「アデライーデ」――新しい表現法で人気を博したヒット曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
新しい表現法で人気を博したヒット曲「アデライーデ」
ウィーン初期に作曲された《アデライーデ》作品46は、初版譜では「ピアノ伴奏カンタータ」と副題されて大きな人気を博し、第2版ではマッティソンのドイツ語の詩とともにイタリア語の訳詞が、第3版ではさらにフランス語の訳詞が併記されるほど広く受容された。
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)263ページより
美しい自然と、あこがれの女性アデライーデを重ねるフリードリヒ・フォン・マッティソン(1761~1831)の詩に曲をつけた、ベートーヴェンのヒット曲。出版されてすぐに、さまざまな言語で歌われていたのですね。
平野さん曰く、この歌曲は人気だっただけではなく……
ここには描写的表現法が取り入れられ、音楽と詩の内容も深く結びついた自由な表現によって、18世紀末にはなかった新しい歌曲表現の可能性を切り開いている。
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)263ページより
「アデライーデ」op.46
作曲年代:1795年?96年?(ベートーヴェン25、26歳?)
出版:1797年2月
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