トリル:語源はイタリア語で鳥がさえずる! バロックや古典派の時代に流行した装飾音
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
トリルとは、装飾音という、音楽を華やかにみせるために、面白く聴かせるために付け加えられた音の一種です。ある音と、その隣の音を、素早く交互に演奏します。その聴こえ方から、トリルという言葉は、イタリア語で「鳥がさえずる」という意味の動詞trillareの名詞形trilloからきています。
いまいち装飾音についてピンとこない方のために、音楽の中で装飾音がどのような役割を持つか、ちょっと生活空間に例えてみましょう。
例えば、白が基調の部屋の中で、照明や食器だけ赤いものを使うと、見た目にアクセントが出ますし、こだわりも感じられますよね。
作曲家たちが、音楽をデザインするうえで施した装飾、それが装飾音なのです。特にバロックや古典派の時代は、建築や美術において、ロココ様式という繊細かつ豪華な装飾を施す建築様式がはやりましたが、音楽においても、この流行の影響を受け、トリルなどの装飾音が付いた曲がたくさん書かれました。
トリルの中でも、さらにいろいろな種類があるのですが、大きく分けると長いトリルと短いトリルとあります。短いトリルのことをプラルトリラーと言ったりもしますが、難しく考えなくても大丈夫です!
もともとは鳥の鳴き声のように聞こえることから、トリルと名付けられましたが、その後、本当に鳥のさえずりを模倣した部分でもトリルが使われるようになりました。
また、スクリャービンは燦々(さんさん)とした輝きや、恍惚を表すのにトリルを用いました。特に、後期のソナタや、交響曲第4番ではトリルが効果的に現れます。
トリルを聴いてみよう
1. ヴィヴァルディ:協奏曲集『和声と創意の試み』作品8〜第1番《春》 第1楽章
2. ラモー:新クラヴサン組曲集第2番〜「野蛮人」
3. タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ《悪魔のトリル》ト短調〜第3楽章
4. ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》作品68〜第2楽章「小川の情景」
5. リスト:《2つの伝説》S.175〜第1番「鳥に説教をするアッシジの聖フランチェスコ」
6. スクリャービン:交響曲第4番 作品54
7. スクリャービン:ピアノ・ソナタ第10番 作品70 (トリルソナタ)
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