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2023.05.12

一人の作曲家が審査をする「武満徹作曲賞」2025~27年の審査員が決定!

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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東京オペラシティ文化財団が、芸術監督であった作曲家・武満徹(1930〜1996)の理念を引き継ぎ、未来に向かって、より創造的な音楽文化の可能性を育むことを目指した活動の一環として、世界中の若い世代の作曲家に新しい音楽作品の創造を呼びかけ、1997年より実施しているオーケストラ作品のコンクール「武満徹作曲賞」

このコンクールでは毎年1人の作曲家が審査員をつとめ、それぞれ独自の判断でその年の受賞作品を選ぶのが特徴のひとつ。第1回アンリ・デュティユーから始まり、ジェルジ・リゲティ、ルチアーノ・ベリオ、湯浅譲二ら、作曲界の重鎮たちが審査員を務めてきた。5月28日に東京オペラシティ コンサートホールで本選演奏会が開催される2023年度は日本を代表する作曲家の近藤譲、2024年度にはイギリスのマーク=アンソニー・ターネジが審査員を務める。

この度、2025年〜2027年の審査員が決定した。

2025年度: ゲオルク・フリードリヒ・ハース Georg Friedrich Haas (1953〜) オーストリア

©︎Ricordi/Harald Hoffmann

1953年オーストリア、グラーツ生まれ。グラーツ国立音楽大学にてゲスタ・ノイヴィルトに作曲を、ドリス・ヴォルフにピアノを学ぶ。その後ウィーン国立音楽大学にてフリードリヒ・ツェルハに師事。ダルムシュタット夏期現代音楽講習会や IRCAMでも学んでいる。グラーツ国立音楽大学とバーゼル音楽院にて教えたのち、2013年からはトリスタン・ミュライユ の後任としてニューヨークのコロンビア大学作曲科教授を務めている。 ヴィシネグラツキーやアロイス・ハーバを研究し、室内アンサンブルのための《夜陰》(1991)、室内オペラ『夜』 (1995-96/98)、弦楽四重奏曲第1番(1997)、《Nach-Ruf…ent-gleitend…》(1999)等。ウィーン市音楽賞(2004)、オーストリア国家大賞(2007)、南⻄ドイツ放送響作曲賞(2010)、ザルツブル ク音楽賞(2013)など多くの受賞歴がある。ベルリン芸術アカデミーやバイエルン芸術アカデミーの会員。 作品はユニバーサル・エディションおよびリコルディ・ベルリン(2016 年秋以降)より出版されている。

2026年度: イェルク・ヴィトマン Jörg Widmann(1973〜) ドイツ

Photo: Marco Borggreve

1973年ドイツ、ミュンヘン生まれ。クラリネット奏者、作曲家、指揮者、いずれの分野でも世界的に活躍している。 幼少よりクラリネットを学び、ミュンヘン音楽芸術大学でゲルト・シュタルケに、ジュリアード音楽院でチャールズ・ナイディッ クに師事。11歳からは作曲も始め、カイ・ヴェスターマン、ヴィルフリート・ヒラー、ヘンツェ、ゲッペルス、リームに学ぶ。 クラリネット奏者としては、リーム、ライマン、ホリガーらから作品を献呈されている。2017〜22年アイルランド室内管首 席指揮者。現在、ザルツブルク・モーツァルテウム管首席客演指揮者など。 代表的な作品として、10曲を数える弦楽四重奏曲、《ラビリンス》シリーズ、《アルモニカ》(2006)、ヴィトマンの作品 中もっとも演奏されている《コン・ブリオ》(2008)、2つの《ヴァイオリン協奏曲》(2007)(2018)、《ヴィオラ協奏曲》(2015)など。パウル・ヒンデミット賞、ロベルト・シューマン賞、ミュンヘン市音楽賞、バイエルン州マクシミリアン科学芸術勲章など、 数々の受賞歴がある。フライブルク音楽大学で2001〜15年クラリネット科教授、2009年からは作曲科でも教授を つとめた。ベルリン高等研究所フェロー、バイエルン芸術アカデミー会員。 作品はショット・ミュージックから出版されている。

2027年度: ショーン・シェパード Sean Shepherd(1979〜) アメリカ

1979年アメリカ、ネバダ州リノ出身。インディアナ大学にて作曲をクロード・ベイカー、デイヴィッド・ズベイ、ファゴットをキ ム・ウォーカーに師事。卒業後作曲をジュリアード音楽院にてロバート・ビーザーに、さらにコーネル大学にてロベルト・シ エッラ、スティーヴン・スタッキーに学ぶ。 2012年にニューヨーク・フィルから新進作曲家賞を受賞したことで注目を受ける。《Express Abstractionism》 (2017)がネルソンス指揮ボストン響によって初演、その録音はナクソスレーベルから発売されている。代表的なオーケストラ作品として、温暖化や気候変動をテーマにした《メルト》(2018)と《スプラウト》(2021)、パンデミックによって変化した時間感覚を考察した《ダウンタイム》(2021)がある。

2022年よりシカゴ大学客員教授。シカゴ在住。 作品はブージー&ホークスより出版されている。

審査員の選考は、東京オペラシティ文化財団ミュージック・ディレクター池辺晋一郎の監修で作成した候補者リストをもとに、財団のアドバイザーである4人の指揮者/作曲家(ケント・ナガノ、大野和士、サイモン・ラトル、エサ=ペッカ・サロネンの各氏)ならびに、2022〜2024年度審査員であるブライアン・ファーニホウ、近藤 譲、マーク=アンソニー・ターネジの各氏による投票方式で行なわれた。

音楽家だけでなく、リスナーにとっても「音楽の今」を目の当たりにできる「武満徹作曲賞」に注目してみてはいかがだろうか。

東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル
撮影:大窪道治 提供:東京オペラシティ文化財団
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