マエストーソ:イタリア語で「荘厳な」。ワーグナー的には「いきいきと闊歩する様子」
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
マエストーソは、イタリア語で「荘厳な」または「堂々とした」という形容詞で、音楽の歴史のなかでは新しい言葉に分類されます。主に使われるようになったのは18世紀からです。
ドイツの音楽理論家ヴァルターの音楽辞典(1728年)には、「豪華で堂々とした様子で演奏され、多少テンポが遅くなることもある。しかし、いきいきとした表現を伴う」とあります。
“堂々としているのに、さらに生き生きとする”……なんだか矛盾しているようにも思えますが、ワーグナーは自身の論文《指揮について(Über das Dirigieren)》のなかで、このことについて言及しています。
私の楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の前奏曲にはSehr mäßig bewegtという言葉が登場します。これはもともとアレグロ・マエストーソのドイツ語訳です。この曲は4拍子で書いてありますが、4つのビートはいきいきと闊歩する様子で演奏されるべきです。そして、それはほぼ2拍子(アラ・ブレーヴェ)なのです。
ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》〜前奏曲
堂々としている様子を想像すると、どうしてもどっしり構えたような感じがしてしまいます。しかし、風を切るように闊歩する様子も、また堂々としているのでしょう!
マエストーソを聴いてみよう
1. モーツァルト:ピアノ協奏曲第3番 ニ長調 KV40〜第1楽章 Allegro maestoso
2. モーツァルト:フルート協奏曲第1番 ト長調 KV313〜第1楽章 Allegro maestoso
3. ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125〜第1楽章 Allegro maestoso
4. ヴェルディ:歌劇《アイーダ》より第2幕〜凱旋行進曲 Allegro maestoso
5. ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15〜第1楽章 Maestoso
6. ヴァイル:組曲《三文オペラ》〜第1曲 序曲 Maestoso
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly