オリンピックは音楽イベントも見逃せない! 東京2020の文化プログラム
いよいよ今夏にせまった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。「オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するもの」というオリンピック憲章の言葉に則り、わくわくする文化イベントも目白押しです!
数多くある東京2020関連の音楽イベントのなかから、音楽評論家の山田治生さんに注目のプログラムをご紹介いただきます。オリンピックならではの祝祭感を文化でも味わいましょう。
1964年京都市生まれ。1987年、慶應義塾大学経済学部卒業。1990年から音楽に関する執筆活動を行う。著書に、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人 -ある日本人指揮者の...
スポーツと文化を融合させる“オリンピズム”
オリンピックと文化との結びつきについては、オリンピック憲章にこう書かれている。
「オリンピズムはスポーツを文化、 教育と融合させ、 生き方の創造を探求するものである。 その生き方は努力する喜び、 良い模範であることの教育的価値、 社会的な責任、 さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする」
そして、文化プログラムについても、オリンピック憲章に明確に記されている。
「オリンピック競技大会組織委員会は、短くともオリンピック村の開村期間、複数の文化イベントのプログラム を計画しなければならない」
この精神を反映し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に際しても、公式・非公式、さまざまな文化的なプログラムが開催されている。
※以下のイベント日程は変更の可能性がありますので、詳細は公式サイトをご確認ください
まずは競技大会組織委員会の「東京2020 NIPPONフェスティバル」を見てみよう!
「東京・春・音楽祭特別公演 ベルリン・フィル in Tokyo 2020」
競技大会組織委員会が主催する「東京2020 NIPPONフェスティバル」の共催プログラムでは、「東京・春・音楽祭特別公演 ベルリン・フィル in Tokyo 2020」が楽しみ。
なかでも、6月27日にベルリン・フィルが新宿御苑風景式庭園での野外コンサートで演奏するベートーヴェンの「第九」は注目だ。世界中(ドイツ、スペイン、南アフリカ、オーストラリア、中国、日本など)からTOKYO2020を祝うために集い、合唱界のカリスマ、サイモン・ハルシーの指導を受ける「2020 One World Choir」(約300人)は聴きもの。世界的人気指揮者グスターボ・ドゥダメルが振る。
人類愛を歌い上げる「第九」ほど、オリンピック・パラリンピック競技大会にふさわしい作品はないであろう。
日時: 2020年6月24日(水)19:00開演
曲目: ベートーヴェン/バレエ音楽《プロメテウスの創造物 op.43 より 「序曲」、ワーグナー/歌劇《タンホイザー》第2幕 「殿堂の入場」(管弦楽版)、早坂文雄/映画音楽《羅生門》より 第1楽章、第3楽章、第4楽章、ストラヴィンスキー/バレエ音楽《火の鳥》より 「魔王カスチェイの凶悪な踊り」、「子守歌」、「フィナーレ」、J.ウィリアムズ/サモン・ザ・ヒーロー、ショスタコーヴィチ/バレエ音楽 《黄金時代》 op.22 より III. ポルカ、IV. ダンス、マルケスしらっすいダンソン 第8番、ラヴェル/ボレロ
日時: 2020年6月25日(木)19:00開演
曲目: マーラー:交響曲 第2番 ハ短調 《復活》
日時: 2020年6月26日(金)19:00開演
曲目: ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 op.125 《合唱付き》
会場: 東京文化会館大ホール
日時: 2020年6月27日(土)14:00
会場: 新宿御苑 風景式庭園
料金: 無料 ※ただし新宿御苑への入園料が必要
曲目: ベートーヴェン/交響曲 第9番 ニ短調 op.125 《合唱付き》
出演: グスターボ・ドゥダメル(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ほか
詳細はこちら
「アンセム・プロジェクト2020 in Suginami」
やはり「東京2020 NIPPONフェスティバル」の共催プログラムである「アンセム・プロジェクト2020 in Suginami」にも注目。
2018年から約2年間にわたる、世界206の国と地域のアンセム(国歌、賛歌など)の録音を完結させた、山田和樹&東京混声合唱団、日本フィルが、パラリンピック開催期間中に、様々な国の国歌や愛唱歌を歌い、演奏する。彼らのプロジェクトの集大成的なコンサートだ。
日時: 2020年8月30日(日)15:00開演
会場: 杉並公会堂大ホール
曲目: ヴェルディ/歌劇《アイーダ》より凱旋行進曲、オリンピック開催国歌メドレー、ほか
出演: 山田和樹(指揮)、日本フィルハーモニー交響楽団、東京混声合唱団
東京都主催の「Tokyo Tokyo Festival」にも注目!
東京都が主導しているのが「Tokyo Tokyo FESTIVAL(以下、TTF)」。都内で催される数多くのプログラムがこのTTFに参加している。
エル・システマジャパン「世界子ども音楽祭2020」
エル・システマジャパンが主催する「世界子ども音楽祭2020」も、TTF助成事業である。
2日目のベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」の公演では、英、米、仏、韓、アンゴラ、ニュージーランド、ブラジルからの子どもたちや、相馬、大槌、駒ケ根の子どもオーケストラによって、音楽祭オーケストラが特別に編成される。
そして、視覚・聴覚障害や自閉症、発声に困難を抱える子供たちが参加する東京ホワイトハンドコーラス(歌を手で表現したりもする)や、ベネズエラの子どもたちも加わる合唱にも注目である。指揮はクリスティアン・バスケス。
2019年3月24日に開催された、第5回子ども音楽祭in相馬より
「オペラ夏の祭典2019-20」
TTF参加公演である「オペラ夏の祭典2019-20」の今年の演目は、ワーグナーの大作「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。
東京文化会館、新国立劇場、ザルツブルク・イースター音楽祭、ドレスデンのザクセン州立歌劇場の共同制作。まさに日本から世界に発信するオペラ・プロダクションである。
演出はイェンス=ダニエル・ヘルツォーク。東京都交響楽団が音楽監督・大野和士とともにピットに入る。
日時: 2020年6月14日(日)14:00開演、17日(水)12:00開演
会場: 東京文化会館大ホール
日時: 2020年6月21日(日)14:00開演、24日(水)16:00開演、27日(土)14:00開演、30日(火)12:00開演
会場: 新国立劇場オペラパレス
日時: 2020年7月5日(日)12:00開演
会場: 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
指揮: 大野和士
演出: イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
出演者などの詳細はこちら
東京都交響楽団が音楽大使としてヨーロッパへ
“都響”のニックネームで親しまれている東京都交響楽団は、前回の東京オリンピックの記念文化事業として設立された。
東京オリンピックのレガシーといえる都響は、「首都東京の音楽大使」として、大野和士とともに今回のオリンピック開催期間中にヨーロッパへ旅立ち、東京2020をアピールする。
8月7日にアムステルダムのコンセルトヘボウでコンサートを行なうほか、9日にはスペインのサンタンデール音楽祭に、12日にはイギリスのエジンバラ音楽祭に参加。都響の国内での活動とともに、このヨーロッパツアーにも注目したい。
オランダ
日時: 2020年8月7日
会場:コンセルトヘボウ(アムステルダム)
スペイン
日時: 2020年8月9日
会場:サンタンデール音楽祭(パラシオ・デ・フェスティバレス)
イギリス
日時: 2020年8月12日
会場: アッシャーホール(エディンバラ国際フェスティバル)
指揮: 大野和士(東京都交響楽団 音楽監督)
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