3年ぶり!フォルクスオーパー響と過ごす年末年始~憧れのウィーンの歴史と音楽を体感
今年は3年ぶりにウィーンからフォルクスオーパー交響楽団が来日し、サントリーホールでジルヴェスター・コンサートとニューイヤー・コンサートを開催します。
このオーケストラが所属するウィーン・フォルクスオーパーは、ウィーンに数ある歌劇場の中でも最も重要なものの一つ。ウィーンの文化を語る上で欠かせない場所です。
ウィーン在住の大井駿さんが、このホールが見守ってきたウィーン、ひいてはオーストリアの歴史、そして人々を楽しませてきた音楽との切っても切れない関係を紐解きます。
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
気づけば2022年も、もうすぐ終わってしまいますね……。
「あれ、このまえ年が明けたばかりなのに、もう年の瀬かぁ……」という、みなさんの心の声が聞こえてくる気がします。筆者もそんな皆さんと同じ思いです。
しかし落ち込んではいけません。まだ今年も大切なイベントが残っています。
まず、クリスマスがありますね! キラキラと眩しいイルミネーションが、寒さを吹き飛ばしてくれます。
そして……ジルヴェスター&ニューイヤー・コンサートです!
大晦日が「ジルヴェスター」と呼ばれるようになったわけ
今年は2019年以来、3年ぶりにウィーンよりフォルクスオーパー交響楽団が来日し、サントリーホールにて2022年12月31日のジルヴェスター・コンサート、そして2023年1月1日のニューイヤー・コンサートを開催します。
ジルヴェスターとは、ドイツ語で大晦日のことを指します。これは、シルウェステル1世(?〜335年)というローマ教皇が、この世を去ったのが大晦日だったことから、ドイツ語読みでジルヴェスターと呼ばれています。
ニューイヤー・コンサートは、その名の通り、新年が明けてから行なわれる演奏会です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が毎年元日に演奏する習慣を始めてから、約80年以上が経ちますが、現在は様々なオーケストラでこの慣習に倣ったニューイヤー・コンサートが催されています。
今回、サントリーホールで行なわれるジルヴェスター&ニューイヤー・コンサートで演奏するウィーン・フォルクスオーパー交響楽団。その拠点であるウィーン・フォルクスオーパーは、ウィーンの数ある歌劇場の中でも最も重要なものの一つで、ウィーンの文化を語るには欠かせない場所なのです。
ウィーン・フォルクスオーパーは「民衆の歌劇場」
ウィーン・フォルクスオーパーが建てられたのは、1898年。
当時のウィーンには、モーツァルトがオペラ《フィガロの結婚》を初演したブルク劇場、ベートーヴェンがオペラ《フィデリオ》を初演したアン・デア・ウィーン劇場、そして1869年に国の威信をかけて建てられたウィーン国立歌劇場などがありました。
それらの中で、ウィーン・フォルクスオーパーは、当時ヨーロッパで巨大帝国として君臨していたオーストリア=ハンガリー帝国の皇帝フランツ=
ウィーンの劇場の中でも、ウィーン国立歌劇場の次に大きな劇場として、総額約19億円をかけて建設されたのです。
初代の首席指揮者にはアレクサンダー・フォン・ツェムリンスキーが就任し、たちまち大人気の歌劇場となります。さらに、ウィーン国立歌劇場が第二次世界大戦中に空襲に見舞われたこともあり、ウィーンの重要な公演を国から任されていたほどです。
フォルクスオーパーには、「民衆」や「国民」を意味するフォルク(Volk)と「歌劇」を意味するオーパー(Oper)がくっついた、すなわち「民衆の歌劇場」という意味があります。
その言葉が示す通り、フォルクスオーパーは、あまり音楽に馴染みがないような方でも楽しめるような、ドラマチックで笑いに溢れるオペレッタ、ミュージカル、そして演劇作品に焦点を当てた演目で、民衆を楽しませています(ちょっとシリアスな内容のオペラは、他の歌劇場で上演されることが多いです)。
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