2025.06.05
名曲解説100
30秒でわかるチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番について30秒で丸わかり♪
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜93)の比較的初期の作であるこの協奏曲は、ピアノの名技性にラプソディックな性格を結び付けた民族色あふれる個性的な名作です。もっともそうした独自性ゆえに、初演を依頼するつもりだったニコライ・ルビンシテインに完成前の手稿をみせたところ、散々にこきおろされてしまいます。出来に自信を持っていたチャイコフスキーは激怒し、ドイツのピアニストのハンス・フォン・ビューロー(指揮者としても有名)に楽譜を送り、ビューローはボストンでこれを初演し大成功を収めました。のちにルビンシテインもこの曲の価値を認め、チャイコフスキーも作品を改訂して決定稿を作り上げています。
第1楽章はまず壮麗長大な序奏に始まります。とても印象的な出だしですが、この冒頭主題は序奏にだけしか現れないところがユニークと言えるでしょう。続く主部は激しい起伏のうちに展開していきます。第2楽章は明澄な叙情に満ちた緩徐楽章ですが、途中にスケルツォ風の軽やかな部分が挟まれます。そしてフィナーレはウクライナ民謡に基づく舞曲風の主題を中心に発展、最後のコーダでは圧倒的なクライマックスが築かれます。
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23
作曲年: 1874〜75年、改訂1879年、1888〜89年
演奏時間: 約35分
編成: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦5部、独奏ピアノ
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