2020.03.18
おやすみベートーヴェン 第94夜【天才ピアニスト時代】
「ウィーン市民への別れの歌」——ウィーン義勇軍を戦いへ送り出す勇ましい歌
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
ウィーン義勇軍を戦いへ送り出す勇ましい歌「ウィーン市民への別れの歌」
半年に及ぶ長い旅行から夏のウィーンに戻ったベートーヴェンは、次々に作品を完成させてゆく。ヨーロッパの社会情勢に目を向けると、六月にミラノを占領したナポレオン軍が八月にはチロル近郊にまで進軍し、オーストリアの国境防衛軍との小競り合いが頻発するようになっていた。いよいよナポレオン軍がオーストリア国境を脅かすようになると各地で戦闘状態になり、オーストリア軍は惨敗を重ねる。ウィーンでは義勇軍が組織され、ベートーヴェンは義勇軍少尉フリーデルベルクの詩による《ウィーン市民への別れの歌》WoO121を作曲し、これを出陣する義勇軍司令官ケヴェスディ少佐に捧げている。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)48ページより
この作品の詩を書いたのは、軍人である少尉フリーデルベルクです。歌詞にはどんな思いが込められ、この歌を聴いた義勇軍たちは何を思ったのでしょう。戦いに行く人々を送り出す、力強い作品です。
作品紹介
「ウィーン市民への別れの歌」WoO121
作曲年代:1796年10月末〜11月初旬(ベートーヴェン26歳)
出版:1796年11月
詞:ヨーゼフ・フリーデルベルク
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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