読みもの
2020.08.25
大井駿の「楽語にまつわるエトセトラ」その18

ブーレ:フランス、オーベルニュ地方発祥で宮廷でも踊られるようになった舞曲

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

ブーレを踊るオーベルニュの人たち(ポストカード、20世紀初頭に撮影)

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とても軽快な舞曲、ブーレが生まれたのはフランス中部、オーベルニュ地方です。フランス人のあいだではふざけて「あそこって水と山以外なんかあったっけ?」と言われる地域。有名なミネラルウォーター、ヴォルヴィックの採水地はここオーベルニュで、素材を生かした料理がとても美味しい場所です。

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ブーレという言葉の由来は大きく分けて2つの説があり、1つはこの地方で古くから話されいているオック語で「詰め込まれた小枝の束」を意味するborrèiaという言葉です。

2拍子の速い音楽に合わせ、複数人で足技を駆使して踊られる様子が、まとめられた小枝に見えることから、こう呼ばれるようになったと言われています(1936年、F.プジョル)。

そしてもう1つは、手足を素早く動かす動作が鳥が飛び立つように見えることから、古フランス語で「羽音をたてて飛び立つ」を意味するburirもしくはbourrirに由来するとも言われています(1933年、C.ザックス)。

もともとブーレは土着色の強い踊りでしたが、1565年にオーベルニュの人たちがフランスの宮廷で踊ってから、だんだんと宮廷でも踊られるようになりました。

作者不詳:アヴィニョンのブーレ(1565年に宮廷で踊られたと言われる曲の1つ)

振付家フイエ(1660頃〜1710年・フランス)によって記された《アキレスのブーレ》のコレオグラフィ(舞踏譜)

フランスの劇作家モリエール(1622〜1673年)が書いた戯曲《町人貴族》では、お金持ちなのに教養のない主人公が、真の貴族になるためにたくさんの先生を雇って勉強に励むのですが、ここでもブーレのレッスンを受けるシーンがあります。このことから、ブーレは宮廷において重要な踊りだったことがわかりますね。

同じく劇作家のカウサック(1706〜1759年・フランス)は「楽しい踊りで、オーベルニュでは未だに踊られている」と書き残しています。現在でもブーレはオーベルニュ地方で踊られることがあるほど、さまざまな舞曲の中でも特に楽しまれている踊りなのです。

ブーレを踊るオーベルニュの人たち2(ポストカード、20世紀初頭に撮影)

ブーレを聴いてみよう

1.  リュリ:歌劇《町人貴族》〜第1幕よりブーレ
2. コラッス:歌劇《アキレスとポリュクセネ》〜アキレスのブーレ
3. J.L.バッハ:組曲 ト長調〜ブーレ
4. J.S.バッハ:フランス組曲第5番 ト長調〜第5曲 ブーレ
5. ブリテン:シンプル・シンフォニー〜第1楽章「騒がしいブーレ」
6. ジャック・ブレル:未亡人のブーレ

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

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