読みもの
2018.09.15
9月の特集「お取り寄せ」

あのウィーン・フィルから荷物が届く!? マニア垂涎、一流オーケストラの自主制作盤を取り寄せてみた。

9月の特集「お取り寄せ」。ONTOMOナビゲーターが、国内外からちょっと音楽を感じる素敵な一品をご紹介します。
音楽評論家の増田良介さんがご紹介するのは、ウィーン・フィルから直接お取り寄せする自主制作盤。一流のオーケストラの自主制作盤だから、さぞかしこだわりが詰まっているに違いない! 早速お取り寄せしてみましょう。

取り寄せた人
増田良介
取り寄せた人
増田良介 音楽評論家

ショスタコーヴィチをはじめとするロシア・ソ連音楽、マーラーなどの後期ロマン派音楽を中心に、『レコード芸術』『CDジャーナル』『音楽現代』誌、京都市交響楽団などの演奏会...

写真:増田良介

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持っていれば自慢できる!

あのウィーン・フィルが自主制作盤を出しているのをご存じだろうか。過去の演奏会のライヴ録音を、毎年1点のペースでCDにしている。今世紀になったあたりから、世界の有名オーケストラがこぞってCDの自主制作に乗り出しているから、ウィーン・フィルが出していても不思議ではない。

だが、内容は本当にすごい。さすがウィーン・フィル、世界一流の指揮者たちによる名曲の名演がずらりと揃っている。

ジャケットが渋くてかっこいい!

ただ、他のオーケストラの自主制作盤と違うのは、これらのCDが普通のショップでは買えないということだ。ティーレマン、ヤンソンス、ブロムシュテットのブルックナー、マゼールのチャイコフスキー《悲愴》と自作(指揮ではなくヴァイオリン独奏を担当!)、ムーティのプロコフィエフにプレートルの《幻想》と、ファン垂涎のラインナップなのだが、どういうわけか、タワーレコードでもHMVでもアマゾンでも売っていない(2018年9月現在)。

さて、内容がすばらしいのに簡単に手に入らないというのは何を意味するだろうか。言うまでもない、持っていれば自慢できるということだ! インターネットのおかげでたいていのものは簡単に手に入るようになった現代、持っているだけで自慢できるアイテムなんてなかなかない。

 

これで万全! お取り寄せ方法

というわけで、今回は、ウィーン・フィルの公式サイトからお取り寄せに挑戦してみよう。難しそうに思うかもしれないが、案外なんとかなるものだ。確かに普通の通販に比べるとちょっとばかり手間がかかるが、やってみれば、これはわくわくする体験だ。首尾良くいけば、何日か後にウィーン・フィルから直接荷物が届く。

ともあれ、まずはウィーン・フィルのサイトに行こう。左上に言語を選ぶボタンがあって、JPというのを押せば日本語になる。なんだ日本語で買えるのか、それなら安心、と思うのは早い。残念ながら日本語化は完全ではない。

まずはウィーン・フィルのサイト(日本語)へ飛ぼう。

「ショップ」に行くと、カタログがあるので、「CD」を選ぶ。他のレーベルの商品も含め、いろいろなCDが載っているが、Special Annual Edition と書いてあるものが自主制作盤だ。これらのCDは、基本的にここでしか買えない。

お買い物コーナーへ。ファン垂涎のディスクの山。

このオーケストラの熱心なファンなら、ウィーン・フィルのロゴの入ったキャップやマグカップ、モレスキンのノートなどを買うのもいいだろう。毎年のウィーン・フィル舞踏会にあわせて発売される、スワロフスキーのクリスタルをちりばめたト音記号型のバレッタなんていうのもある。好きなものを好きなだけカートに入れたら「申込に進む」を押す。

ウィーン・フィルグッズをぽいぽいとカートに放り込む!

このあたりからは、サイトが中途半端にドイツ語のままになっている。でも頑張ろう。日本の通販サイトにもよくある、まずアカウントを作成して、それでログインするという方式なのだが、Anrede(呼びかけ方=敬称)、Akademischer Grad(学位)、PASSWORT WIEDERHOLEN(パスワードをもう一度入力)といった言葉がドイツ語のままだ。最初の二つには「洗濯(選択の間違い)」とあるので、プルダウンから選べばいい。学位は、見慣れない称号がたくさん並んでいる。日本とドイツの教育制度は違うが、どれか選ばなければ次へ進めないので、大卒ならDI(ディプローム)を選んでおけばいいだろう。

その下は住所を入力する欄だ。ここもドイツ語のままの項目がいくつかある。まず、「国」のところでJAPANを選ぶと、Region はAichi、Akita、Aomoriなどから選べるようになるので、これは都道府県だとわかる。となれば、その上の「場所」で市町村名、左の PLZ でその下の町名など、STRASSE云々で番地などを入れればいいだろう。そして「私はロボットではありません」にチェックを入れて、captcha(筆者が試したときは、「道路標識の写真を全部選んでチェックしてください、」とかだった)をやって、Regiestieren を押せばアカウントが登録できる。

なお、抜けている項目があると次にいけないのだが、抜けているところは、赤字で指摘してくれるときもあるが、そうでないときもあるようなのでご注意。

あとは必要な情報を登録するだけ。ポチッとな。

アカウントを作ってログインすると、Ihre Daten(あなたのデータ)と書いてあるページが出る。このページにはもう日本語はない。これは「データに間違いがあれば修正してください」というページだ。問題がなければ Weiter zur Bezahlung を押す。

さあカード番号の入力まできた。海外通販サイトというのは、カードがなぜか通らないことがある。エラーが出たら、あせらず別のカードを試そう。筆者の場合、楽天のJCBだとエラーが出たが、ヨドバシのVISAだとうまくいった。Bitte warten…Sobald die Zahlung erfolgreich abgeschlossen ist, wird an dieser Stelle die Kaufbestatigung angezeigt.(お待ちください。支払いが完了すると、ここに購入確認が出ます)と出たら、しばらく待つ。

支払いがうまくいけば、完了の画面が出て、ウィーン・フィルからメールがくる。筆者が先日注文したときは、注文からわずか5日間で着いた。CD4点を注文して、送料は10ユーロだ。CDは1枚あたり19.90ユーロ(ハイドン集は39.90ユーロ)だから、1枚あたり2,900円弱だった。通常のCDよりはちょっと高めだが、価値がわかる人にとっては高くないはずだ。

増田さんオススメの自主制作盤

ブルックナー:交響曲第7番

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ブロムシュテットは1927年生まれだから、この演奏のときはなんと90歳だった。演奏はもう神々しいの一言。

プロコフィエフ:オラトリオ《イヴァン雷帝》

リッカルド・ムーティ指揮
プロコフィエフの壮大な歴史絵巻だが、ムーティが振ると熱くドラマティック! ヴェルディに負けていない。

ベルリオーズ《幻想交響曲》ほか

ジョルジュ・プレートル指揮
フランスの個性派プレートルは年を重ねてもいつも楽しそうだった。この《幻想》はいろいろやりたい放題で、しかもとても美しい。

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、音楽の都・ウィーンの管弦楽団。ウィーン楽友協会大ホールに本拠地を置く。多くの作曲家や演奏家を輩出してきたウィーンで、1842年の創立以来、 175年以上にわたって、その時代の音楽を培ってきた。
初代指揮者オットー・ニコライをはじめ、ハンス・リヒター、アルトゥーロ・トスカニーニ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、カール・ベーム、ヘルベルト・フォン・カラヤンなどを指揮者に迎えている。

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増田良介 音楽評論家

ショスタコーヴィチをはじめとするロシア・ソ連音楽、マーラーなどの後期ロマン派音楽を中心に、『レコード芸術』『CDジャーナル』『音楽現代』誌、京都市交響楽団などの演奏会...

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