プレイリスト
2020.02.28
おやすみベートーヴェン 第75夜【天才ピアニスト時代】

「別れ」——短くも創意あふれる歌曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

短くも創意あふれる歌曲「別れ」

18世紀に多くのオペラ・セリアの台本を書いたピエトロ・メタスタージオによるイタリア語の「カンツォネッタ第5番」の全14節の詩から2節を選んで作曲したもので、おそらく1795年の作品。

「今、おそろしい時がきた、ニーチェよ、さようなら、ぼくのニーチェ! どう生きればよいのだ、恋人からこんなに離れて! 僕は苦しみながら生きるのだろう、安らぎも見出さずに。君がいつか僕を思い出してくれると、誰が知るだろう」

イ長調、4分の2拍子でアフェットゥオーソ(優しさをこめて、情趣ゆたかに)と指示された全24小節の小品。第1節の最後には借用和音の巧みな利用で、恋人との遠い別れを悲しむかのように一瞬短調への翳りをみせる。短いブリッジを経て第2節は切々たる思いが高揚する。

解説: 平野昭

情熱的なメタスタージオの歌詞に、若きベートーヴェンが作曲した作品。ファリネッリという名前で名声を博したカストラート歌手/作曲家のカルロ・ブロスキや、モーツァルトも同じ詩に曲を残しています。聴き比べてみても楽しいのではないでしょうか?

作品紹介

「別れ」WoO124

作曲年代:1795年?(ベートーヴェン25歳?)

出版:1803年6月

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ