パヴァーヌ:語源はパドヴァか孔雀? 16世紀にエリザベス1世も愛した踊り
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
パヴァーヌとは、16世紀(ルネサンス期)から宮廷で踊られていた踊りですが、はたしてどのような踊りなのでしょう。その起源はイタリアにあるとされ、現存する最古のパヴァーヌとして、1508年にダルツァというイタリアの作曲家が書いた「フェラーラ風パヴァーヌ(Pavana alla ferrarese)」が残されています。
1588年にフランスの司祭アルボが「パヴァーヌはとても簡単な踊り」と記した通り、基本的に男女の対で踊られるシンプルな踊りで、同時代にイギリス(イングランドとアイルランド)の女王だったエリザベス1世がこよなく愛したと言われています。
最古の記録がイタリアであることから、フェラーラから70kmほど離れたイタリア北部のパドヴァに関連を持つとされ、イタリア語で「パドヴァの(padovana)」がフランス語になってから訛り、「パヴァーヌ」になったという説が有力です。
一方で、女性の踊る様子が孔雀が尾羽を振っている様子に似ており、孔雀(イタリア語のpavona、もしくはスペイン語のpavón)に起源を持つという意見もあります。
ゆったりとした踊りのパヴァーヌは、似た踊りで速さを持つアルマンドに人気を奪われ、17世紀半ば以降はあまり踊られなくなってしまいました。
しかし、ゆったりと格調のある、そしてどこかミステリアスな雰囲気の漂う曲調は、後世の作曲家に気に入られ、踊るためではなく音楽作品としてのパヴァーヌが書かれるようになりました。
パヴァーヌを聴いてみよう
1. ダルツァ:フェラーラ風のパヴァーヌ
2. ジェルヴェーズ:イギリス風パヴァーヌ
3. アテニャン:パヴァーヌ
4. プレトリウス:スペインのパヴァーヌ
5. フォーレ:パヴァーヌ Op.50
6. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
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