イベント
2019.06.30
フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2019/特集「音楽祭が熱い!」

真夏のミューザ川崎は、豪華な10以上ものオーケストラあり、ジャズあり、子ども向けピアノ企画ありの破格の博覧会

「音楽の街」をうたう自治体は多いけれど、そのスローガンがミューザ川崎シンフォニーホールほど活動の原動力になっているところはないかもしれない。川崎市長が2代続けて本気で音楽事業に取り組み、ホールにも足を運び、市民に支持され、音楽ファンに愛されるようになっている。その核となる企画が、今年15回目を迎える夏の風物詩「フェスタ サマーミューザKAWASAKI 」だ。人気に安住することなく企画を練り上げているミューザ川崎シンフォニーホールの事業課長、山本浩さんに、その見どころ、聴きどころを伺った。

ナビゲーター
オヤマダアツシ
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オヤマダアツシ 音楽ライター

中学1年生のときにビートルズで音楽に目覚め、ドビュッシーでクラシック音楽に目覚める。音楽漬けの学生時代を経て、広告コピーライターや各種PR誌の編集業務などをする中、3...

公演写真提供:ミューザ川崎 ©青柳聡
インタビュー写真:編集部
トップ写真:ジョナサン・ノット&東京交響楽団メンバーによる恒例のオープニング・ファンファーレの模様

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ミューザ川崎シンフォニーホールの事業課長、山本浩さん。「フェスタ サマーミューザKAWASAKI 」のユニフォームで取材陣をお出迎え。

お盆前に開催! 間口が広い多彩なプログラム

猛暑が頂点に達しようとする7月27日から8月12日、連日のように11の首都圏や地方の主要オーケストラが来演して、競い合うように素晴らしい演奏を繰り広げ、さらにはピアノ、オルガン、ジャズなど多彩な音楽が楽しめるフェスティバルがある。

JR川崎駅と直結するミューザ川崎シンフォニーホールで2005年にスタートし、毎夏開催されている「フェスタ サマーミューザKAWASAKI」(2019年で15回目)は、オーケストラの定期演奏会などクラシックのコンサートが少なくなるオフシーズンに音楽ファンの心を潤す、真夏の祭典だ。

フェスタ サマーミューザの会期中は、JR川崎駅から直結するデッキにシンボルの青いフラグがはためく(写真は2018年当時)。右奥に見えるのが、7月1日にリニューアルオープンしたミューザ川崎シンフォニーホール。

10を超えるオーケストラの色を聴き比べよう!

プログラムの中心となっているのは、連日のように入れ代わり立ち代わり行なわれるオーケストラ・コンサート。ミューザ川崎シンフォニーホールは、ステージを客席が螺旋状に取り囲むユニークな空間と、サイモン・ラトルやマリス・ヤンソンス、ヴァレリー・ゲルギエフといった世界的マエストロが絶賛する音響で、クラシック音楽ファンに知られるコンサートホールだ。初めて足を踏み入れる方は、その形状や、客席とステージ(音楽家)の近さなどに驚くことだろう。

「2004年に開館した当初から、オーケストラの演奏会ができる2000席クラスのコンサートホールとして誇れる音楽祭を作りたい、という声が上がり、首都圏の主要オーケストラを次々と呼んでしまおうという画期的なスタイルが誕生しました。川崎市はオーストリアのザルツブルク市と友好都市であり、世界的に有名な夏のザルツブルク音楽祭もヒントになったと思います」(音楽祭プロデューサーの山本浩さん)

JR川崎駅を出たところに立つ案内板に、駅に直結するミューザ川崎への道案内とともに、ザルツブルク友好都市の紹介がある。「音楽の街」を標榜する川崎らしいシンボルだ。
オーケストラ専用に設計されたミューザ川崎シンフォニーホール。その魅力は「どこの席に座っても、舞台の中にいるんじゃないか、というくらいの明瞭度で聴こえる音響」(山本さん)。指揮者のマリス・ヤンソンスさんが「指揮台にいると、お客さんからのいいプレッシャーを感じる」とよく言うそう。「ちょっと緊張するかもしれないけど、前のほうで楽団員になったような臨場感を味わっていただくのがミューザらしい聴き方」とのこと。

前代未聞といってもよい「フェスタ サマーミューザ」がスタートすると、街中で音楽祭を盛り上げるポスターなどが掲示され、チケットの価格もリーズナブルなため、クラシックのコンサートに接する機会が少なかった方たちも多数来場。川崎市以外のエリアからも、音楽祭とホール目当てでいらっしゃる方が多い。

各オーケストラが組むプログラムも千差万別であり、この音楽祭を網羅すればクラシック音楽の名曲からややマニアックな曲、「こんなに素敵な曲があったのか」と発見の喜びを味わえる曲など、多種多様な音楽が楽しめる。それぞれのオーケストラや指揮者が「サマーミューザだけ!」というこだわりのオリジナル・プログラムを考えるケースも多いようだ。

「各オーケストラのファンは、通常の定期演奏会と違ったホールで、聴き慣れたオーケストラの演奏を聴けるわけですから、新鮮な発見も多いようです。

逆に、ミューザ川崎へよくいらっしゃる方にとっては、この音楽祭でしか聴けないオーケストラも多く、こちらもまた発見の喜びがありますね。指揮者やオーケストラにとっては、年に1度であってもミューザ川崎で演奏する機会であり、楽しみに来演される音楽家もいらっしゃいます。

だからこそ、ちょっと冒険的だけれど本格的なプログラムを組んでくれますし、夏休みのお客様を意識した名曲ぞろいのプログラムで楽しませてくれるオーケストラもあります」(山本さん)

いくつかの公演では指揮者によるプレトークがあり、その日の演奏作品を紐解いてくれる。写真は2015年の井上道義(左)によるプレトークの様子。今年も読売日本交響楽団とともにブルックナーの交響曲第8番で登場(7月31日)。
パイプオルガンのルドルフ・ルッツが、公演前のロビーコンサート「オルガン・カフェ」にも登場(8月10日)。写真は2017年の様子。

はじめての方にオススメのオーケストラ

多くのコンサートが並ぶなか、この機会にクラシック音楽を楽しみたい! という読者に、おすすめのコンサートはあるだろうか。

「今年ですと、たとえば東京交響楽団によるオープニングコンサートでは、指揮者のジョナサン・ノットさんが子どもの頃に熱狂したという『サンダーバード』の音楽を、自ら再構成した本格的な交響組曲として聴かせてくれます(7月27日)。

川瀬賢太郎さんと神奈川フィルハーモニー管弦楽団が、ジャズ・ギタリストの渡辺香津美さんをソリストに迎えて『アランフェス協奏曲』を演奏するという驚きのプログラムも。キレッキレな川瀬さんのリズムは、スペインなどラテン系の音楽にはぴったりですから、熱狂のコンサートになるでしょうね(7月30日)。

今年は首都圏以外から、巨匠ゲルギエフが、世界から集まった俊英たちのPMFオーケストラによるショスタコーヴィチ交響曲第4番で特別参加し(8月2日)、仙台フィルハーモニー管弦楽団が初登場する(8月4日)のも注目です。もちろん他のオーケストラ公演の指揮者、ソリストも注目すべき顔ぶれですし、今回を聴き逃すと2度と聴けないかもしれない組み合わせもありますよ!

多くの公演の前に、公開リハーサルやプレトーク、プレコンサートなどの企画があるので、音楽をより深く、わかりやすく楽しめるのも特徴です」(山本さん)

2017年にも出演したゲルギエフ指揮 PMFオーケストラ。第16回チャイコフスキー国際コンクール・木管楽器部門優勝者をソリストに迎える予定(8月2日)。
川瀬賢太郎&神奈川フィルハーモニー管弦楽団は、渡辺香津美がエレキギターを用いて挑む「アランフェス協奏曲」などスペインの作曲家によるプログラム。15:00開演だが、チケットを持っていれば11:30から公開リハーサルにも入場できる(7月30日)。

誰でもウエルカム! な立体的な企画

オーケストラ・コンサートだけではなく、ピアニストの小川典子が子どもたちを集めて行なう楽しいコンサート(イッツ・ア・ピアノワールド/7月28日)や、パイプオルガンの響きを堪能できるコンサート(真夏のバッハⅣ ルドルフ・ルッツ パイプオルガン・リサイタル/8月10日)、さらには、ホールのアコースティックの響きを生かしたジャズのコンサートでは、今年は小澤征爾や村上春樹らが絶賛する大西順子トリオのライヴ(サマーナイト・ジャズ/8月8日)も行なわれ、バラエティに富んだ音楽も楽しめる。

 

子どもたちがステージ上のピアノを囲み、ピアノの魅力を間近で体感できる小川典子のイッツ・ア・ピアノワールド(7月28日)。
昨年のオープニングコンサートに出演して、ラプソディ・イン・ブルーで超絶的名演を東響と繰り広げた、大西順子トリオ。今年は待望のトリオ+ゲストでサマーナイト・ジャズに単独登場!(8月8日)

ステージ(音楽家)と客席の親密度が高いのもミューザ川崎ならではであり、視覚的な意味も含めた臨場感や音のクリアさは随一だ。ステージの横や後方など、座る席によっては楽団員になったような気分を味わえるなど、オーケストラやコンサートの新しい楽しみ方を発見できるかもしれない。

平日昼、平日夜、土日の昼など、開演時間からコンサートを探すのも一手。すでに完売の公演や席種もあるので、チケット入手はお早めに。まずは、行ってみようミューザ川崎、体験してみよう「フェスタ サマーミューザ」!

音楽祭information
フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2019

会期: 2019年7月27日(土)~8月12日(月・祝)

会場: ミューザ川崎シンフォニーホール、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ

詳しくはこちら

ミューザ川崎のスタッフがお揃いのポロシャツを着て、お待ちしております!
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オヤマダアツシ
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オヤマダアツシ 音楽ライター

中学1年生のときにビートルズで音楽に目覚め、ドビュッシーでクラシック音楽に目覚める。音楽漬けの学生時代を経て、広告コピーライターや各種PR誌の編集業務などをする中、3...

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