《リギーニのアリエッタ〈愛よ来たれ〉による24の変奏曲》——人気のオペラ作曲家の主題を用いたピアノ変奏曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
人気のオペラ作曲家の主題を用いたピアノ変奏曲 《リギーニのアリエッタ〈愛よ来たれ〉による24の変奏曲》
この演奏のあと、シュテルケル師から演奏を請われ、8月にマンハイムのゲッツ社から出版したばかりの《V.リギーニのアリエッタ〈愛よ来たれ〉の主題による24の変奏曲》WoO65を披露する。ベートーヴェンがシュテルケル師の演奏を真似て、きわめて繊細でありながら華麗に、そして軽いタッチによる軽快なリズムで演奏したので、その場に居合わせた一同が驚きと感動でこのボンの宮廷楽師を絶賛したと伝えられている。
当時はマインツ選帝侯宮廷楽長であったボローニャ生まれのオペラ作曲家ヴィンチェンツォ・リギーニ(1756~1812)の作品はウィーンやプラハ、そしてマインツでも人気を博しており、出版されて間もない《12のアリエッタ集》のメロディーはポピュラー・ソングのように広く親しまれていた。ベートーヴェンが変奏曲の主題に選んだのもこの《アリエッタ集》に収められた《愛よ来たれ》であった。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)33ページより
ベートーヴェンは1791年の9月から10月にかけて、ボンの宮廷楽団員としてドイツ騎士団の総会に同行していたそう。その際に訪れたアシャッフェンブルクという街で、高名なオルガニスト、ピアニスト、作曲家でもあるヨハン・フランツ・クサバー・シュテケル神父にリクエストされて、この作品を演奏したエピソードが残っています。
《リギーニのアリエッタ〈愛よ来たれ〉による24の変奏曲》WoO65
作曲年代:1790~91年(ベートーヴェン20~21歳)
出版:1791年
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