趣ある元小学校がアコースティック楽器と自動演奏が共演する音と光の空間に~北爪裕道『粒子の踊り』
京都芸術センターは、1869年に開校、1931年に改築、1993年に閉校した明倫小学校の建物内にある。KAC Performing Arts Programの音楽プログラムは、その歴史を感じさせる空間を効果的に用い、音楽ホールよりも身近で濃密な音楽体験の場をつくり出すことを目指しており、毎年、若手音楽家に焦点をあて、先鋭的なプログラムを展開している。
今年度の音楽プログラム第1弾として、作曲家・北爪裕道によるコンサートとインスタレーション展示を開催。
北爪は、器楽の楽曲だけでなく、電子音響や自動演奏ピアノを用いた作品も手掛け、人間の演奏とは別の摂理で動く、自動演奏ならではの表現を追求してきたという。
今回は、2015年にサクソフォンと電子音響により初演された作品「粒子の踊り」を、本堂誠(サクソフォン)、猪居謙(ギター)、加藤文枝(チェロ)と自動演奏ピアノで演奏するなど、北爪が近年力を入れている自動演奏楽器や独自の演奏装置を用いた楽曲のほか、電子音響とアコースティック演奏を組み合わせた多彩な作品を取り上げる。
北爪裕道:粒子の踊り(2015年/2021年 クラリネット版 クラリネット:西村薫)
また、「会場全体に配置された自動演奏楽器群や音響装置による様々な音と光が、楽器演奏と呼応しながら空間を飛び交います」(北爪/公式サイトより)と書かれているように、「粒子の踊り」のイメージを増幅させる舞台・照明の演出や視覚効果も観どころ。
終演後の「インスタレーション展示」では、公演で使用した自動演奏ピアノを、来場者がiPadを操作して体験できる。
歴史ある建物をほぼそのまま残している趣ある元小学校で、アコースティック楽器と電子音響、さらに視覚効果との融合を眼前に鑑賞できるコンサート。ライブならではの音空間を体験してみては。
東京藝術大学、桐朋学園大学などで作曲や指揮を学んだ後、文化庁、ロームミュージックファンデーションなどから給費を得てパリに滞在。パリ国立高等音楽院作 曲科第一、第二課程、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)コンピュータ音楽課程をすべて首席で入学および修了。作品はソロからオーケストラ、声楽、 電子音楽など多岐にわたり、世界各地で高い評価を受けている。また指揮者としても国内外の新作初演等を多数手がけてきたほか、電子音響、コンピュータ音楽 技術も手がけ、独自の演奏装置やシステム制作も行なう。2018年、自動演奏ピアノや電子音響を駆使したオーケストラ作品がパリで初演、翌年、東京サント リーホールでも上演され、それぞれ話題を集めた。現在、東京藝術大学、桐朋学園大学、国立音楽大学非常勤講師。
日時: 2021年12月11日(土)・12日(日)各15:00開演
※各回公演終了後、20:00まで会場にてインスタレーション展示
会場: 京都芸術センター 講堂
料金: 一般前売3,000円/当日3,500円、U25 2,500円(前売・当日共)
※全席自由
※インスタレーション展示は予約不要・入場無料
出演者・スタッフ:
作曲・構成:北爪裕道
出演:本堂誠(サクソフォン)、猪居謙(ギター)、加藤文枝(チェロ)
演出協力:桑折現
技術協力:大久保雅基
舞台監督:小林勇陽
照明:十河陽平(RYU)
音響プラン:大久保歩(KWAT)
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