インタビュー
2025.07.19
オーケストラの舞台裏 vol.9

京都市交響楽団コントラバス奏者・出原修司さん(Juvichan)〜「ジュビレーヌよ」と殻を破った音楽人生

京都市交響楽団コントラバス奏者で、Juvichanの愛称でも親しまれている出原修司さん。音楽大学進学までの紆余曲折、オーケストラにおける役割、そしてご自身の性格や趣味までたっぷりと語ってもらいました。

「オーケストラの舞台裏」は、オーケストラで活躍する演奏家たちに、楽器の魅力や演奏への想いを聞く連載です。普段なかなか知ることのできない舞台裏を通じて、演奏家たちのリアルな日常をお届けします。

取材・文
三木鞠花
取材・文
三木鞠花 編集者・ライター

フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...

写真:津村晃希

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コントラバスを習い始めて半年で音大受験

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——コントラバスとの出会いを教えてください。

Juvichan 最初の出会いは、小学校の5年生のときに3か月くらい。学校のクラブでドとソとレだけ教えてもらったくらいでした。

でも、それからずっと続けていたわけではありません。中学では吹奏楽部でトランペットを吹き、高校卒業後はバンドをやりたくて専門学校に進みましたが、やっぱり大学に入り直したいと思って。最終的に「音楽の道に進みたいけど、何の楽器にしたらいいのかわからない」ってときに、コントラバスに戻ってきたんです。だから、本格的に始めたのは20歳のとき。

Juvichan(ジュビレーヌ・イデアラ)
横浜生まれ。大阪音楽大学に於いてコントラバスを専攻。関西フィルハーモニー管弦楽団、広島交響楽団を経て現在は京都市交響楽団に在籍。
「冷やし中華じゃなくてバンド始めました!」(2014)、「エルサイズのはら」(2015)、「レオノーレ体操第四」(2016)、「贅肉(むだなにく)46」「燦々たる三条」(2018)、「不死身の不死鳥×貴公子のプリンス」(2019)、「Quatre Saisons」(2021 株式会社宮部企画主催)、「マスク仮面と愛のマンボゥ!」(2022、脚本・演出/中屋敷法仁 株式会社宮部企画主催)、「染色体XYZ」(2024、京都市下京区主催・法務省委託事業)などの舞台を助手さま。と共同で制作・主演。作編曲にとどまらず自ら脚本・演出も手がけている。
作曲家としては2019年、東日本大震災で被災した南相馬をテーマにした独奏コントラバスとマンドリンオーケストラのための「春風と南相馬」を自らソリストを務め井上泰信指揮ARTE MANDOLINISTICAと豊中市文化芸術センター大ホールに於いて初演。
2021年には日蓮大聖人御降誕八〇〇年慶賛事業委嘱作品である弦楽と混声3部合唱、独奏仏具のための「幻想組曲妙満寺」(土持悠孝氏との共作。顕本法華宗総本山妙満寺にて初演・同時生配信)
そのほか京都府危機克服緊急応援事業「伝統工芸ってなあに?」イメージ音楽「千代紙」等の作品を発表。
近年は硬派弦楽アンサンブル石田組に組員として参加するほか、京都音楽博覧会やNHK総合tiny desk concerts JAPANなどにおいて京都出身のロックバンド、くるりの編曲を担当するなどその活動は多岐にわたっている。
NHK-FMリサイタル・ パッシオに出演。
株式会社 宮部企画 音楽プロデューサー。

Discography
「Gymnopédiste」(2018 エリック・サティ作品集)、「にじいろのさんぽみち。」(2019 オリジナル作品集)、「Quatre Saisons」(2022、CD発売と同時にデジタル配信中)

——なんで再びコントラバスにされたんですか?

Juvichan まず、音大受験に向けてソルフェージュやピアノを習い始めたんです。その先生と相談してコントラバスにしました。たまたま専門学校のバンド仲間がコントラバスを買ったけど、やっぱり弾けないから買わない? って言われて(笑)。「実は家にコントラバスあるんですけど」って言って決まりました。

そこから先生について猛特訓しました。必死で課題曲を覚えたり。その時期は半年間、朝から晩まで、コントラバス弾いて、ソルフェージュの勉強して、ピアノの練習して……っていう生活を半年続けて、なんとか合格しました。

——すごい経緯ですね!「コントラバス、私には合ってるな」と思われたんですか?

Juvichan 今はそう思ってるんですけど、大学に入った当時は、コントラバス奏者になろうとは思ってなかったんです。音楽で食べていけるとも思ってなくて、どうしても「スタッフでも何でもいいから、音楽に関わる仕事をしたい」と思っていました。

ところが大学でオーケストラに入ったときにすごく魅力を感じて、大学にいる間に、すっかりオーケストラマンになるっていう方向になっていました。

受験のときに最初についた先生からは、最初のレッスンで「お前はオーケストラに入る」って言われました。まだ弓の持ち方を習ったり、「レ」って弾いたりしていたところだったのに。

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