インタビュー
2019.05.01
ロックミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』イツァーク役インタビュー! 後編

ロックバンド女王蜂のアヴちゃん、エンターテイナーとしての熱い思いを語る!

1997年よりオフ・ブロードウェイで初上演され、ロングランを記録した『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。今回、7年ぶりの上演が決定し、ロックバンド女王蜂のヴォーカルを務めるアヴちゃんがイツァーク役に抜擢。インタビュー前編に続き、音楽や舞台、エンターテイナーとしての意気込みから、仕事に向き合う情熱まで……こちらも勉強になりました!

インタビューされた人
アヴちゃん
インタビューされた人
アヴちゃん 女王蜂のヴォーカル

2009年結成のバンド「女王蜂」のヴォーカルを担当し、作詞作曲も手掛ける。高音と低音を使い分ける個性的なヴォーカル、独創的かつ衝撃的なパフォーマンスが音楽業界のみなら...

聞き手・文
よしひろまさみち
聞き手・文
よしひろまさみち 映画ライター・編集者

音楽誌、女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』で編集・執筆のほか、『SPA!』『oz magazine』など連載多数。日本テ...

Photo:中山雅文

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「全力投球し続けること自体は、全然苦じゃない」

――アヴちゃんはどういう音楽を聴いて育ったんですか?

アヴちゃん 中島みゆきとフジコ・ヘミング(即答)。

――え、意外……。

アヴちゃん そう? 歌を書くために、歌を作るために生きているっていうあの精神性に共感しているんですよね。たとえるなら『ガラスの仮面』っぽさみたいな?

――あ、納得。『ガラスの仮面』だとどのキャラに共感します?

アヴちゃん やっぱり北島マヤ、姫川亜弓、月影千草! この3人のぶつかり合いが好き。彼女たちのように情熱をすかさないことって大事だと思うんですよね。

――それはどうして?

アヴちゃん 私たちも含めて、情熱の持ち方や折り合いのつけ方が特殊な世代だと思っていて。頑張りすぎないことでいろんなものを得ている人が多いから、頑張りすぎることってあまり好まれなかったり。たしかにそれも一つの処世術だとは思うんだけど、でも情熱を持っているほうがいいじゃないですか。だから、私みたいなスーパー凝縮した存在が出てきちゃったり。頑張ることって素晴らしいことだから、何にでも全力で取り組むし、伝えたいことは誰にでも伝わるように頑張る。全力投球し続けること自体は、全然苦じゃないし、むしろ私の情熱の注ぎ口=女王蜂があったからこそ、ここまでやってこれたんだと思っているし、たとえいばらの道があったとしても、いばらの道のチケットをもらえって思えるんですよね。

――気力のない人たちに聞かせたい……。

アヴちゃん ある一定のラインまで立つと、そこで得られる縁だったり、思いもかけない出会いがあったりするから、私はそれで恵まれているんだと思うんだけど。たとえば、学校みたいな人間関係ごっこをしたりすることがあって。「縦横のつながりとかいうのがイヤだからバンドやってるんじゃなかったっけ?」って思っちゃう。それで結成から10年やってこられたから不思議。

 

――本当に仕事の幅が広いですよね。

アヴちゃん 舞台はもちろんだけど、『東京喰種 トーキョーグール:re』のエンディングテーマ曲「HALF」もできたし、『美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE』にも参加できたし、『DEVILMAN crybaby』の挿入歌も歌えたし。

でも、私がそうやって呼ばれる共通点は、「半分、人ならざる者」が主人公の作品なんですよね。一般の人の役じゃなくて、どこか穴が空いててそこを埋めようとするキャラクターのいる作品が多いのは、きっと私も同じだと思われているからかもしれない。 でも、私、案外、欠けてないんです。たしかに、イメージ通りキャラクターの気持ちはわかるんだけど、共感はできなくて。だって、だいたい可哀そうなキャラクターとして描かれるじゃないですか。でも、私は全然可哀そうには思えないんですよね。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』だってそう。特にこの時代に再演するってすごく意味のあることだと思うんです。だって、LGBTQIAって言われる性的マイノリティは普通の存在だから。その状況下でこの作品をどう料理するのか、ってことが本当に楽しみでならないですよ。

ロックミュージカル
ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ

愛と自由を手に入れるため性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまった、男でもあり女でもあると同時にそのどちらでもないロックシンガー・ヘドウィグ。幾多の出会いと別れを経験し、傷つき倒れそうになりながらも己の存在理由を問い続け、「愛」を叫び求める姿を描く。

作:ジョン・キャメロン・ミッチェル

作詞・作曲:スティーヴン・トラスク

翻訳・演出:福山桜子

出演:ヘドウィグ=浦井健治

   イツァーク=アヴちゃん(女王蜂)

会場:EX THEATER ROPPONGI ほか福岡、名古屋、大阪

公演日:2019年8月31日(土)~9月8日(日)

入場料:全席指定 ¥8,800(税込) ※別途1ドリンク代¥500必要

主催:テレビ朝日/ニッポン放送

お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)

www.hedwig2019.jp

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アヴちゃん
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アヴちゃん 女王蜂のヴォーカル

2009年結成のバンド「女王蜂」のヴォーカルを担当し、作詞作曲も手掛ける。高音と低音を使い分ける個性的なヴォーカル、独創的かつ衝撃的なパフォーマンスが音楽業界のみなら...

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よしひろまさみち
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よしひろまさみち 映画ライター・編集者

音楽誌、女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』で編集・執筆のほか、『SPA!』『oz magazine』など連載多数。日本テ...

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