佐渡 裕芸術監督プロデュースオペラ2022《ラ・ボエーム》～コロナ禍を乗り越え 奇跡の上演

演出はイタリア出身のダンテ・フェレッティ。フランコ・ゼフィレッリやフェデリコ・フェリーニら名匠の下でキャリアを積み、ハリウッドでマーティン・スコセッシ、ティム・バートン監督映画等の美術を担当、アカデミー賞をも受賞した世界的デザイナーだ。今回、兵庫のために新たに、美しく洗練された《ラ・ボエーム》を創る。

「特にこの《ラ・ボエーム》では、若く才能のある人たちを呼びたいと思っていた」という佐渡。

歌手はイタリアでオーディションを行い、ヨーロッパ各地の若手歌手たちを選抜。今年のザルツブルク音楽祭デビューが決まっている逸材など、現地でも評判の明日のスターを聴く好機となる。

ミミ役のフランチェスカ・マンツォは、「延期期間は、集中、熟考してこの作品のデビューに向けてさらによい準備をする絶好の機会となった」、ロドルフォ役のリッカルド・デッラ・シュッカは、「私の国際的なデビューであり、それを大好きな《ラ・ボエーム》ロドルフォ役で迎えられることに、とても歓びを感じている」と語る。

一方、ダブルキャストの日本人歌手は、第一線で活躍を続ける旬の日本人歌手が中心で、プロデュースオペラ初登場となるミミ役の砂川涼子、ロドルフォ役の笛田博昭ら、これらの役といえばすぐに名前が挙がる決定版の配役が実現。

「まっすぐに生きるミミを、美しい音楽と共に感じていただけたら嬉しいです。プッチーニの音楽が最高に美しいので、余計なことはいらない。そう思います」と砂川が語るように、指揮の佐渡も、特に第３幕において、元の脚本の何十倍も感情が伝わるプッチーニの音楽の凄さを語る。初演から100年以上たった今もなお、世界中で最も愛されるオペラの一つである所以だろう。

プロデュースオペラが始まって以来、この《ラ・ボエーム》でもう17回目を迎える。「当初はお客様の大半がオペラ初心者でした。ここ兵庫のプロデュースオペラのあり方というものが17年の間にできてきたと感じます」という佐渡。兵庫・西宮だけで上演される特別なオペラ、この一期一会の機会は聴き逃せない。