読みもの
2021.09.12
特集「月」

中秋の名月ウォッチング指南! 美しい月や惑星を音楽と楽しもう

1年でもっとも月が美しい「中秋の名月」の日。月はどこから登る? きれいに写真に収める方法は? 月のうさぎの探し方は? 天体観測に詳しく、人気の合唱曲《COSMOS》や《地球星歌》を作曲したアクアマリンのミマスさんに、おすすめの音楽とともに指南していただきました。

ミマス
ミマス 作詞・作曲家/音楽ユニット「アクアマリン」メンバー

Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」( http://aqumari.com/ )のメンバー。1998年6月結...

歌川広重作『月にうさぎ』

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秋の澄んだ空気で「中秋の名月」を楽しもう!

秋の風物詩といえばお月見。今年2021年の「中秋の名月」は9月21日(火)です。普段あまり夜空を見上げる機会がないという方も、ぜひこの秋はお月見を楽しんでみましょう。

お月見の起源は古く、日本人が月を愛でる風習は古代からあったそうです。秋の収穫を祝い、感謝を捧げる行事としての意味合いも加わり、日本人の暮らしに根付いてきたとも言われます。

また秋は空気が澄んで月がいっそう美しく見えることも、この季節に月見をする風習が続いてきた理由の一つとされています。

爽やかな夜風につつまれて、虫たちの歌声を聴きながらゆったりと月を眺めてみましょう。きっと日頃の疲れも癒され、豊かな時間を過ごせるはずです。

中秋の名月はどの方角に? 月が赤い理由

中秋の名月の晩、月は日没とともに東の空に昇ってきます。もしかしたら少し赤っぽく見えるかもしれません。

これは夕日や朝日のように、太陽が地平線に近いときに赤くなるのと同じ理由によるもの。地球の大気の働きによる現象です。その日の気象状況にもよりますが、たまに昇ったばかりの月や沈む直前の月が不気味なほど赤く見えてギョッとすることがあります。

日没直後に東の空の低いところにあった月も、時間が経って夜が更けると次第に高く昇ってきます。真夜中には南の空の高いところで輝くようになります。

スマホで月をきれいに撮影する方法

この写真をご覧ください。

これは僕が自分のスマホで自宅のベランダから撮影した満月です。僕のスマホは決して最新式の高価な機種ではなく、1年半前にスマホショップで型落ちして安く売られていたもの。それでもこんな写真が気軽に撮れるのですね(撮った後に月の模様が際立つようにアプリで少し加工してあります)。あなたもぜひ挑戦してみてください。

この月の写真はスマホのカメラの50倍ズームの設定で撮りました。望遠レンズで拡大すると手持ちではどうしても手ブレがひどくなり、月を画面に入れることさえ大変難しくなります。そこで三脚に固定すると良いでしょう。

倍率を上げて望遠モードにしてから月を画面に入れるのは大変ですから、先に画面の真ん中に月を入れて、徐々にズームして倍率を上げてゆくのがコツです。

満月にうさぎの正体

ところで、「月にはウサギがいる」という話をあなたも聞いたことがあるでしょう。これにはちゃんとした理由があるのです。

月をよーく見てください。肉眼でも、月の表面に白と黒のまだら模様があることがわかるでしょう。これは月面の岩石の分布によるもので、黒い部分は「海」と呼ばれています。海といっても実際に水があるわけではなく、玄武岩という黒い岩石が表面を覆っているため黒く見えるのです。

この海がつくる模様の形が、ウサギの姿に似ているのがお分かりでしょうか? この写真の上の方に、まるでジャンケンの「チョキ」の手のような形の模様が見えるでしょう。ここが、長い耳が2つあるウサギの顔にあたるのです。そう考えると、ウサギの胸があってお腹があって……と何となくウサギの姿が見えてきますよね。

このウサギは三日月や半月のときには見ることができません。お月見のとき以外でも、満月前後のまるい月を見たら月の表面にウサギの姿を探してみてください。

浮世絵画家、月岡芳年が描いた『西遊記』の挿絵〜『月兎と戦う孫悟空』。中国では紀元前5世紀から月のうさぎの記述があるそう。

ついでに惑星たちも見つけてみよう!

中秋の名月の晩に美しいお月様を眺めたら、せっかくなので他の星たちにも目を向けてみましょう。

月のずっと右側の方へ視線を移してゆくと、とても明るい星がひとつ輝いているのが見つかるはずです(宵の時間帯でしたら南の方角)。他の星たちとは比べものにならないくらいの明るさでビカッと輝いています。実はこれが木星なのですね。さらによくみると、木星の少し右にも明るい星が見つかります。こちらが土星です。

木星も土星も、地球と同じように太陽のまわりを回っている惑星です。どちらも、直径が地球の10倍ほどもある巨大なガス惑星。木星は望遠鏡で見ると、表面のシマシマ模様や周囲を回っている衛星たちがよく見えます。

土星はユニークなリングがあることで有名ですよね。でも肉眼ではこうして、普通の明るい星のように見えるのです。

ところで、木星や土星は今年のように秋になると常によく見えるというわけではありません。地球は1年かけて太陽のまわりを一周していますが、木星は12年、土星は30年かけて太陽のまわりを一周しています。お互いの位置関係が刻々と変わってゆくため、惑星は星空の中を日々少しずつ移動しているように見えるのです。どの季節に見えるのかも年によって変わります。そのためこうした天体のことを「惑(まど)う星」、つまり惑星と呼ぶようになったのです。

月を眺めながら聴きたい曲

お月見の楽しみ方をご紹介してきましたが、いかがでしたか? ぜひあなたのスタイルで楽しんでください。

ちなみに僕は、夜更けにベランダでワインを飲みながら月や星を眺めるのが好きです。音楽を聴きながらというのもいいですね。最後に「月を眺めながら聴くと合いそうな音楽」をいくつかご紹介します。

♪ベリンダ・カーライル「La Luna」

タイトルの「ラ・ルナ」とはスペイン語で月のこと。とてもエキゾチックで情熱的な雰囲気の曲です。

♪ZABADAK「満ち潮の夜」

僕が大好きなロックユニット、ザバダックの1曲。透き通るボーカルと独特のコード進行やサウンド。不思議で幻想的な音世界です。

♪Aquamarine「宇宙の森」:手前ミソですが僕たちの音楽ユニットAquamarineの曲です。月や星と語り合う豊かな時間を描いています。

ミマス
ミマス 作詞・作曲家/音楽ユニット「アクアマリン」メンバー

Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」( http://aqumari.com/ )のメンバー。1998年6月結...

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