「コンテスタントの感情を写し出したい」ショパンコンクール公式カメラマン ヴォイチェフ・グジェンジンスキ
第19回ショパン国際ピアノコンクールが始まりました。ショパン研究所による動画配信では、舞台上の演奏はもちろん、舞台袖のコンテスタントの様子までも垣間見ることができ、まるで会場にいるような臨場感を味わうことができます。しかし、ときに動画よりも、コンマ1秒を捉えた1枚の写真が、コンテスタントの深い陶酔や、強烈な孤独、緊張状態を強く訴えかけることもあります。
2005年から公式カメラマンの一人として、ショパンコンクールの舞台写真と舞台裏を撮影されているヴォイチェフ・グジェンジンスキさんは、コンテスタントのさまざまな表情を捉えた一枚一枚の写真から、“ショパンコンクールとはどんなものであるか”を記録し、表現しています。
コンクール開幕直前に、オンラインインタビューで撮影にかける想いについてお話をうかがいました。
音楽イベントから戦場まで、あらゆるシチュエーションで撮影
——グジェンジンスキさん、はじめまして。私はあなたのショパンコンクールの写真の大ファンなんです。今日はお話をお聞きできてとてもうれしいです。グジェンジンスキさんは普段はどのような写真を撮られているんですか?
グジェンジンスキ 音楽イベントやスタジオ写真のほか、ルポルタージュやウクライナなどの戦争の写真も撮っています。
10代の頃からジャーナリズムに興味をもち、ちょうどヨーロッパにとって変革の時代だった1990年代にさまざまなルポルタージュに感化されて、自分も記録として写真を撮りたいと思うようになりました。報道写真は私のキャリアのスタート。それ以来、さまざまなシチュエーションで撮影をしています。
ポーランド出身の写真家。レバノン、イラク、アフガニスタン、南スーダン、ジョージア、ウクライナなどで武力紛争とその影響を記録してきた。2011〜2015年にはポーランド大統領府の主席カメラマンを務める。World Press Photo、Visa d’Or、Sony World Photography Awardsなど多数の国際賞を受賞し、国内でもGrand Press Photo最優秀賞(2022〜24)を連続受賞。文化・国家遺産省奨学生であり、審査員としても活躍している。
——ショパンコンクールを撮影することになったきっかけはなんですか?
グジェンジンスキ ショパンコンクールの撮影を始めた2005年、コンクール直前まで長い間ベラルーシで新聞の仕事をしていました。とてもハードで、病気と疲労困憊でポーランドへ帰国したところに、上司から療養の一環として勧められたのがショパンコンクールの撮影でした。「争いを求めて奔走する必要もなく、素晴らしい音楽を味わいながら写真を撮れる。素晴らしい経験になるよ」ということでした。
上司の言う通り、素晴らしい時間を過ごせました。特に2005年のコンクールは予備予選が本大会直前の9月から行なわれて、ファイナルまで5週間を要しました。長い期間撮影に携わることで、コンクールそのものをよく知ることができ、ショパン研究所の皆さんも私の写真を気に入ってくださいました。それからショパンコンクールをはじめ、「ショパンと彼のヨーロッパ音楽祭」や「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」のなども依頼されるようになりました。
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