インタビュー
2025.10.21
ショパンコンクールファイナリストインタビュー

ウィリアム・ヤン〜ショパンの音楽こそが「最初に恋をした音楽」

第19回ショパン国際コンクール、ついに全日程が終わり結果が発表されました! 翌日の取材会にて、第6位に入賞したアメリカのウィリアム・ヤンさんにお話をうかがいました。

三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...

©Wojciech Grzedzinski

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ワルシャワフィルハーモニーはほかのどの舞台とも違う

——このコンクールは、人生においてどんな記憶になると思いますか?

ヤン いつか振り返ったとき、ワルシャワのあの舞台で4度も演奏できた自分を思い出すのでしょう。それはきっと、現実とは思えないほど特別なことだと思います。誰にもができる経験ではないと思うので。

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ウィリアム・ヤン
2001年5月13日生まれ。カーティス音楽院で学んだのち、現在はロバート・マクドナルドの指導のもと、ジュリアード音楽院で研鑽を積んでいる。これまでにアレクサンダー・コルサンティア、ポール・ワースにも師事。

2025年マイアミで開催された全米ショパンコンクールで第1位に輝き、マズルカ賞およびソナタ賞も併せて受賞した。これまでに2014年ミッドウェスト国際ピアノコンクールで第2位、2015年クリーヴランド国際ピアノコンクールではセミファイナリストとしてバッハ賞を受賞している。

フォートワース交響楽団、サウスイースト・アイオワ交響楽団、ミネソタ管弦楽団などと共演。スタインウェイ・レコーディング・プロジェクトの受賞者でもあり、カーネギーホールのワイル・リサイタルホールを含むコンサートツアーにも参加している。

——コンクールの準備を始めてから終わるまでの間で、いちばん大変だった瞬間は?

ヤン やはり、膨大なレパートリーを十分なレベルまで仕上げるために、練習時間をどう割り振るかということですね。

もちろん、他の大きな国際コンクールに比べて、課題の分量が極端に多いというわけではありません。

でも、ワルシャワのステージには独特の緊張感があって……これはほかのどんな舞台とも違うように感じます。

ショパンはこれからもずっと特別な存在

——ショパンとの長い旅を終えた今、もっとも弾きたい作曲家は?

ヤン もちろんこれからもショパンの作品を弾き続けます。でも、もっとバッハを弾くのもいいですし、ロシア音楽にもより深く取り組みたいです。特にスクリャービンに。

初期のスクリャービンはショパンと似た要素がありますし、後期のスクリャービンはまた全然違う世界です。その両方のバランスが、自分にとっては理想的なんです。

©Wojciech Grzedzinski

——ショパンにメッセージをお願いします。

ヤン ショパンへ。あなたは世界に本当に多くのものを与えてくれた存在で、その意味を言葉にするのはほとんど不可能です。

でも、私にとっては、ショパンの音楽こそが「最初に恋をした音楽」なんです。だから、これからもずっと特別な存在であり続けると思います。

──それはいつ頃ですか?

ヤン たぶん5歳か6歳のころです。ピアノを始めて、楽譜の読み方を覚えたばかりの頃にショパンを弾いていました。結構むずかしかったことも覚えています。

──これからやってみたいことはありますか?

ヤン 具体的な計画はまだ全部は決まってはいませんが、ショパンの《24の前奏曲》をすべて録音して仕上げたいと思っています。それが今のところ、自分でも楽しみにしていることのひとつです。

三木鞠花
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...

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