インタビュー
2025.06.16
オーケストラの舞台裏 vol.4

新日本フィルハーモニー交響楽団ヴァイオリン奏者・矢部咲紀子さん「フォアシュピラーは難しいのが楽しい」

2024年8月に新日本フィルハーモニー交響楽団に入団したヴァイオリン奏者・矢部咲紀子さん。「フォアシュピーラー」として、コンサートマスターの近くに座り、演奏全体の流れやニュアンスを導く大切な役割を担っています。岡山県で育ち、桐朋女子高等学校音楽科への進学を機に上京。学生時代からの経験や、オーケストラのなかで日々感じていることを語っていただきました。

「オーケストラの舞台裏」は、オーケストラで活躍する演奏家たちに、楽器の魅力や演奏への想いを聞く連載です。普段なかなか知ることのできない舞台裏を通じて、演奏家たちのリアルな日常をお届けします。

取材・編集
寺田 愛
取材・編集
寺田 愛

編集者、ライター。女性誌編集、ECサイト編集・ディレクター、WEBメディア編集長、書籍編集長などを経て現在。はじめてクラシック音楽を生で聞いたのは生後半年の頃。それ以...

撮影:齋藤大輔

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高校進学で決断、岡山から東京へ

——音楽を始めたきっかけは。

矢部咲紀子さん(以下、矢部): 4歳からピアノを始めて、5歳でヴァイオリンに出会いました。ヴァイオリンは、母が「手に職を」と思って勧めてくれたのがきっかけです。最初にヴァイオリンを触ったときの記憶はあまりないのですが、日々の練習やレッスンのことはなんとなく覚えています。練習が嫌になったことはありますが、やめたいと思ったことはなくて、気づけば自然とヴァイオリンが生活の一部になっていました。

——進路としてピアノではなく、ヴァイオリンを選んだ決め手は。

矢部: 中学生まではピアノもヴァイオリンも同じくらい頑張っていたのですが、神戸に住んでいる先生との出会いが大きかったです。その先生に強く惹かれて、ヴァイオリン一本に絞る決心がつきました。岡山から神戸までの長距離を母に車で送ってもらい、レッスンに通っていました。あの道のりも、今では自分の音楽の土台のひとつだと感じます。

——桐朋女子高等学校への進学も大きな決断だったのでは。

矢部: 大阪に出るという選択肢もあったのですが、「どうせ出るなら東京へ」と思って進学先を決めました。高校時代は寮に入って一人暮らしをしていましたが、音楽に集中できる環境で貴重な経験でした。実家は大好きなので、今でも帰りたくなることはあります(笑)。

矢部咲紀子(やべ・さきこ)
岡山県倉敷市出身。桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部卒業。ヴァイオリンを木田雅子、久保田巧、篠崎史紀の各氏に師事。室内楽を毛利伯郎、磯村和英、鈴木康浩、山崎伸子の各氏に師事。
第62回全日本学生音楽コンクール大阪大会1位。第18回神戸国際音楽コンクール最優秀賞及び兵庫県知事賞。第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門1位。ピアノトリオでヴィヴァルディ国際コンクール室内楽部門1位(absolute first prize)、エリザベス国際音楽コンクール室内楽部門プラチナ賞(第1位)。
2016〜2019年桐朋学園内成績優秀者によるStudentConcert、選抜チームによる室内楽演奏会出演。小澤征爾音楽塾生。N響アカデミー修了。

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