インタビュー
2021.04.03
デビュー20周年アルバム『memory-go-round』に込められた想い

ギタリスト・木村大が贈る「大人のための子守唄」~音の余韻やアレンジへのこだわり

2021年3月10日にキングレコードよりリリースされた木村大のデビュー20周年アルバム『memory-go-round』。「大人のための子守唄」というコンセプトのもと、長年交流を深めているギタリスト、アンドリュー・ヨークによる楽曲提供や、コピーライターの野澤幸司による各曲に添えたことばなど、数多くのこだわりが込められている。ステイホーム中にじっくりと練り上げたというこのアルバムについて、お話をうかがった。

取材・文
小室敬幸
取材・文
小室敬幸 作曲/音楽学

東京音楽大学の作曲専攻を卒業後、同大学院の音楽学研究領域を修了(研究テーマは、マイルス・デイヴィス)。これまでに作曲を池辺晋一郎氏などに師事している。現在は、和洋女子...

写真:各務あゆみ

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

17歳でデビューしてから11枚目のアルバムまでの変遷

新しいアルバム『memory-go-round』がリリースされた2021年3月10日―—から遡ること21年と5ヶ月。木村大のデビュー盤である『ザ・カデンツァ17』は当時17歳だった1999年10月21日に発売された。

続きを読む

14歳で東京国際ギターコンクールに優勝し、既にクラシックギター界では名を轟かしていたが、広くメディアに取り上げられるようになったのは『ザ・カデンツァ17』(1999)からだ。当時の人気テレビ番組「トップランナー」などに出演し、このアルバムも大ヒット。続く2~3枚目のアルバムも話題を呼んで、医療品メーカーのCMに起用され、「情熱大陸」の密着も受けた。

木村の個性がよりはっきりと打ち出されるようになるのは、英国王立音楽院への留学を経てリリースされた4枚目のアルバム『カリフォルニアの風』(2005)以降であろう。アメリカ人クラシックギタリスト・作曲家、アンドリュー・ヨーク(1958~)の楽曲だけを収録し、ヨーク本人と共演しながら、一部の曲ではベースやパーカッションを加えたバンド編成を取り入れたのだ。

木村大『カリフォルニアの風』

その後のアルバムでも、伝統的なクラシックギターのレパートリーではなく、クラシック以外の有名曲をさまざまなアレンジャーによって編曲。そして、徐々に自分自身のアレンジでレパートリーに組み込むようになり、6枚目の『INFINITY』(2009)からは、木村自身による作曲作品が加わるようになっていった。

木村大『INFINITY』

このように、木村が2005年以降にたどってきた歩みと、2020年から現在まで続くコロナ禍の状況が重なったことで生まれたのが、11枚目のアルバム『memory-go-round』(2021)であろう。全9曲中、アンドリュー・ヨークによる2曲を除けば、残り7曲は木村が作曲もしくは編曲(かなり創作に近いアレンジ!)を手掛けたものなのだ。現在39歳の木村大が、このアルバムを生み出すことになった経緯について、たっぷり語ってもらった。

木村大『memory-go-round』

木村大(きむら・だい)
1982年、茨城県土浦市に生まれる。5歳より父、義輝に師事、ギターと音楽理論を学ぶ。小学1年で第13回GLC全国学生ギターコンクール小学校低学年の部優勝。1996年、ギターのコンクールでは世界最高水準と言われる第39回東京国際ギターコンクールで見事14歳で優勝。1996年、 97年2回にわたり茨城県知事賞受賞。17歳でソニーよりCDデビュー。2001年2月、第11回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞を受賞。2002年4月より英国王立音楽院に留学、帰国第一弾として2004年3月、NHK交響楽団と3夜連続共演。11月、第1回ベストデビュタント賞(音楽部門)を受賞。
2013年3月にキングレコード移籍第一弾となるアルバム『HERO』を発表。7月には自身初となる教則DVD『木村大クラシック・ギター・レッスン』を発売。翌2014年5月にはアルバム『ONE』をリリース、2016年には移籍三作目「ECHO」をリリース。唯一無二のギタリストとして、今後のさらなる活躍が期待されている。

14歳から親交を重ねるアンドリュー・ヨークのようになりたい

——今回も共演されているヨークさんとは、そもそもどのように出会ったのでしょう?

木村 アンディ(アンドリュー・ヨーク)と実際に会ったのは、プロデビューする以前、中学生になる前ぐらいの頃だったんです。彼がLAGQ(ロサンゼルス・ギター・カルテット)として初来日するよりも前に、メンバーのスコット・テナントっていうギタリストとデュオで日本に来たんですよ。

当時、僕のマネジメントをやっていた方が招聘元だったので(笑)、それからは来日するたびに一緒にギター弾いたりとか、演奏を聴いてもらったりってことが続いていって。

——デビュー盤『ザ・カデンツァ17』でアンディさん作曲の「サンバースト」などをレコーディングされたのは、もう何年も親交を重ねられたあとだったんですね。

木村 「サンバースト」は、クラシックギター界のキングであるジョン・ウィリアムズ(註:映画音楽の作曲家と同姓同名の別人)のアルバム『スピリット・オヴ・ザ・ギター』(1989)に収録されたことで世界中に広まったんですよ。僕も含めて、世界中のギタリストがあの曲を弾きたいっていう気持ちになっていって、僕もレコーディングするなら、必ずアンドリューの作品を入れようって決めていました。

そしたら、なんと僕のデビューアルバムために「サンバースト」と対になる「ムーンタン」(註:日焼け suntanをもとにした、“月焼け”を意味する造語)っていう曲を書き下ろしてくれたんです。アンドリュー・ヨークってなんて素敵なんだ。僕もそういうギタリストになりたいな! って思うようになりましたね。憧れの存在であることは、ずっと今も変わらないです。

アンドリュー・ヨーク「ムーンタン」

——ヨークさんの楽曲に限らず、そもそもクラシックギターにクラシック音楽以外の要素を持ち込む大きな流れを作ったのが、名前のあがったギタリストのジョン・ウィリアムズ(1941~)でしたよね。

木村 もちろん、彼はクラシックでも素晴らしい録音をいっぱい残しているんですけど、同時に、クラシックギターの可能性を広げつつ、バランスを取りながら伝えていく良いモデルケースになっているのは間違いなくて。彼が「スカイ」っていうバンドを組んで活動をしていたことも、僕はすごく興味を惹かれたし、彼の活動はクラシックギターの中で常に最先端。目を見張るものがあるので、アンディだけじゃなく僕もかなり影響を受けたりしています。

——そういう活動って、一部のクラシック音楽ファンからは眉をひそめられてしまうこともありますけど、彼らのような先人がいたからこそ、クラシックギターの世界は格段に広がって豊かになりましたし、それが木村さんの今の活動にもつながりますよね。

木村 一度、アンディと2人でそういう話をしたことがあって。そのとき彼は「素晴らしく非の打ちどころのないクラシックギターのプレーヤーは何人かいる。自分もそれを追い求めていくのかっていうと、自分はしたくない。そうではなく、やっぱり作品を書きたいし、自分はそれをギターという楽器を使って表現したいんだ!」って言っていましたね。

彼はすでに、素敵な作品をいっぱい書いている現実がありますから、説得力がありますよね。「ダイは、どういうギタリストになりたいんだ?」って彼に聞かれたときには、「アンディのようなギタリストになりたい」って答えたぐらい、そういうところにすごくシンパシーを感じています。

「ギタリストとしてキャリアを歩んできた道には、必ずアンドリュー・ヨークがいた」と語る木村さん。

——とはいえ、師弟関係ってわけでもなかったですよね?

木村 そうです。何かを教えてもらうってことは、一切ないんです。しかも、僕がリスペクトしているだけじゃなく、彼も僕の活動をリスペクトしてくれていて。僕のメールの返信が滞ったりすると「俺の愛を忘れたのか!」みたいな連絡が来たり(笑)。

——(爆笑)。年齢は離れていても、相思相愛であることが伝わってきます!

木村 彼が精神的な部分で日本にシンパシーを感じているってことも大きいみたいで。前世は日本人だったんじゃないかって、彼自身が言っているぐらいなんです(笑)。日本が大好きで、本当は毎年来たいと言ってますよ。

——でもコロナ禍で、それも難しくなってしまいましたね……。

同年代がおうちで有意義に過ごせるように

——昨年、緊急事態宣言が出されていたステイホーム期間、木村さんはどんなことを考えていらっしゃいましたか?

木村 コンサートがないことは、僕たちミュージシャンにとって死活問題なわけじゃないですか。でも、苦しくなってくると、人間って攻撃をはじめてしまいがちですよね。だからこそ、次の作品のためにやろうと思っていることを、しっかり反映させていく時期なんだと思うようにしていました。まさに今回のアルバムが、ひとつの答えになったのかなと思います。

普段だったら、技巧的な要素をふんだんに取り入れながら、ひとつのアルバムを作っていくんですけど、今回は派手な奏法を一切使わずに、すべての音をつまびいて、ひとつひとつを紡いでいくというか。そういうことによって、音楽全体のクオリティが上がっていくかなって考えたんです。

そして、音の余韻と空気感に時間を与えることで、皆さんの心の中で「0コンマ何秒」かもしれないけど、イマジネーションが湧く時間を、このアルバムの中で作っていったほうがいいのかなと。こうして、ひとつひとつの楽曲を練り上げられたのも、長過ぎるぐらいの時間があったからですね。

ステイホームを次の作品のための時間にする、時間をかけて練り上げるという気持ちで過ごしたという木村さん。

——選曲やコンセプトは、どのように決めていかれたのですか?

木村 ステイホームのときに映画を何本も見たんですが、そのなかのひとつが、高倉健さんの最後の主演作『あなたへ』(2012)だったんです。田中裕子さん演じる妻が高台の上や、丘の上で歌ったりしているシーンがあって、それがすごくいい曲で。以前にも聞いたことあった曲なんですけど、映画を観るまではタイトルと結び付いてなくて……。

それが宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌」だったんです。この曲をアレンジしていくなかでドンドンと、もっと違う作品を弾きたくなったり、僕自身が見落としていた過去の出来事だったりとかを思い浮かべるようになって。それで、自分のための「子守唄」を作ろうじゃないかって考えたところから、アルバムづくりが始まりました。

あと、これを外にアウトプットしたいってなったときに、誰へ向けるべきなのかって考えてみると、子どもたちじゃないなと。そうじゃなくて自分の同世代とか、いろんな状況の中で生活をしている「大人」の皆さんに届けられるような作品がいいかなって、そう思うようになりました。

木村大『memory-go-round』より「星めぐりの歌」

「大人のための子守唄」をアレンジで表現する

——こうやって「大人のための子守唄」というアルバムコンセプトが生まれたんですね。

木村 そうなんです。コンセプトが決まると、それにあわせて編曲もどんどんと変化していきました。なるべく余分な音を削いでいって、ハーモニーとして持続可能なギリギリなところまで、特にベースラインをしっかり継続できるように引き伸ばす……。そんなアレンジにしてみました。

——それによって、まさに先ほどおっしゃっていた「イマジネーションが湧く時間」を感じられた気がします。この「星めぐりの歌」だけじゃなく、木村さんが今回アレンジされた3曲はどれも創意工夫にあふれていますね。タレガの「ラグリマ(涙)」も独創的でした。

木村 主旋律がとっても綺麗で、本当に美しい曲だったので、一筋の涙がつたっていくような瞬間が描けられたら嬉しいよなあ……と思いながらアレンジしました。あと「子守唄」っていうと、日本でも短調(マイナー)だったりしますけど、今回のアルバムの世界観にあわせるために、なるべく暗くならず、光が差してくるようにしたかった。

なので、主部は少しリハーモナイズして、中間部はあえて削ってしまう代わりに、旋律を主部のベースラインにちょっとだけ使っているんです。気付く人、気付かない人いると思うんですけど、ふたつの部分を同時進行でやっちゃおうかなって。

木村大『memory-go-round』より「ラグリマ(涙)」

——もう1曲のアレンジ作品「グリーンスリーブス」は、弟の木村祐さんとのデュオになっていますね。こちらは、どんなことを考えていらっしゃったんでしょう?

木村 「グリーンスリーブス」の物語をおとぎ話として子どもに読み聞かせるとしたら、大人はどういうことを考えながら子どもに伝えるのか?……とか、そういうことを考えていましたね。

音楽的には、普通のコードにあえて不協和音になるような音を組み合わせることで、歌詞で歌われている男女のアンバランスな関係を表現しようとしました。あとは、歴史をたどっていくと「グリーンスリーブス」の旋律って2通りあるじゃないですか。

——刺繍音や導音が半音上がるのか、そうでないのかという部分ですね。

木村 それを最初は、半音上げる解釈にして弾いているんですけど、アドリブでソロを弾くときには半音上げずにナチュラル(♮)のままにしたりすることで、2人の男女の関係がクロスしているようで、してない……みたいな。思いが成就しなかった歌詞に結び付けています。

木村大『memory-go-round』より「グリーンスリーブス」

「グリーンスリーブス」はタイトルが「緑」だが、曲のイメージには「グレー」も含まれる。この微妙なニュアンスを、言葉では書けないが音では表すことができるという。

——あと、木村さんの自作・編曲以外ではアンドリュー・ヨークさん作曲の「Returning Home」と「Sky’s End」が収録されていますね。

木村 コロナになる前の2019年に、日本で一緒にツアーを回ったんですよ。ツアーを通じて、彼の最近のヒット曲である「Home」という曲を必ずソロで弾いてくれていて、本当に素敵な作品だなって毎回、思っていたんです。

アンドリュー・ヨーク「Home」

木村 今回のコンセプトが「大人のための子守唄」に決まってから、「家(home)」って何なんだろうって改めて考え直してみたんです。アルバムの鍵となる場所なので、どういうことなのかなって。子どもの頃のお家と、大人が仕事をして帰ってくるお家。どこが故郷で、どこが自分の帰るべき場所なのか……。

そんなことを考えながら、アンディにコンセプトを踏まえた上で「Home」を二重奏にアレンジしてくれないかって話をしたら、快く引き受けてくれて、「Returning Home」が誕生しました。もともと非常にハートフルな作品なんですけれど、デュオにしたことでソロともちょっと違う、いろんな感情を呼び起こせられる作品になったなあって感じてますね。

木村大『memory-go-round』より「Returning Home」

「歌詞のない歌」を野澤幸司さんによる「ことば」で感じ取ってほしい

——そして今回のアルバム、最大の特徴のひとつが博報堂のコピーライターで『妄想国語辞典』などの著書である野澤幸司さんが、各曲に「ことば」を寄せていることです。曲目解説でもないし、いわゆる詩ともちょっと違う。でもたしかに、その曲のエッセンスが詰め込まれていて、とても新鮮でした。

木村 今回のアルバムに収められた作品に限らず、僕やアンドリュー・ヨークは「歌(song)」と言っているんですよ。僕らの作品は、ギターのための音楽なので歌詞はありませんけど、それでも「歌」だと思っていたくて。作品には、自分たちが取り組んでいったときの過程とかが必ず込められていますしね。

それを歌詞という形ではなく、CDのブックレットに僕たちの「歌」を身近に感じられるような、心に引っ掛かってくれるような「ことば」を載せたら、音楽を感じ取ってもらえるかなって考えたんです。

——その「ことば」を木村さん自身が書くとか、あるいは詩人の方に依頼するとか、ほかにもさまざまな可能性があったかと思うのですが、なぜ野澤さんだったのでしょう?

木村 ステイホームの時期に図書館へ行く機会があって、そこで野澤さんの本がいくつかディスプレイされていたので読んでみたら、すごく面白くて。いわゆる詩の世界観とも違う、身の回りの些細なことだったり、ビジネスのことを独自目線で面白く取り扱っていたのが新鮮だったんだと思います。この人と一緒に作品を作れたら、面白いことができるんじゃないかなって、そのときにおぼろげながら考えたんです。

いざアルバムができ上がってきたときにも、やっぱり野澤さんにやってもらいたいなと思ったので、アプローチすることにしました。とはいえ全然、面識のない方だったので、まずはいろいろ調べてみると、彼と僕の唯一の共通点として茨城県の出身だってことがわかって、「これは大丈夫だな」って。同郷のよしみでやってくれるんじゃないか、最後のカードはそこかなって思いました(笑)。

インタビュアの小室さんが「実は私も茨城出身なんです!」と告白して、茨城トークも盛り上がった。

——(笑)。

木村 最終的には、共通でやり取りをしていた出版社の方が、野澤さんとつないでくださったんですけど、そうしたら野澤さん担当の方が自粛中に、なんと僕のCDをいっぱい聴いてくださっていたことがわかったんです。ああ、これはきっと大丈夫だろうと思いました(笑)。

野澤さんも早速、一緒に会いましょうって言ってくださったので、レコード会社のオフィスに来ていただいて。初対面でも話したい人とは言葉がドンドン出てくるんでしょうね。お互いにいろんなことを話し合った上で、僕が作品に込めた思いをあとでお送りしました。

曲も聴いてもらって、書いていただいたんですけど、例えば「星めぐりの歌」に対して「心の洗濯、柔軟剤入り。」ってコピーが送られてきたのを読んで、「自分じゃ絶対にこのフレーズは浮かんでこない!」と思って歓喜しましたね。あと、「グリーンスリーブス」と「ラグリマ」の「ことば」も特に気に入っています。

——他の楽曲について、どんな「ことば」が寄せられているのかは、CDを開封してからのお楽しみですね!

ブックレットの1ページ1ページにも、「大人のための子守唄」を表す世界観があふれている。楽曲はぜひ「ことば」とともに味わいたい。

最終的には、メロディだけで音楽を聴かせたい

——デビューアルバムからもう20年以上経ったわけですが、最近の活動をご自身で振り返ってみると、どんな感触がありますか?

木村 この10年間は、ずっとクラシックばかりやってきたわけでもなく、ジャズ、フラメンコ、ポップスなど、いろんなジャンルの第一線でやられている方々と一緒にセッションする機会が、とても多かったんですね。そのなかで学んだのは、リズムの感じ方がこんなにも違うのかってことなんです。

双方に良さがあるので、ひとりで弾いていても、リズムセクションとして聴かせる部分と、リズムにとらわれず自由にファンタジーの世界ができるんだっていうのと、どちらも両立していける40代になりそうだなって(笑)。それぞれの強みを分かち合えた瞬間に、自分の成長を感じられたんですよ。

——まだまだ、どこまでも進化されていきそうですね(笑)。もっと先、例えば20年後に、どんな音楽家になりたいと思われますか?

木村 最終的に僕は、単旋律だけ弾きたいですね。ほかの人に伴奏してもらうわけでもなく、メロディだけで音楽を聴かせたい。難しいことをするのではなく、美しいメロディを美しく弾くだけでいいなと思うようになりましたね。20年後だとまだ早いかもしれないですけど、死ぬ前に1度はやりたいんです。

カザルスやロストロポーヴィチが弾いたバッハみたいな。年齢を重ねて、あんなにふくよかに弾けるっていうのが素敵だなって、常々思っていたので。自分も晩年にはメロディだけ弾いても、みんなが拍手してくれる……そんなアーティストになりたいです。

『memory-go-round』のジャケット。
「大人のための子守唄」というコンセプトから丸(円)が思い浮かび、メリーゴーランドをジャケットに使いたいと思ったという。
取材・文
小室敬幸
取材・文
小室敬幸 作曲/音楽学

東京音楽大学の作曲専攻を卒業後、同大学院の音楽学研究領域を修了(研究テーマは、マイルス・デイヴィス)。これまでに作曲を池辺晋一郎氏などに師事している。現在は、和洋女子...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ