インタビュー
2020.11.13
11月の特集「チャレンジ!」

オンライン習い事「カフェトーク」は安心サポートで受講生も講師も気軽に始められる!

オンラインで習い事をする受講生と講師をマッチングさせるプラットフォーム「カフェトーク」。10年前にスタートし、世界中から受講生が集まるオンラインレッスンのサービスは、どのような運営で成長しているのでしょうか。

取材・文
高坂はる香
取材・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

写真:各務あゆみ

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

コロナ禍であらゆる物事のリモート化が進み、音楽の分野でもレッスンをオンラインで行なう人が急増しています。

カフェトークは、世の中がこの状況になるずっと以前の2010年にスタートしたオンラインレッスンサービス。当初は語学が中心でしたが、2014年からは音楽関係のレッスンもスタート。ピアノや歌、ヴァイオリン、尺八や三味線などの和楽器、子ども向けのリトミックなど、多様なレッスンが揃っています。

昨今の状況により利用者が増えるなか、カフェトークでは生徒はもちろん、講師も大募集中。そこで、カフェトークのシステム、ここを通じてレッスンを受講、提供することの利点や、実際どのようにレッスンが行なわれているのかを、運営スタッフと講師のみなさんに伺いました。

運営スタッフにきく、カフェトークとは

——まずは、カフェトークのコンセプトを教えてください。

代表・橋爪小太郎さん “いつもの生活に世界のスパイスを”をコンセプトとしています。忙しくて教室に通えない方でも、オンラインならば、生活の隙間の時間に未知の世界に触れることができるのではないかと始めたサービスです。日本だけでなく、世界中の講師から、さまざまなカテゴリのレッスンを受けられます。

カフェトークを運営する会社、株式会社スモールブリッジの代表取締役・橋爪小太郎さん。オンラインでの習い事の在り方を模索しながらも、大きく方向性を変えることなく「入会金なし、担当制なし」の現在の形を貫いている。ご自身もカフェトークでピアノを習っているそう。

——受講のシステムはどのようなものでしょう?

橋爪さん 受講生は会員登録後、ポイントを購入し、レッスンを選んで予約する際にポイントで支払いをします。入会金は不要。とにかく始めやすいのが特徴です。担当制もなく、毎回別の講師のレッスンを受けることもできます。しばらく休んでも無駄な費用はかからず、いつでも再開できます。

入会金などの縛りはなくても、質の良いレッスンとサポートを提供し続けることで、多くの方が継続して利用してくださっています。

——講師とはどのような契約になっているのですか?

橋爪さん カフェトークは、講師と受講生をマッチングさせるプラットフォームです。プロフィールを掲載している講師と私たちの間に雇用契約はありません。

オンラインで面談をして、規約に同意いただけたらサイトに講師のページを掲載。内容や料金は各講師が設定します。レッスン申し込みがあると、手数料を差し引いた受講料が講師に支払われます。レッスンにあたってのサポートも行ない、思うように生徒が増えない方の相談をお受けすることもあります。

基本的に他の活動に制約はないので、他にご自分の教室でレッスンをされている方、演奏活動で世界を移動している方もいらっしゃいます。

レッスンを始めるには何が必要?

——サービスを利用するにあたり、揃える必要のあるものは?

橋爪さん レッスンにはスカイプを使用します。インターネットは光回線以上を推奨。デバイスとして、マイク、スピーカーが内蔵されているPCか、スマートフォンまたはタブレットが必要です。より良い音でレッスンを実施するため、コンデンサマイクを使う方もいらっしゃいますが、なくてもまったく問題ありません。

鏡冴恵さん 24時間対応のサポートデスクがあり、スカイプの使い方がわからないとか、レッスン前に通信のテストをしたいというご相談にも対応しています。家のどこが一番通信が安定するか調べたいという方に、サポートとつないだまま部屋の中をまわっていただき、通信速度の測定をしてさしあげる、なんていうこともあります。

音楽部門の運営を担当する鏡冴恵さん。カフェトークは韓国やカナダにも拠点があるので、時差を利用した24時間体制で講師をサポートしているとのこと。発表会やコンサートを企画するなど、主催イベントにも力を入れる。

——受講生は、楽器をどうされているのでしょう?

鏡さん もともとお持ちでなければ、楽器についてのカウンセリングも行なっていますので、相談のうえ、入門向けの手頃な金額の楽器を購入する方が多いです。そもそもオンラインのレッスンが向いているか試すため、はじめは楽器のいらない歌のレッスンを受けてみるという方もいます。

——どんなクラスが人気ですか?

橋爪さん まずはピアノ。それと同じくらい、リトミックなどお子さま向けのレッスンが多いですね。次に多いのが、そしてヴァイオリンやフルートといった楽器、音楽理論のレッスンが続きます。

語学レッスンの受講生には、もともと楽器を習っていた方が多く、カフェトークには音楽のレッスンもあると知って練習を再開した方も多いんですよ。海外在住の講師から、日本語以外で楽器を教えてもらうレッスンも人気です。

今や15万件にものぼる口コミが書き込まれていて、みなさんこれを参考に講師を選んでいるようです。

ピアノと声楽の講師にきく、カフェトークの魅力とレッスンの工夫

——カフェトークでレッスンをするようになったきっかけは?

ピアノ講師・Maeda Masumiさん 留学先から急遽帰国することになり、仕事をどうしようか考えていたときにカフェトークを知り、まずは登録してみました。自宅が都心から離れているため、通勤せずに教えられること、また、生徒が世界中にいるので、普通なら空くことの多い午前中もレッスンを入れられることが魅力です。

はじめはオンラインレッスンに抵抗がありましたが、実際にやってみると、子どもが小さくて外出できないお母さんや入院中のお子さんなど、求めている方が本当にたくさんいることがわかりました。

続けるうちに多くのレッスンをリクエストいただけるようになり、やっていて良かったと思っています。

ピアノ講師のMaeda Masumi(前田真澄)さん。ウィーン留学を経て、桐朋学園大学附属の音楽教室でピアノ講師をしながら、カフェトークでもレッスン、演奏活動も行なう。

声楽講師・Sayaさん 2014年にアメリカに留学したとき、アメリカの先生がスカイプでレッスンしようとおっしゃって、そんな方法があるのだと知ったことがきっかけです。当時はパフォーマンスをする側の活動が中心でしたが、学校の指導法の授業のため、教えることを経験する必要が出て、カフェトークに登録しました。英語を習っていて、英語の歌を歌いたい、腹式呼吸や発音を勉強したいという動機で受講する方もいます。

オンラインで取材に応じていただいた札幌在住の声楽講師、Saya(川島沙耶)さん。アメリカやヨーロッパでの音楽留学を経て、現在は札幌を拠点に、ソプラノ歌手としての演奏や指導の活動を行なう。

——レッスンで心がけていることはありますか?

Maedaさん モチベーションを保ってもらうため、目標を明確に設定するよう心がけています。1週間の練習計画、次までに何を改善する必要があるのかをわかりやすく伝えます。私の生徒さんは、コンクールに挑戦するような子が多いので、自分から目標を持ってくれることが多いですけれど。

Sayaさん 歌は道具を使わないぶん、自分で練習するのがむずかしいので、私は生徒さんに合わせて、発声の仕方、音が取れていなかった部分の練習用音源など、宿題動画を作って送っています。練習の方向性を示すと、多くの生徒さんはついてきてくださいます。

 ——オンラインレッスンならではの難しさはありますか?

Maedaさん 触れられないので、手の形を伝えたり、鍵盤の位置を説明することが難しいです。言葉の説明が理解できるようになる前の小さなお子さんのレッスンは、特に大変です。じっと座っていられず、画面からいなくなってしまう子も、ときどきいます(笑)。

Maedaさんのレッスンを受講する子どもへのインタビュー動画

Sayaさん 同じ空間で一緒に歌えないことはやはり難しいですね。直接空気を伝わって私の歌声が届くということがないので、どうしても感動は半分になってしまいます。その分レッスンでは、音質よりむしろ映像が鮮明であることを重視しています。体の使い方をわかりやすく見せることが、音楽表現の指導のうえでとても大切です。私は映像の美しさを重視して、レッスンではiPhone 11を使っています。

Sayaさんがレッスンについて語った動画

——個人で教室を開くのではなく、カフェトークに登録するメリットは? 

Sayaさん どこの国にいても、自分の好きなこと、得意なことを生かして教えられることが魅力です。世界中の人がサイトを見ているので、あらゆる国に暮らす方がレッスンに申し込んでくださいます

Maedaさん かなりの数の登録者がいるので、いろいろな方と出会い、さまざまな国の事情を知ることもできておもしろいです。キャンセルがあった場合も穴があきにくく、また個人では気を遣うキャンセル料のやりとりも、システムがしっかりしているので助かります。

加えて大きいのは、イベントをサポートしていただけること。今度開催する私のリサイタルは、遠方に住む生徒にも聴いてもらえるよう、カフェトークが配信とチケット販売を手伝ってくださいます。個人ではなかなかできないことなのでありがたいです。

最後に、橋爪さんがカフェトークならではの特徴を、3つあげてくださいました。

ここがポイント! カフェトーク
  • 習いたい欲求の強い受講生がたくさん登録している
    「現状、15万人以上が登録し、多くの方がアクティブに受講しています。個人で新規の生徒を得ることは簡単でないかもしれませんが、カフェトークの場合、いろいろ習いたいという欲求のある方が多く登録していますから、そこに向けてアピールすることで、生徒の獲得につながります」

 

  • 手厚いサポート
    「個人では、回線やPCなど設備上の不具合、スケジュール管理やお金のやりとりのトラブルなど、問題が起きた時に自分で対応しなくてはなりません。カフェトークでは、世界各地にいるスタッフが、24時間サポートします」

 

  •  オフラインイベントの開催
    「音楽カテゴリを始めて以来、習うだけでなく、成果を発表する場、音楽に触れる場を提供することにこだわり、イベントを随時企画してきました。なかでも発表会は、ある程度の規模ならではのことをやりたいと、毎年、銀座のヤマハホールで開催しています。例えば地方在住の受講生も、その機会に講師と対面できるうえ、すばらしいホールで演奏する機会がもてると、喜んでくださっています。
    また“いつもの生活に音楽のスパイスを”というコンセプトで、全国各地で講師によるコンサートを開催しています。教えるだけでなく、演奏の機会も得られるのは、カフェトークならではだと思います」

(橋爪さん談)

取材・文
高坂はる香
取材・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ