ケルティック・ハープってどんな楽器? 松岡莉子が語る奥深い世界
ケルティック・ハープ奏者の松岡莉子さんがメジャーデビュー! デビューアルバムへの想いやグランド・ハープとの違い、ケルティック・ハープの魅力、そしてスコットランド留学のお話などをうかがいました。
1966年千葉県生まれ。日本大学文理学部出身。 メーカー勤務を経て96年よりケルト圏や北欧の伝統音楽を紹介する個人事務所THE MUSIC PLANTを設立。 コンサ...
自分らしさを詰め込んだデビューアルバム『Celtic Breeze』
松岡莉子さんのメジャーデビューアルバム『Celtic Breeze』収録の「広い河の岸辺The Water is Wide」を聴いて、まずはびっくりしてしまった。日本でもTVCFなどで馴染みの深いメロディだが、現地のミュージシャンたちを持ってしても、これほどまで攻めているアレンジはなかなか珍しい。曲が進むにつれて展開していく不思議なコードや、ちょっとしたベースの動きに無限の可能性を感じさせる、そんな録音である。
松岡莉子『Celtic Breeze』より「広い河の岸辺The Water is Wide」
一方で1曲目の「風吹くあの小径で Hidden Lanes」はオリジナル曲。「エジンバラで暮らしていたときによく行った気持ちのいい小川や土手を思い出しながら書きました」
レコーディング直前に短期間で書いたというが、こちらはこちらで、300年後に世界中のケルト音楽シーンで伝統曲として演奏されていてもおかしくない、そんなナチュラルな響きが心地よい。
松岡莉子『Celtic Breeze』より「風吹くあの小径で Hidden Lanes」
一般企業で働きながらケルティック・ハープの道へ
松岡莉子さんは14歳でアイリッシュ・ハープ、グランド・ハープの演奏を始めた。中学生頃までは、CDショップで見つけたモーツァルトのフルートとハープのCDを聴いたりしていたが、高校のときに出会ったケルト音楽がきっかけで、その道に進むことを決意。大学卒業後、一般の企業に就業しながらも演奏を辞めることなく、2016年にイギリス・ハープ協会奨学生に選ばれてスコットランドに留学。
英国王立スコットランド音楽院、スコットランド音楽学科(スコティッシュハープ科)の修士課程を日本人として初めて修了し、2020年にはファーストアルバム『New Beginnings』を自主制作した。
松岡莉子『New Beginnings』
ケルティック・ハープとグランド・ハープの違い〜音色、大きさ、構え方
ケルティック・ハープもグランド・ハープも両方操る松岡さんだが、「譜面を見ながら演奏するのがハーピスト(Harpist)、耳で覚えるのがハーパー(Harper)と定義。自分はあくまでハーパー」だと言う。
「生活の中の音楽、伝統音楽を追求したいのです。スコットランドに行って、それをとても強く感じました。スコットランドでは、ジャズなどほかのジャンルの人たちとの共存関係もとても素晴らしい」
繊細で素朴な音色が特徴のケルティック・ハープは、グランド・ハープと比べるととても小ぶりで、グランド・ハープだとペダルによって行なう半音調整を、こちらはレバーによって調整するそう。また共鳴ボックスを抱き抱えるようにして演奏するのが彼女のスタイル。「共鳴ボックスを通して音の振動が身体に伝わってくる感じがとても好きです」
「将来はどんどん海外のフェスティバルにも参加し、作曲もハーパーとしてのものを追求していきたいと思っています」
彼女の夢はつきない。日本に自分が現地で出会ったミュージシャンを招聘し、日本と彼の地の音楽の架け橋になりたいとも。私としては、ぜひ彼女には彼女の師匠であるコリーナ・ヒューワット氏率いるUnusual Suspectsみたいなかっこいいビック・バンドを日本で結成して日本の観衆を驚かせてほしい。
ここまで力強く歩んできた彼女の道のりを思えば、それらはすべて夢では終わらないだろう。彼女の今後の活動から目が離せない!
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