インタビュー
2025.09.04
オーケストラの舞台裏 vol.11

東京交響楽団首席オーボエ奏者・荒木良太さん「オーボエの最初の一音でホールの空気や集中力が変わる」

東京交響楽団の首席オーボエ奏者・荒木良太さんがこの楽器に魅せられたのは、小学生の頃。テレビドラマ「のだめカンタービレ」から響く、澄んだオーボエの音色が心に残りました。一度は一般大学に進学したものの、悩んだ末に音楽の道を選んだ荒木さんに、首席奏者としての役割や、音楽への向き合い方について伺いました。

「オーケストラの舞台裏」は、オーケストラで活躍する演奏家たちに、楽器の魅力や演奏への想いを聞く連載です。普段なかなか知ることのできない舞台裏を通じて、演奏家たちのリアルな日常をお届けします。

取材・編集
寺田 愛
取材・編集
寺田 愛

編集者、ライター。女性誌編集、ECサイト編集・ディレクター、WEBメディア編集長、書籍編集長などを経て現在。はじめてクラシック音楽を生で聞いたのは生後半年の頃。それ以...

撮影:齋藤大輔

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「のだめカンタービレ」で耳にしたオーボエの音色

——最初に、オーボエを始めたきっかけを教えてください。

荒木良太さん(以下、荒木) オーボエとの出会いは、小学校高学年の頃でした。当時、ちょうどテレビで「のだめカンタービレ」が放送されていて、福士誠治さん演じる黒木君の奏でるオーボエの音色に魅了されました。

中学生になって吹奏楽部に入部。奇跡的にオーボエのある学校だったので、歓喜したのを覚えています。楽器体験では、オーボエだけでなく、ほかの楽器も吹いてみたのですが、まったく音が出ない楽器もあるなかで、オーボエは音を出すことができて、想像以上にうれしくて、「これだ」と思いました。

——そこまでオーボエに引かれていたのですね。

荒木 はい。オーボエしか眼中にありませんでした。ほかにも理由をあげるとしたら、昔からピアノを習っていて、絶対音感があったので、移調楽器(楽譜に書かれた音と実際に演奏される音が異なる楽器)ができなさそうと思ったのもあります。inC(インツェー)楽器(実音で演奏される楽器)で木管だと、オーボエしかないと思ったのです。

でもやはり一番は、オーボエの音色が好きだったからですね。

荒木良太(あらき・りょうた)
大阪府堺市出身。12歳よりオーボエを始める。大阪大学基礎工学部を卒業と同時に東京藝術大学音楽学部器楽科へと進学し、首席で卒業。現在同大学大学院修士課程在籍中。4年次在学中に東京交響楽団のオーディションに合格。 これまでにオーボエを大島弥州夫、広田智之、吉井瑞穂、佛田明希子、和久井仁の各氏に師事。 第37回日本管打楽器コンクール第1位ならびに東京都知事賞、文部科学大臣賞受賞。東京藝術大学にてアカンサス音楽賞、安宅賞受賞。2023年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。その他NHK-FM「リサイタル・パッシオ」や霧島国際音楽祭、ARK PHILHARMONIC等に出演。またソリストとして藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演する。

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