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2020.08.28
8月の特集「吹奏楽!」

吹奏楽の楽器に向き不向きはある? 魅力やアドバイスを12パートのプロ奏者に聞く!

管楽器、打楽器、そしてコントラバスと、12種類の楽器で合奏をする吹奏楽。それぞれの楽器のカラーを知れば、演奏する人も聴く人も、ますます吹奏楽のトリコになるでしょう。
ここでは第一線で活躍するプロ奏者に、楽器の魅力、向いている性格、活躍する1曲を聞きました。楽器プレイヤーなら読んでおきたい「上達の基本」シリーズからのワンポイントアドバイスも必見!

まとめ
ONTOMO編集部
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ONTOMO編集部

神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

illustration : hikichi wataru

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吹奏楽に登場する12の楽器について、プロ奏者に聞きました。自分の担当する楽器、気になる楽器だけでなく、仲間の演奏する楽器についても読んでおくと、きっと楽しい発見があるでしょう!

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フルート——メロディ担当! ちょっと浮いてるお嬢さま

神田寛明さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
神田寛明(かんだ・ひろあき)
東京藝術大学およびウィーン国立音楽大学で学ぶ。日本フルートコンヴェンション・コンクールおよび日本管打楽器コンクールにおいて第1位。赤星恵一、金昌国、細川順三、ヴォルフガング・シュルツ、ハンスゲオルグ・シュマイザーの各氏に師事。NHK交響楽団首席奏者。桐朋学園大学教授。大阪芸術大学客員教授。東京藝術大学講師。THE FLUTE QUARTETのメンバー。アジア・フルート連盟東京常任理事。

吹奏楽におけるフルートの魅力

フルートの音色は鋭さと柔らかさをあわせ持ちます。響きの清らかさ、タンギングの軽やかさ、高音域の輝きは、多くの作曲家に小鳥の姿を連想させました。また音色と音量の変化が容易であることから、吹き抜ける涼風、淡く広がる霧、変化する光などのグラデーションを表現することも得意です。フルートはリードや唇などの発音機構をもたず、空気を直接音にする楽器です。空気が友だち、シンプルな楽器の前に広がる空間を響かせることを常に意識しています。

フルートに向いている性格とは?

最高音域担当なので内声部よりメロディを演奏する機会が多く、いつもチヤホヤされます。肉体的負担は小さく音量は華奢なので、性格にかかわらず気付けば「お嬢様キャラ」です。音程の方向性も違うので、管楽器の中でちょっと浮いてます。

フルートが活躍する1曲

吹奏楽=ブラスバンドは軍楽隊がルーツ、出征と凱旋を景気よく彩ります。屋外で音がよく通るピッコロが大活躍。マーチ王スーザの代表作「星条旗よ永遠なれ」のピッコロ・ソロは、座奏であってもそこだけチータ(立奏)です!

アメリカ海軍バンドによるリモート演奏

オーボエ——魅力的な音色の裏には、コツコツとしたリード作り

大島弥州夫さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
大島弥州夫(おおしま・やすお)
大阪音楽大学首席卒業後、東京音楽大学研究生課程修了。小澤征爾音楽塾、サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団、霧島国際音楽祭などに参加。いずみシンフォニエッタ大阪、兵庫県立芸術文化センター管弦楽団などと共演。東京オペラシティリサイタルシリーズ「B→C」に出演。いずみシンフォニエッタ大阪、アンサンブル「弐」メンバー、大阪フィルハーモニー交響楽団オーボエ、イングリッシュ・ホルン奏者、大阪音楽大学にて後進の指導にあたる。

吹奏楽におけるオーボエの魅力

演奏会が始まりメンバーがステージへ登場し、コンサートマスターの合図で行なわれるチューニング。基準となるのがオーボエです。オーボエの魅力といえば、やはりそれぞれの奏者独特の「音色」ですね。この楽器程、各奏者の音色の違いが明確に出る楽器は他にないと思います。オーボエが「人の声」に近いと言われる由縁ですね。作曲家は吹奏楽でもオーケストラでも、輝かしい楽器として扱い、たくさんのソロを書いてくれました。

オーボエに向いている性格とは?

ソロが多いから目立ちたがり屋、というのは不正解! 楽器に取り付ける奏者お手製の「リード」と呼ばれる葦。湿度や温度の影響を多大に受け、壊れやすいのです。常に自作し続ける日々。繊細でないとやってられません。

オーボエが活躍する1曲

1曲に決めるのはリードを作るより難しいですが、R.シュトラウス「オーボエ協奏曲」をオススメします。オーボエの魅力満載で、色彩感と詩に溢れています。日常から離れて少し立ち止まり、2楽章を聴いてください。

クラリネット——個々は良い味出しつつも、協調性も重要ポイント

サトーミチヨさんに聞きました

Photo ©Studio Kumu 営野充
サトーミチヨ(さとー・みちよ)
東京都交響楽団首席クラリネット奏者。東京藝術大学卒業、同大学院修了。第9回、第12回日本管打楽器コンクール入賞。多摩フレッシュ音楽コンクール第1位。第4回日本木管コンクール第1位。第63回日本音楽コンクール第2位、E・ナカミチ賞。ソリストとして東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団などと共演。平成25年度文化庁新進芸術家海外研修派遣研修員としてパリに留学。

吹奏楽におけるクラリネットの魅力

「上達の基本」の中にも書きましたが、明るく快活、でも渋くて暖かさも感じられる楽器、それがクラリネットです。主役にも脇役にもなれて、喜怒哀楽すべてが表現できる自由さが魅力! 吹奏楽では合奏の要となるクラリネットですが、オーケストラやジャズセッションなど活躍の場が広いのも特徴です。お馴染みのエスクラリネットからバスクラリネットなど、数人のアンサンブルやクラリネットオーケストラのための曲も、たくさん出版されていますね。

クラリネットに向いている性格とは?

中学の吹奏楽部から始めて、今も仕事でたまに吹奏楽で演奏しますが、大所帯のパートならではの協調性が求められることが多かった気がします。一人ひとりは個性的で良い味出してるね~、というキャラの人ばかりだけど、集まるとみんな団結! とても周りに気遣いができる“良い人”の集団、それがクラリネットパートの特色といえましょう。

クラリネットが活躍する1曲

藝大生だったとき、吹奏楽の定期演奏会で演奏した曲、パウル・ヒンデミット作曲「吹奏楽の為の交響曲変ロ調」。クラリネットがすごく活躍する作品ではないのですが、私がヒンデミットを大好きになったきっかけの一曲なのです。フーガやカノンの単純な技法がおもしろいこの曲、不思議なメロディや生き生きしたリズムでどの楽器も輝いて聴こえます。20分弱のコンパクトな交響曲なので聴きやすいです。ぜひ聴いてみてくださいね!

ファゴット——ほかの楽器に寄り添いつつも、ときにひょっこり目立てます

福士マリ子さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
福士マリ子(ふくし・まりこ)
東京交響楽団首席ファゴット奏者。紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー。洗足学園音楽大学非常勤講師。東京藝術大学を首席で卒業し、アカンサス音楽賞受賞。第27回日本管打楽器コンクール第1位および特別大賞、第23回出光音楽賞、第24回新日鉄住金音楽賞を受賞。ソリストとして東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などと共演。東京オペラシティ文化財団主催「B→Cリサイタルシリーズ」、NHK‐FMや各種音楽祭等にも出演。

吹奏楽におけるファゴットの魅力

音色が溶け合いやすいので、大きな編成の吹奏楽では目立ちにくいかもしれません。しかし、ファゴットがさりげなく他の楽器に寄り添っているとき、そこには奥行きが生まれます。目立つことは少なくても、みんなの音楽と音色を豊かに広げてくれる存在です。でも、ずっと影で支えているのでもなく、「僕だって、こんなことできるもんね~」とひょっこり現れては、やっぱり恥ずかしくて何事もなかったかのように隠れてしまう……そんなひょうきんなところも、魅力的です。

ファゴットに向いている性格とは?

穏やかそうにみえて、ややこしい運指やリードの調子に大慌て! ということもしょっちゅうあります。どんな性格であっても、気長にのんびり続けていけるマイペースさがあるといいですね。

ファゴットが活躍する1曲

ファリャの「三角帽子」吹奏楽版です。さまざまな楽器が活躍するなか、ファゴットも他の楽器に寄り添いながら、ときにひょっこりと現れて、多彩なキャラクターを楽しく演じ分けています。原曲であるオーケストラの演奏もぜひ聴いてみてください。

サクソフォーン——目立ちたがり屋なカメレオン

平野公崇さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
平野公崇(ひらの・まさたか)
東京藝術大学卒業後、パリ国立高等音楽院に入学、サクソフォーン科、室内楽科、即興演奏科を最優秀の成績で卒業。在学中にJ.=M.ロンデックス国際コンクールを制し、日本人サクソフォニスト初の国際コンクール優勝者となり、鮮烈なデビューを飾った。斬新な企画を生み続ける活動は常に注目されており、クラシックから現代作品、即興、ジャズまで幅広く活躍。現在東京藝術大学、洗足学園音楽大学、東京音楽大学、東邦音楽大学、エリザベト音楽大学、尚美学園大学で後進の指導にあたる。

吹奏楽におけるサクソフォーンの魅力

サックスの魅力はなんと言ってもその音色です! が、実はとんでもないハイブリッドな楽器でもあるのです。だから、サックスらしい魅力的な音色で迫る場面もありながら(ビブラートをかければ歌手もびっくりの表現力だから、ソロでもソリでも大活躍)、カメレオンも舌を巻く多彩な音色であちこちの楽器のサポートをして、全体の響きをより魅力的にしてくれたりもします。めちゃめちゃ指が回るから木管ハイテクパッセージの音量サポートしたり、ffもppも自由自在だから、金管の音量サポートからデリケートな場面の雰囲気作りで、また一役!

サックスに向いている性格とは?

なんと言っても「The 目立ちたがり」でしょう! ソロがあればバリバリ吹ける楽器ですからね! でも数多の楽器のサポートも得意な楽器です。縁の下の力持ちキャラのあなたにもお勧めです!

サックスが活躍する1曲

まあやっぱり真島俊夫編曲の「宝島」でしょう! この曲は私が学生の頃に出た曲でしたが、いまだにファンも多く、現役バリバリの曲と言えます。理屈抜きでカッコいいですよね? 私にとってはさらに懐かしい青春のサウンドでもありますから推しでしょう!

トランペット——努力に裏打ちされた王者の風格

高橋敦さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
高橋敦(たかはし・おさむ)
東京都交響楽団首席トランペット奏者。サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団にも定期的に出演しており、小澤征爾氏の信頼も篤い。日本で最も注目されるトランペット奏者。宮崎国際音楽祭、霧島国際音楽祭、防府音楽祭などへも定期的に参加。ミュンヘンARD国際音楽コンクールの審査員も務める。洗足学園音楽大学客員教授、東京音楽大学講師。第65回日本音楽コンクール第1位。第13回日本管打楽器コンクール第1位。

吹奏楽におけるトランペットの魅力

世界中の多くのトランペット奏者は子どもの頃にトランペットと出会い、街や学校のブラスバンド、吹奏楽で音楽と合奏の楽しみを経験し、プロを目指しました。また、トランペット奏者以外の金管楽器奏者のほとんどが、吹奏楽部に入部当初はトランペットをやりたかったといったデータもあります(編集部註:真偽は不明です)

吹奏楽においてのトランペットとは、一番人気が高く、やり甲斐のある楽器だと言えます。その魅力は一目(一聴)瞭然、目立ってカッコイイ音色にあります。人々はその華やかなで輝かしい音に魅了されます。トランペットの起源は紀元前にも遡り、遠くまで音が通り、大きな音がするため、古くから離れた人への伝達手段として利用されてきました。また、大きな音がすると、人間はアドレナリンが分泌されて気分が高揚します。プロ野球におけるラッパ応援やサッカー応援に見られるブブゼラなどがその一例です。吹奏楽はポルカバンドやミリタリーバンドのように野外での演奏も多く、遠くまで鳴り響くトランペットはなくてはならない主役的存在として活躍してきました。現在はその圧倒的な存在感に加えて、厳かな情景、甘く切ない表情、陽気な気分など、その楽曲の様々な情調を印象付ける最重要楽器として、多くのシーンで扱われており、まさに吹奏楽における中心的存在だと言えます。

トランペットに向いている性格とは?

人気が高いということは、その分プレッシャーも高いと言えます。楽団員みんなからの重圧をいつも受け止めて演奏しているのがトランペット奏者です。とにかく真っ直ぐで、人一倍気が強い性格が多く見受けられます。しかし、プレッシャーを強く感じていることを表に出さず、あえて王者としての風格や余裕すらを感じさせ、ものすごく努力家ではありますが、それも他人には見せません。明るく、前向きで、すべてを熟知しているかのように振る舞い、「兎に角、俺に着いてこい」。それがトランペット奏者です。

トランペットが活躍する1曲

ジェームズ・バーンズ作曲のアルヴァマー序曲です。この曲は吹奏楽界の「フィガロの結婚」序曲とも言えるほどの超有名曲ですが、曲の始めから終わりまでトランペットが大活躍し、輝かしいファンファーレ、軽快な合いの手、高らかに歌い上げる情感あふれるメロディなど、トランペットの醍醐味が詰まった名曲のひとつです。名曲中の名曲ですので、多くの動画や音源が存在し、それぞれのバンドのトランペット奏者たちが大活躍する様子が楽しめます。多くの演奏に触れることによって、よりトランペットについて知ることができると思います。

トロンボーン——吹奏楽では特に目立つ! でも音程を合わせるにはシビアな練習が必要

桒田晃さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
桒田晃(くわた・あきら)
読売日本交響楽団首席トロンボーン奏者。なにわオーケストラルウインズ、TADウインドシンフォニーの団員。トロンボーン・クァルテット・ジパング、カスタム・ブラス・クインテット、アンサンブル・ターブ、トウキョウブラスシンフォニーの各メンバー。武蔵野音楽大学、桐朋学園大学の各非常勤講師。第8回日本管打楽器コンクール第2位。第1回大阪トロンボーンコンペティションソロ部門第2位(1位なし)。

吹奏楽におけるトロンボーンの魅力

吹奏楽といえば、元気なマーチやポップスだったり、音が大きいとか派手な印象があるかと思います。ところがステージで演奏をしているときに、管楽器の皆さんは動きがまったくないのです。オーケストラでしたら弦楽器がボウイングでずっと動いてますよね? そんな吹奏楽だとトロンボーンの動きは非常に目立ちます。もちろん打楽器のほうが目立ちますが。他の楽器にはないスライドを動かすことによって、吹奏楽ではトロンボーンが目立ちやすいです! 他にも魅力はありますが1番はこれです!

トロンボーンに向いている性格

そのスライド、弦楽器の指板と同じでポジションというものはありますが、そのポジションで止まるようにはできていません。なので、他の楽器からは大雑把な性格、と思われがちですが、音程を合わせるためにはシビアな練習を重ねております。大雑把に見えて神経を使う楽器なので、性格も同じ感じの人が多いと思います!

トロンボーンが活躍する1曲

1曲に絞るのが非常に難しい! トロンボーンが活躍する曲は吹奏楽にはとってもあります! なので最近の曲で1曲、ベルト・アッペルモント作曲のブリュッセルレクイエムです。昨年の吹奏楽コンクールで大流行しましたこの曲、序盤にトロンボーンのソロがございます。一昨年に北海道支部大会で審査の際、上磯中学校の演奏に圧倒されたのですが、なによりトロンボーン・ソロの素晴らしさに度肝を抜かれました。

ホルン——裏打ちからソロまで柔軟な「世界一難しい楽器」

福川伸陽さんに聞きました

Photo ©大津智之
福川伸陽(ふくかわ・のぶあき)
NHK交響楽団首席奏者。第77回日本音楽コンクールホルン部門第1位受賞。ソリストとして、パドヴァ・ヴェネト管弦楽団、京都市交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団他多くのオーケストラと共演している。日本各地やアメリカ、ヨーロッパなどに数多く招かれており、音楽祭にもソリストとして多数出演。

吹奏楽におけるホルンの魅力

残念ながら、吹奏楽においてホルンという楽器は優遇されているとは言いづらいかもしれません。絶え間ない後打ち、和音を埋めるだけの白く長い音符たち……しかし、だからこそ、たまに出てくるソロやオブリガートが魅力的に響きます。

白い音符たちも、いるといないのとでは大違い。ホルンのハーモニーはどんな編成でも中心の音域にいる。つまりその曲の心を表現しているのです。オーケストラ作品の編曲では、花形楽器のホルンを体験できるし、木管アンサンブルや金管アンサンブルでは、ホルンという楽器の可能性を存分に発揮できますので、目立ちたい人も幸せ!

ホルンに向いている性格とは?

どの楽器とも美しく溶け合うホルンの音は、誰かと話したり、遊んだりするのが大好きな人にぴったり。「世界一難しい楽器」としてギネスブックにも登録されているため、コツコツ努力ができて、なおかつその過程を楽しめる人は、一生この楽器から離れられなくなるでしょう。

ホルンが活躍する1曲

ドヴォルザークの「管楽器の為のセレナーデ」です。ドヴォルザークの濃い音楽が素晴らしいのは当然のこと、各楽器全員にソロがありつつ、特にホルンの各パートは、表現力の端から端まで使うことのできるエキサイティングな曲です。僕もやるたびに幸せを感じる、ぜひトライしてみてほしい名曲です。

ユーフォニアム——多面性が音楽のあらゆるニーズに応える

齋藤充さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
齋藤充(さいとう・みつる)
ユーフォニアム奏者。ソリスト、侍Brassメンバーとして活動するほか、オーケストラへの出演も多い。国立音楽大学卒業、ミシガン大学大学院修士課程およびノーステキサス大学大学院博士課程を修了。日本人初となるユーフォニアムでの音楽芸術博士号を取得。日本管打楽器コンクール、フィリップ・ジョーンズ国際ブラスアンサンブル・コンクール、レオナルド・ファルコーン国際テューバ&ユーフォニアム音楽祭コンクールにおいて第1位。国立音楽大学、洗足学園音楽大学などで後進の指導にあたっている。

吹奏楽におけるユーフォニアムの魅力

ほかの楽器に比べて比較的歴史が短いユーフォニアムは、「こうでなくてはいけない」という固定概念にとらわれず、各作曲家が自由に使っているように感じています。単独ではその豊かな響きと機能性が遺憾なく発揮されています。他の楽器との組み合わせも楽しく、異種の楽器のサウンドをまとめる潤滑剤のように使われていることも魅力です。さまざまな表情と技術を要求されるユーフォニアムは、吹奏楽の中の便利屋として使われています。

ユーフォニアムに向いている性格とは

ズバリいうと、多面性をもつ人です。性格の多面性は悪いことと思われがちですが、ユーフォニアムを演奏する上で求められる多種多様なニーズのために、性格を使い分けられることはとても重要なことです。

ユーフォニアムが活躍する1曲

ホルスト作曲の「吹奏楽のための第2組曲」を勉強すると、ユーフォニアムの汎用性が理解できることでしょう。ソロ楽器としての歌心、旋律と低音の支え、潤滑剤としての役割など、さまざまなユーフォニアムの顔を見ることができます。

テューバ——のんびり屋で平和主義者、でも吹奏楽では大忙し

次田心平さんに聞きました

Photo ©Masato Okazaki
次田心平(つぎた・しんぺい)
読売日本交響楽団テューバ奏者。侍Brass、ワーヘリ、The TUBA band、なにわ《オーケストラル》ウィンズの各メンバー。洗足学園音楽大学准教授。東京音楽大学、尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマコースで講師を務める。第24回日本管打楽器コンクールにおいて満場一致の第1位を獲得。これまでにソロCDとして「TuBest!」「Mr.Tuba!」(ともにオクタヴィア・レコード)をリリース。

吹奏楽におけるテューバの魅力

オーケストラと大きく異なるのは、まず何と言っても忙しいです。
曲によっては休みがほとんどなく、一瞬も気を休められない曲があったりします。オーケストラでは自分の出番までゆったりと過ごせたりできるのですが、なかなかそうはできません。
吹くところが多い分、いろんなことにチャレンジできるのも魅力だと思います。下で支えたり、ときには推進力を生み出すために頭打ちを吹いたり、朗々とメロディを吹くこともあったりと、いろいろなタッチが必要になると思います。

テューバに向いている性格とは

のんびりしてる方が多いと思います。平和な人が本当に多いです。あとは大食いもイメージ通りたくさんいます。食べ物の話か、楽器の話でだいたいテューバ吹きの会話は8割以上まかなえます。メーカーやモデルによって本当にさまざまな形の楽器があるから、楽器の話も多くなるのかもしれません。前に出るというよりも、一歩うしろから全体をみてるのが、職業柄、性格にも影響を与えていると思います。

テューバが活躍する1曲

アルフレッド・リードの「アルメニアンダンス パート1」は、魅力のところで書いたように、支えたり頭を吹いたりするところがあって、吹いていてもとても楽しい曲です。どんなサウンドで吹きたいのか、また音の長さやタッチを勉強するにはうってつけの1曲だと思います。

コントラバス——ほかの楽器を支える、アンサンブルの中心

前田芳彰さんに聞きました

前田芳彰(まえだ・よしあき)
東京佼成ウインドオーケストラ団員。桐朋学園音楽学部ディプロマ・コースを経て東京フィルハーモニー交響楽団に所属、在団中ウィーンに留学。2001年より現職。佼成ウインド定期演奏会でソリストとして出演。ソロ・コンサートにも多数出演している。

吹奏楽におけるコントラバスの魅力

コントラバスは、よく「どうして吹奏楽の中に弦楽器が?」と聞かれます。確かに小編成やマーチングでは使わないですが、中編成より大きな編成では、スコアにコントラバスがあることが多く、スコアにある場合には、作曲家がコントラバスを必要としてくれていることがよくわかります。よく使われる形としては、低音木管と一緒に動いて室内楽的な響きを作ることでしょうか。うまく響きができたときは、とても気持ちいい響きになります。テューバと一緒のときも、倍音の含み方が違うのか、客席で聴くとコントラバスは聴こえてくるそうです。佼成ウインドに入団したとき、フェネルさんから「コントラバスは、アンサンブルの中心だから」と言われたのですが、弾いているときにその通りと感じることもあります!

コントラバスに向いている性格とは

この楽器に向いてる性格。これはなかなか難しいですねぇ。もともとの性格がコントラバス向きなのか、コントラバスを弾くことによって、その性格が作られるのか。ここはちょっと卵が先か鶏が先かの話と一緒で、判断がつきにくいです。多くのプロ奏者はあまり派手な性格の方はいなくて、わりと落ち着いた感じの方が多いかな? 合奏の中で、コントラバスがメイン! という瞬間は少なくて、他の楽器を支えることが多くあるからかもしれません。

コントラバスが活躍する1曲

おすすめの1曲は、ベタですが、アルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス パート1」でしょうか。リードの曲は全般、コントラバスだけでベースラインを弾いたり、テューバと一緒でもしっかりとした役割をもたせてくれます。特に途中の5/8拍子のところは、コントラバスのピチカートだけが一番低いパートを受け持ちます。メロディライン、打楽器との絡みがなかなかしびれますよ。他にも、ここ最近の曲は、コントラバスに重要なラインを受け持たせてくれるようになりました。ぜひ楽しんでいただけたら! と思います。

パーカッション——原始的だからこそ必要な豊かな想像力

冨田篤さんに聞きました

Photo ©TAKUYUKI SAITOH
冨田篤(とみた・あつし)
打楽器奏者。東京音楽大学卒。1975年熊本生まれ。野口力、菅原淳、岡田眞理子、藤本隆文の各氏に師事。現在、ブリヂストン吹奏楽団久留米音楽監督・常任指揮者。活水女子大学音楽学部、福岡第一高等学校音楽科各講師。パーカッシヴ・フォース主宰、ソナーSQ2クラシカルアーティスト、西日本打楽器協会理事。

吹奏楽におけるパーカッションの魅力

さまざまなジャンルの音楽を演奏する吹奏楽。たとえばマーチの大太鼓・シンバルが組むバッテリーは、スクラムを組むラガーマンのような一体感が心地よく、トライアングルで朝露を模したり、小太鼓でトウシューズから軍靴まで表現したりと、まるで自分が魔法使いになれたように感じる作品もあります。この「何者にでもなれる」のが、打楽器の大きな魅力であり、吹奏楽はその楽しさを教えてくれる舞台の一つだと思います。

パーカッションに向いている性格とは?

木を打ち、金属をこすり、皮を振動させ……といった、原始的な音を音楽にするのが打楽器ですから、その音色を生み出す想像力が豊かであればあるほど、楽しむことができる楽器だと思います。空想や妄想、大事ですね。

パーカッションが活躍する1曲

「原始的」というキーワードから、ライヒの「木片のための音楽」を。文字通り、木の音色だけで演奏されるアンサンブル作品です。5つの木片が紡ぐパルスとその変容が、森の声、木霊の戯れのようにも感じる名作です。

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ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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