インタビュー
2024.12.05
特集「第九 2024」

指揮者・小林研一郎が追いかけ続ける、ベートーヴェン第九に秘められた光と影

世界でもっとも第九を指揮したと言われる、指揮者の小林研一郎さん。第九との出会いは10歳の頃でした。その旋律に魅了され、音楽家を目指した小林少年の想いは、84歳を迎え、現役最高齢となった今でも原点だと言います。なぜここまで第九に魅了され続けているのか、お話を聞きました。

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

撮影:齋藤大輔
取材・編集:寺田愛(ONTOMO編集部)

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

ラジオから流れてきた第九に涙を流した日

僕が第九を初めて聞いたのは、小学3、4年生の頃。今では考えられないけれど、音楽を聞けるのはラジオしかなかった時代です。オンボロラジオから聞こえてきた旋律に一瞬にして心を奪われて、感動で立っていられないほどでした。いつの間にか、ボロボロ泣いていて、畳をぬらすほどだったのを覚えています。

偶然にラジオから流れてきた第九を聞いたことで、僕は幼心に音楽家になろうと決心をしたのです。あの瞬間こそ、今も音楽家でいられる原点と言えるでしょうね。もしラジオを聞いていなかったら、僕は今何をやっていたのかと考えることもあります。

続きを読む
“炎のコバケン”の愛称で親しまれる日本を代表する指揮者。東京藝術大学作曲科、及び指揮科の両科を卒業。1974年 第1回ブタペスト国際指揮者コンクール第一位、及び特別賞を受賞。2002年プラハの春音楽祭では東洋人初のオープニング「わが祖国」を指揮して万雷の拍手を浴びた。
これまでにハンガリー国立フィル、チェコ・フィル、アーネム・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、フランス国立放送フィル、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管、ロンドン・フィル、ハンガリー放送響、N響、読響、日本フィル、都響等の名立たるオーケストラと共演を重ね、数多くのポジションを歴任。
ハンガリー政府よりハンガリー国大十字功労勲章(同国で最高位)等、国内では旭日中綬章、文化庁長官表彰、恩賜賞・日本芸術院賞等を受賞。
作曲家としても数多くの作品を書き、1999 年に日本・オランダ交流 400 年記念の委嘱作品、管弦楽曲『パッサカリア』を作曲、ネーデルランド・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されると、聴衆から熱狂的な喝采を以て迎えられた。同作品はそれ以降も様々な機会に、アシュケナージ指揮N響、小林研一郎指揮日本フィル等で再演されている。
2005年、社会貢献を目的としたオーケストラ「コバケンとその仲間たちオーケストラ」を設立、以来全国にて活動を続けている。
CD、DVDはオクタヴィア・レコードより多数リリース。著書に『指揮者のひとりごと』(日本図書協会選定図書)等がある。
現在、日本フィル桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィル・名古屋フィル・群響桂冠指揮者、読売日響特別客演指揮者、九響名誉客演指揮者、東京藝術大学・東京音楽大学・リスト音楽院名誉教授、ローム ミュージック ファンデーション評議員等を務める。
https://maestro-kobaken.com/

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ