2020.03.14
おやすみベートーヴェン 第90夜【天才ピアニスト時代】
「六重奏曲 変ホ長調」――クラリネットの名手から影響を受けた作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
クラリネットの名手から影響を受けた作品「六重奏曲 変ホ長調」
六重奏曲作品71はクラリネット、ホルン、ファゴット各2管からなっている。4楽章構成のこの作品は1796年ころの成立であるが、ちょうどこの時期にウィーンにやってきたクラリネットの名手ヨーゼフ・ベーア(1770-1819)が、クラリネット表現に関してベートーヴェンに大きな影響を与えたと考えられている作品だ。ベーアは1790年代になってもハルモニームジーク(管楽八重奏)が人気を博し続けていたエッティンゲン=ヴァラーシュタイン公の宮廷楽団員を務めていた人物であり、管楽アンサンブルに関してさまざまなアドヴァイスをベートーヴェンにもたらしたと考えられる。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』254ページより
ボヘミアで生まれ、史上初めてのクラリネット・ヴィルトゥオーゾ(名手)としてヨーロッパ中で活躍したベーアとの出会いは、若きベートーヴェンにとって刺激的だったのでしょう。この時期には管楽器のための作品がたくさん書かれています。
ベーア自身が作曲したクラリネット協奏曲も併せて聴いてみましょう。
作品紹介
「六重奏曲変ホ長調」Op.71
作曲年代:1796年?(ベートーヴェン26歳?)
出版:1810年4月
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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