再現できるかをチェックすることも必要ですから、そのような意味でも必ず休憩をとるようにしましょう。

成果をあげる練習方法

まずは可能な限り、しかもあまり良くない条件で(朝早くや、疲れて帰ってきてすぐなど)本番のつもりで弾いてみて、どのような失敗があるか何度もチェックするようにしてみることをおすすめします。携帯のボイスメモ機能を使って自分の演奏を録音して確認したり、本番の緊張感を味わうために、家族に聴いてもらうのもいいかもしれません。そしてうまくいかなかった部分を集中的に練習して、休憩後または翌日の最初に練習の成果が出るかどうか試してみましょう。

うまくいったならば、さらに良くできないか考えてみる。うまくいかなければ、練習量や仕方を工夫してみる。そうすれば、自ずと自分に必要な練習時間というものが見えてくるのではないでしょうか。

上手な人たち、合格した人たちの練習時間が長いのは、練習の意味が分かっているからなのです。

ナビゲーター
『音楽大学・学校案内』編集グループ
ナビゲーター
『音楽大学・学校案内』編集グループ 音楽之友社

執筆:堀内亮(音楽大学講師)、荒木淑子(音楽ライター)、各編集グループスタッフ。音楽之友社および『音楽大学・学校案内』編集グループは、1958年に年度刊行書籍『音楽大...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ