『どうする家康』の音楽で稲本響が表す家康像とは? ピアノの選定などこだわりを明かす
NHK大河ドラマ『どうする家康』の音楽を担当する稲本響さんにインタビュー! どのように作曲が進められているのか、どのような家康を表現したいのか、使用するピアノへのこだわりなど、詳しくうかがいました。さらに、幼い頃からピアノとクラリネットを演奏し、作曲も学んだ経緯についても教えていただきました。
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
家康の人生にあった葛藤をふまえて、光と影を音楽で表現したい
——大河ドラマの音楽制作の話を最初にお聞きになったとき、どんなお気持ちでしたか?
稲本 あるとき仕事でNHKに行ったら、そのついでに少しご相談が……と言われたのが最初です。そこで今度の大河ドラマのアイデアを聞き、その場で僕がこういう曲は? と提案して打ち合わせが始まって、5日後には1曲できていました。気づいたらみんなで走り出していた感覚です。
それが放送スタートから1年半ほど前の話です。今放送が始まり、すごく久しぶりの知り合いから突然連絡がきたりして、ようやく実感がわいてきました(笑)。
1977年大阪府・堺市生まれ。3歳でピアノを始め、5歳でステージデビュー。18歳でドイツへ留学し、ピアニストの巨匠アルフレッド・コルトーの奏法を身につけ独自の改良を加える。専属調律師・高木裕と出会い、本人仕様の特注ピアノ「STEINWAY&SONS(NEW YORK)」を全国の各コンサート会場やレコーディングスタジオに毎回持ち運ぶという、世界でも稀なスタイルを持つ。クラシックのコンサートからライヴ、アーティストとのコラボレーションステージなど幅広い分野で演奏を行なっており、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のトップメンバーとも共演している。
また、映画・ドラマ・舞台・CM等の作曲・音楽監督も務め、その作品は国内外において数々の賞を獲得している。
——家康のイメージから、すぐに1曲目が生まれたのですか?
稲本 制作チームから、これまでの家康のイメージの典型であった卓越した大人物という描写とはひと味違った、七転八倒しながら、家臣団と切磋琢磨して上り詰めた人として彼を描きたいという話があったので、そこからイメージを膨らませていきました。また、みんなが日曜夜8時に観て、月曜から頑張ろうと思えるものにしたいという話もありました。
当時はまだコロナ禍で先が見えない状態でしたから、歴史を知ると同時に、エンターテインメントとして明るい作品にしたいという想いがあったようです。僕が子どもの頃に祖父と観ていたような重厚な大河ドラマのテーマ曲とは違う、新しいアプローチが求められていると感じました。
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