日曜劇場『VIVANT』の壮大な世界観を盛り立てるクラシック音楽
ドラマをよりドラマチックに盛り上げているクラシック音楽を紹介する連載。今回は、数々のクラシックが登場し、壮大な世界観がみどころのTBS系日曜劇場『VIVANT』。ワーグナーとラフマニノフの音楽は、いかにストーリーとリンクし、物語を引き立てているのでしょうか。
1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...
制作も物語もスケール抜群の『VIVANT』
TBS系日曜劇場『VIVANT』がおもしろい。一見弱気な商社勤めの男性が、実は闇の秘密情報部隊で腕をふるうキレものだった。
物語の発端は、主人公の乃木憂介(堺雅人)が勤務先の丸菱商事で関与してしまった誤送金問題だ。なぜか間違って振り込んでしまった多額の契約金を取り戻すべく、バルカ共和国に向かうもののさまざまなハプニングに遭遇し、現地で出会った日本の公安・野崎守(阿部寛)と医師・柚木薫(二階堂ふみ)とともに当国の警察から追われることに。
無事に誤送金問題は解決されるが、その経緯から野崎は乃木に対して「自衛隊が有する影の精鋭部隊”別班”なのでは」と疑念を向ける。一方で乃木は、誤送金問題の黒幕とみられるテロ組織「テント」を追い、バルカ共和国で同じく別班の黒須(松坂桃李)と行動をともにする……。
ストーリーなどの事前情報すらわからず、ベールに覆われたまま始まった本作。蓋を開けてみると、そこで繰り広げられていたのは一切の妥協がない映像の追求だった。同じく日曜劇場で主演経験があったり、国内外で活躍したりしているトップクラスの俳優が揃い、過酷な海外ロケも大胆に実施。公安や海外の警察、テロ組織を巻き込んだ規模の大きな物語が展開され、緻密なシナリオで観る者を没入させる。そんな魅力に溢れたドラマを盛り立てる一助を担っているのが音楽の存在だ。
物語にマッチしているクラシック音楽
壮大なスケール感をより立体的に引き立てているのが、ドラマや映画の劇伴はもちろんクラシックの世界でも名高い千住明の音楽。作品にふさわしく、堂々と気迫のある音楽が印象的だが、中にクラシック音楽のアレンジが登場するのも聴き逃せない。
例えば、ワーグナーの《ワルキューレの騎行》。バルカ共和国の警察から逃亡し、大型トラックで日本大使館に突進していくシーンで流れていた。かつて映画『地獄の黙示録』でも爆撃シーンで使用されていたが、鬼気迫る場面にふさわしい作品だといえる。
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