世界の歌劇場の公演動画が無料で見放題! OPERAVISIONでおうちオペラを満喫
青山学院大学教授。日本リヒャルト・シュトラウス協会常務理事・事務局長。iPhone、iPad、MacBookについては、新機種が出るたびに買い換えないと手の震えが止ま...
世界の歌劇場の公演動画が見られるポータルサイト“OPERAVISION”
コロナ禍の期間、どこにも出かけられないとき、世界各地のオペラハウスは、自分たちがこれまでに撮ってきた公演の数々を、動画として積極的に提供してくれました。これらを自宅で鑑賞することで、生のオペラを聴くことができないという焦燥感を、どれだけ癒すことができたかしれません。
でも、ときどきは罰当たりなことを考えたものです。さまざまな歌劇場のホームページに片っ端からアクセスしているけれど、これらの動画が一箇所に集まっていると、本当は便利なのにな……、と。そんなポータルサイトがあればいいな、と。
実はそんなサイトは、コロナ禍の前からすでに存在していました。OPERAVISION、といいます。5年前から始まったサービスですが、いまやそのコンテンツは大きく膨らみ続け、オペラを愛するひとならば、もはや決して避けて通れない規模へと成長を遂げました。
YouTubeチャンネルも便利。一部日本語字幕も
その特徴はいくつもありますが、まずは、提供されている動画をすべて無料で観られることは特筆せねばなりません。歌劇場によっては有料のサブスクリプションサービスを自前で用意しているところもありますが、ここに登録されている歌劇場での公演動画は、指揮者や歌手、演出家などのインタビュー、作品解説など充実した数々の動画も含め、すべて見放題。週1回、新しいコンテンツが追加されるので、これから観始めてもすべてを追いかけることができるかどうか……、といった規模に膨れあがっています。
過去にアップされた動画の中では、プッチーニ《トゥーランドット》(フィンランド国立歌劇場)、ヴェルディ《ファルスタッフ》(フィレンツェ五月祭)が、日本人にもっとも視聴された動画だったとのこと。後者は日本語字幕がついていたことも理由のひとつに挙げられそうです。
OPERAVISIONにはもちろん自前のホームページがありますが、YouTubeにもチャンネルがありますので、そちらも登録しておいて、環境に合わせて使い分けるとよいでしょう。YouTubeを使う利点は、英語字幕しかついていないコンテンツであっても、YouTube自体のオート飜訳オプションを利用すれば、日本語で鑑賞することも可能です。
新国立劇場の昨年の話題作《ボリス・ゴドゥノフ》が早くも追加
日本発の舞台を提供すべく、新国立劇場がこのプロジェクトに参加しています。すでにグルック《オルフェオとエウリディーチェ》が公開済。これははじめから日本語字幕がついています。また、昨年上演された中でももっとも話題を呼んだ、ムソルグスキー《ボリス・ゴドゥノフ》も、つい最近追加されました。
2023年4月には、ヴェルディ《アイーダ》(ローマ歌劇場)、ベッリーニ《夢遊病の女》(ライン・ドイツ・オペラ)、モンテヴェルディ《オルフェオ》(ハノーファー歌劇場)が公開予定とのこと。皆さんも、ご自身がお好きなオペラ、歌劇場が登録されているかどうか、いちど検索されてみてはいかがでしょう。
テレビの大画面でおうちシアターも楽しめる
2023年3月現在で観られる演目の中で、リヒャルトものが大好きな筆者は、ワーグナー《パルジファル》(ベルゲン・フィル)、シュトラウス《ばらの騎士》(モネ劇場)などを、思う存分堪能しました。
テレビでYouTubeを観られるように設定すれば、大画面で迫力のオペラを、自宅に居ながらにして愉しめます。ハイレゾやサラウンドなど、最新の音響にこそ対応はしていませんが、アンプとスピーカーをしっかり揃えれば、かなりの没入感を誘う音質になっています。各歌劇場の響きの違いなども、体感できるかもしれません。
ノートパソコンで鑑賞する、というひとも、直接つなげるタイプのアクティヴスピーカーか、ヘッドフォン、イヤフォンを用いれば、かなりよい感じの音響で愉しめるはずですよ。そうそう、その際は、部屋の照明を暗くすることも忘れずに。
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