マッチングアプリでの婚活迷子です！ 女性が恋の信条を語るイタリア古典歌曲を処方

ご相談ありがとうございます。まずお聞きしたいことと、まず言っておきたいことがあるのが、どちらからにしましょう……。まあ、お聞きしましょう！

「付き合う相手を探している人のこと全般を、生理的に無理と感じる」ということはないですか？（その場合、マッチングアプリに「お姉さんに勝手に登録されて」というようなジャニーズ系？ の人を探さなければいけませんよね）

そして言っておきたいことはですね……こちら「恋愛相談室」でありまして、「結婚相談室」ではないんですよね……。恋愛はともかく、結婚について、一介の歌手の私にアドバイスできることがあるかどうか？……まあ、いいでしょう！

「生理的に無理」は絶対言われたくないセリフ、相当厳しい判定、と思われがちですが、思うに、割と軽めに発言される「あの人、苦手」と、そんなに意味は変わりません。

どういうことかというと、大体の人は大体の人が「生理的に無理！」なんです。相談者様だけが大丈夫の範囲が狭い、というわけではないと思われます。

大まかなパーセンテージでいうと、通常90%無理、アルコール等の摂取により80%無理に緩和、一緒に生活するとなると99.999%無理に強化、というのが一般的（個体差あり）。

そしてこれは、結婚など全然しなくていい、と思っている私があえて言いますが「結婚は条件でするもの」です。「契約」ですから。

ですので、「求める条件はあまりない」ことは、結婚への大きな障害です。とりあえず条件をいっぱい作成してください。そして、条件が合わない人を排除して、条件が合う人に会ってください。

その際のポイントは、条件をどんどん変えていくことです。今日と明日で違ったっていいんです。どんどん心変わりをしてみてください！

「そんなこと言ったって、会ってみたらダメなもんはダメなんだもん！」

と、条件よりも「生理的に無理」があまりにも先立つようであれば、さらに、こちらの技をお勧めいたします。

それは、「自分ではなく、他人の結婚相手を探すつもりで考える」です。「他人事のように受け止める」「他人になりすます」「他人のために動いているフリをする」等、他者を介入させることによって得られるものは、相談者様が思うよりも甘く、価値のあるものになるでしょう。

さて、今回、相談者様に処方いたしますのは「イタリア古典歌曲集」の中の1曲で、18世紀初頭のナポリの作曲家ペルゴレージ作として知られ、ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽《プルチネッラ》の中にも使われているとても魅力的な歌曲、「もし貴方が私を愛してくれて」です。

シルヴィアという、自分のことを名前で呼んじゃう女性が恋の信条を語る曲で、いわば古典歌曲界においての、カルメンが歌う「ハバネラ」。

男性を花に例えること（元の詩はシルヴィアではなくシルヴィオ、男性の語り）や、このリズム感……。カルメンに100年以上先んじてこの感覚！ やっぱりペルゴレージすごい！ と思いつつ、私も歌っていたわけですが、なんと、近年の研究により、この曲は「イタリア古典歌曲集」の編者であるアレッサンドロ・パリゾッティの作曲ではないかと言われているのです。

大伴家持が自分の詠んだ和歌を柿本人麻呂作として万葉集に載せちゃったとしたら……より、罪が重いか軽いかはわかりませんが、少なくとも、パリゾッティはカルメンの作曲者ビゼーよりも15歳年下なので、この曲を「イタリア古典歌曲集」いちの名曲と信じて愛唱していた私としては、かなり騙された気持ちです。

ま、これからも歌いますけどね。

かように裏切りに溢れているのも、結婚と歌の共通点なのかもしれず、一介の歌手の身としても役立つアドバイスができたのではないかと信じています。婚活、頑張ってください！