読みもの
2023.02.01
ドラマチックにする音楽 vol.17

心温まる物語を紡ぎ出すドラマ『リバーサルオーケストラ』を彩るクラシック音楽の数々

日本テレビ系毎週水曜よる10時から放送中のドラマ『リバーサルオーケストラ』で流れるクラシック音楽をチェック! 原曲をプレイリストにまとめました。人間ドラマを彩る名曲たちを原曲もあわせて聴くことで、ドラマの楽しみも数倍に……!

桒田萌
桒田萌 音楽ライター

1997年大阪生まれの編集者/ライター。夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オウ...

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オーケストラならではの人間ドラマを描く『リバーサルオーケストラ』

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オーケストラの演奏を聴くとき、舞台上にいるその集団に対して「音楽を愛する人たちによる共同体」であることに感動を覚える瞬間がある。何十人、時には100人超といるこの集団の中に、楽器やパート、音色、人となりまで、同じ人間はひとりもいない。しかし、「音楽を愛している」ことだけは共通している。一つの作品を仕上げるという同じ目標のために集まり、一心不乱に演奏という名の形にしていく。そこには無数のドラマが詰まっているに違いない……。そう思わせられるのだ。

そんな筆者の言葉にもならない感情の行間を縫い合わせるような人間ドラマが生まれた。テレビドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)だ。描かれているのは、西さいたま市を拠点に活動する「児玉交響楽団」、通称「玉響」。この楽団を舞台に、さまざまな人間味溢れるキャラクターの群像劇というべき物語が描かれている。

一見地味だがかつて天才ヴァイオリニストとして名を馳せたコンサートマスター・谷岡初音(門脇麦)や、演奏に対する真摯な姿勢を持ちながらも楽団員にはぶっきらぼうな指揮者・常葉朝陽(田中圭)、他にも遅刻魔のフルート奏者に、惚れっぽいチェロ奏者、お人好しのヴィオラ奏者、オタク気質なセカンドヴァイオリン……。「こんなオーケストラ、ありそうだな」と思わせられるくらいリアルでもある。

コンサートマスターを務める谷岡初音(門脇麦)
児玉交響楽団の指揮者・常葉朝陽(田中圭)
セカンドヴァイオリンを務める土井琢郎(前野朋哉)
チェリストの佐々木玲央(瀧内公美)と、ヴィオリストの桃井みどり(濱田マリ)

この玉響、当初はやる気ゼロでサウンドに覇気のない「ポンコツ」なオーケストラだった。しかし朝陽と初音の加入によって、徐々に楽団に変化が生まれる。不協和音の生まれそうなほど多種多様な「粒」たちが、一つのステージを目指す中でお互いを思いやったり、音楽に没頭したりするなかで、共に演奏をつくり上げる。オーケストラだからこそ生まれるハートウォーミングなドラマを描いているのが、『リバーサルオーケストラ』なのだ。

名演というのは、名作曲家が書き残した名作があってこそ生まれるもの。しかしこのドラマを観ていると、演奏する人々による血の通った関係性が紡がれてやっと、ある種の名演になるのではないかと感じさせられる。

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